2019年02月15日

天皇代替わりと元号問題

2019年2月15日
天皇代替わりと元号問題

梅田 正己(『日本ナショナリズムの歴史』著者・元編集者)


 天皇の代替わりをめぐってずっと気にかかっていることがある。用語の問題である。


 3年前、天皇が代替わりの意思を表明して以来、政府は一貫して「退位」と称してきた。メディアもそれに追随して「退位」と言ってきた。しかし天皇は「退位」とは言っていない。昨年12月の誕生日の記者会見でも、こう言っていた。


 「今年も暮れようとしており、来年春の私の譲位の日も近づいてきています」


 皇后もまた昨年10月の自分の誕生日の記者会見で「陛下は御譲位と共に」と「譲位」と言っていた。


 当の天皇、皇后は「譲位」と言っているのに、政府とメディアは「退位」と言い続けているのである。


 天皇家ないしは天皇制の歴史には「退位」という用語はない。8世紀の初め持統天皇が孫の文武天皇に譲位して以来、天皇は譲位して上皇となり、上皇と天皇とが並び立つのが天皇家の伝統だった。


 ところが政府はその伝統的な用語を使わずに「退位」という新語を使い、「生前退位」が何か異常・異例のことであるかのように思わせてきたのである。そしてメディアはそれに何の疑義も呈さずに追随してきた。


 なぜ、政府は「譲位」の語を避けたのか。このことは元号の問題とも重なる。
政府が「譲位」の語を忌避した理由は、それが「生前の」ということを前提にしているからである。天皇の代替わりは元号の変更を意味する。したがって「譲位」後は前代の天皇が存命しているのに新たな元号を使うことになる。それは「一世一元」の原則に反する、と政府は判断したのである。


 一世一元制とは、天皇一代につき一つの元号、つまり天皇が死去し新たな天皇が即位するとともに新たな元号を制定するという制度のことである。


 しかし伝統的な元号制では、元号は天皇の代替わりのほか、何かめでたいこと、また逆に不幸なことがあると変更された。実際、明治天皇の父の孝明天皇の在位20年間には、弘化から嘉永、安政、万延、文久、元治、慶応と6回も元号が変えられている。


 ところが維新後に生まれた新政府は、元号を慶応から明治に変えると同時に「一世一元制」と定めたのである。なぜか。


 天皇を政治的・精神的支柱とする近代天皇制国家を樹立するために、国民の意識下に、この国は「明治天皇の国」、いま生きているのは「明治天皇の御代(みよ)」であることを日常普段に染み込ませるためである。


 こうして明治天皇の時代は「明治時代」、明治天皇の死去と同時に「明治時代」は終わって「大正時代」となり、大正天皇の死去で「昭和時代」が始まるとなった。日本人の歴史意識は天皇の在位期間によって区分・規定されるようになったのである。


 そんなことはない、いまどき天皇の御代だなんて、と思われるだろうか。しかし現に、「平成時代」「平成30年」「平成の終わり」といった言葉がメディアには躍っている。1989年以降の30年は、明仁天皇のイメージとともに記憶されるのである。


 しかしグローバリズムの今日、日本国内のみの時代区分による時代認識、歴史認識が世界に通用するはずはない。


 明治27〜28年=日清戦争、明治37〜38年=日露戦争、この間が10年だったことは元号でもわかる。しかし日露戦争から大正3年の日本の第一次大戦参戦・青島占領まで何年だったかは元号で直ぐわかるだろうか。西暦では1905年から1914年で9年だったことが直ぐにわかる。


 韓国での三・一独立運動、中国での五・四運動は大正8年だった。今から何年前かは直ぐにはわからない。それが1919年だったことを知れば、今年が100周年に当たることは直ちにわかる。

 元号の使用は日本人の歴史認識を溶解する。今回の代替わりを機に、少なくとも公的文書における元号の強制的使用の廃止に向け、国民世論を高めていければ、と思う。
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韓国国会議長の日韓和解提案に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2019年02月13日

韓国国会議長の日韓和解提案に思う

 韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は7日、訪問先のアメリカで米ブルームバーグ通信のインタビューに応じて、日韓間で長年の懸案になっている従軍慰安婦問題の解決に関して「日本を代表する首相あるいは天皇が謝罪すればすべて収まる」という趣旨の見解を示した。

 「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言言えば、すっかり解消されるだろう」。

 この文議長発言に対して安倍晋三首相は12日の国会予算委員会で「本当にこれは驚いた。直ちに外交ルートを通じ、韓国側に対し今般の発言は甚だしく不適切な内容を含むものであり極めて遺憾であると、厳しく申し入れた」と述べた(13日付『毎日』)。河野太郎外相も「到底受け入れられない。極めて無礼な発言だ」と韓国側を批判した(同)。

 韓国政府は12日、「被害者の名誉や尊厳、心の傷を癒すためには、日本側が誠意ある姿勢を見せる必要があるとの点を強調する趣旨と理解している」と文発言を擁護。文議長も「日本の責任ある指導者が慰安婦のおばあさんたちに、心のこもった謝罪をすることが優先されるべきだ」と発言意図を維持した。

 『毎日』はこの問題で特に論評をしていないが、11日付外信面で堀山明子ソウル特派員は「日韓の和解を模索する中での発言とみられるが、天皇の政治利用を促しているとも受け取れる内容で、日韓双方で批判を招きそうだ」と述べている。おれには文議長提案が「天皇の政治利用」とは思えぬが・・・。

 安倍首相や河野外相が「極めて遺憾」「極めて無礼」といきり立つのは、推測するところ、韓国の国会議長ごときがあろうことか日本の天皇陛下に謝罪せよと要求するとは何たる狼藉、不敬極まるということだろう。日本国の沽券にかかわるというわけ?やはり隣国の韓国を対等の国と認めていないのだな。

 そもそも文議長は文在寅政権誕生直後の17年5月に、大統領特使として訪日した日韓関係のパイプ役だ。日本の事情もよく知った上での発言と受け取ってもいいのではないか。議長は「一言謝罪してもらいたいのは@首相、A天皇」と2人を名指している。@はからきしダメだがAは本人が承諾すると踏んでいるのではないかな。安倍さんよ、一度天皇にどうするか聞いてみたら・・・。
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このところ正恩氏はモテモテだが

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年02月10日

このところ正恩氏はモテモテだが

 「事前に再度実務者協議」「ハノイで米朝再会議」(10日付『毎日』2面)「露、正恩氏と会談模索」「プーチン大統領 関係拡大狙う」(同7面)。このところ北朝鮮の金正恩さんは大国首脳からモテモテだ。ついこの前まで世界中からつま弾きされていたのがえらい変わりようである。

 つま弾き男からモテモテ男に変身するにはよほどの事情があったはず。確かに正恩さんの顔つきがだいぶ柔和になった気もするが、言ってることはそれほどの変わったとは思えない。大国側の事情の変化と見る方が正しいだろう。そこで毎日新聞の記事に沿ってプーチン大統領の思惑を探ってみた。

 「プーチン氏としては金委員長との関係を築き、中国も含めた友好関係をアピールする狙いがあるとみられる」。「(友好促進の背景には)ロシア国内で働く北朝鮮労働者の問題がある」「(安保理決議に基づいて北朝鮮労働者の雇用を減らしたが)ロシア国内の森林や農場、工場で勤務し貴重な労働力となってきたことから、本音では早期の制裁解除を望んでいるとみられる」。

 一方アメリカのトランプ大統領は今年年頭の一般教書演説で「金正恩委員長との会談前進」を活動成果の一番にあげ、世界の鼻つまみを手名付けた手腕を誇らしげにぶち上げた。「大胆な新しい外交の一環として、朝鮮半島の平和に向けた歴史的前進を続ける」「私が大統領になっていなければ、北朝鮮と戦争になっていたと思う」(7日付『毎日』)。ここまで言うかと思うほどの自画自賛である。外交、内政ともに糞詰まりのトランプ大統領が最後の突破口にしようとしている。それが見え見えなのだ。

 このように大国首脳が金正恩朝鮮労働党委員長に親しく接するのはそれぞれに思惑があってのことだ。ま、どんな思惑があろうと戦争より話し合いの方がいいに決まっている。だから正恩氏がトランプ氏ともプーチン氏とも膝を接して話し合うことはいいことに違いない。

 しかしトランプ氏が米朝会談で進めようとしている「朝鮮半島の非核化」はそう簡単に実現するとも思えない。第一自分では核兵器を持ち、核拡散防止条約から脱退しておいて「お前は核を捨てろ」と言っても説得力がない。つまりトランプ氏の思惑はいつ外れるか分からない。プーチン氏も自国の都合に合わせて正恩氏を手名付けようとしているだけだ。正恩氏のモテモテ状態は薄氷の危うさだとおれは思う。


 
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労働組合の存在を思い知らせる春闘を

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年02月08日

労働組合の存在を思い知らせる春闘を

 「働き方改革」「外国人労働者」「毎月勤労統計」。三つの共通項は「労働」。国造りに労働は欠かせないのだから、国会で論議されるのは誠に結構だと歓迎する。ただし論じられている内容はいかにも低い次元の話で、労働への感謝とか尊敬とかがまるで感じられない。特に政権側の姿勢が酷い。

 安倍晋三政権は労働の価値を故意に貶め軽んじている。労働に従事する労働者に対し、国籍を問わず冷酷無残な待遇しか考えていない。非正規労働者も外国人労働者も働くだけ働かせて使い捨て。そのくせ労働の成果は独り占めして労働者からかすめ取る。やらずぶったくりの魂胆丸出しなのだ。

 何故こんなことになってしまったのだろう。いろいろあるだろうが、労働組合運動の地盤沈下も原因の一つではなかろうか。早い話が今目の前に迫っている春闘だ。春闘を始めたのは労働組合だし、その主役は労働組合のはずだった。ところがここ数年「官製春闘」の名の通り政権側に主役を持っていかれている。

 「官製春闘お断り」の声が聞こえたと思ったら、発言したのは日本経団連の会長さんだった。「賃上げは労使交渉で決める。政府の口出しはいらない」。こんなセリフを財界側から言われているようではほんとに情けない。今度は財界に春闘の主役を持っていかれそうだ。労働組合の影は薄い。

 資本主義社会はきちんとしたチェック機能が働かないと暴走する。労働組合はマルクス・エンゲルスの時代から歴史的にチェック機能を果たしてきた。何故果たせたか。憲法28条に明記された「団体行動権」があったからだ。つまり労働組合の言うことを聞かなければストライキをするぞということだ。

 日本の労使関係からストライキという言葉が消えて久しい。1970年代から尻つぼみになって、総評解体・連合結成の1989年で絶滅品種になってしまった。今でも個人加盟組合や地域ユニオンがしこしこと資本の横暴に対抗している。しかし、社会を揺るがすような交通ストや工場ストは望むべくもない。

 去年の国会で論じられた「働き方改革」「外国人労働者」、今年に入って大問題になっている「毎月勤労統計」。どれをとっても「労働」の価値に対する軽視が著しい。労働が尊重されない社会は進歩がない。それを支配層に思い知らせることができるのは労働組合しかない。19年春闘で労働組合の底力と労働者のど根性を示そうではないか。


 
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2019年02月07日

官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年02月06日

官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ

 NHKで安倍首相の記者会見を視聴したことがある。あまりの迫力のなさに愕然とした。記者の質問は新聞記事にすれば一行で済むような紋切り型。答える首相は官僚がつくったであろう原稿を読むだけ。質問者以外は下を向いてノートパソコンのキーを叩いている。空虚な時間の流れだ。

 そんな記者会見の中で、官房長官会見だけは迫力と緊張感に溢れているとのこと。東京新聞の望月衣塑子記者ががんばっているからだ。おれにはこれが普通の記者の姿だと思えるが、今や彼女は突飛な記者らしい。菅義偉官房長官は嫌悪を露わにし、司会の上村秀紀報道室長は「簡潔に」を連呼し質問を妨害する。

 昨年8月、東京新聞政治部・官邸キャップに対し、上村室長名で「質問は正式決定・発表前の内容に言及したもので誠に遺憾である。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請する」旨の抗議書を突きつけた。さらに年末の18年12月28日、今度は内閣記者会宛に同趣旨の申し入れを行っていたというのだ。

 この官房報道室長の「申し入れ」について新聞労連が2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」という南彰執行委員長名の声明を発表した。声明は「官邸の意に沿わない質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません」と強く抗議の意思を示している。

 そもそも官邸が質問内容を「事実誤認」と騒ぎ立て、「正確な事実を踏まえた質問」を要求すること自体がちゃんちゃらおかしい、とおれは思う。辺野古のサンゴ移設問題やその他諸々の嘘を並べ立てる安倍首相はどうなんだ。平気で虚偽・隠蔽された資料を作る官僚機構をまずやり玉にあげたらどうだ。

 「2017年5月17日の記者会見で、『総理のご意向』などと書かれた文部科学省の文書」を「怪文書のようなものだ」と否定した菅官房長官こそ「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為の張本人ではないか。「日本政府の国際的信用を失墜させるものです」と声明は鋭く指摘する。

 新聞労連の声明は最後に「日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸はただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます」と結んでいる。その通りだと思う。
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2019年01月31日

元「慰安婦」キム・ボクトンさんの生涯

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月31日

元「慰安婦」キム・ボクトンさんの生涯

 1月28日、「慰安婦」被害を証言した金福童(キム・ボクトン)さんが93歳で亡くなった。30日付の『ハンギョレ新聞』に「戦時性暴力生存者であり平和活動家であったキム・ボクトンさんの人生」と題してかなり長い文章が載っている。凄まじい一生だ。おれ流に要約してみた。

 キムさんは1926年、慶尚南道梁山で生まれた。41年のある日、黄色い服を着た日本人に「軍服をつくる工場で3年だけ働け。応じなければ家族は追放、財産も奪う」と脅された。15歳のキムさんは「母さん、私が行くよ」と承知。台湾経由で中国広東の日本軍部隊に連れて行かれた。

 そこで朝から夜まで性奴隷の生活を強いられる。場所も日本軍の移動に従って香港、マレーシア、スマトラ、インドネシア、ジャワ、バンコク、シンガポールと8年間転々。キムさんは23歳で解放され、故郷の母親のもとに帰った(8年間というと計算上49年ということになり、4年前に戦争は終わっていたはず。その辺の事情はこの記事では分からない)。結婚もできず、釜山で商売しながら生きてきた。

 92年、66歳のキムさんは自分が「日本軍慰安婦」だったことを公表し、「自分のような戦時性暴力被害者が二度と生まれないように」と訴えた。初めは「慰安婦だったと宣伝しているに過ぎない」などと冷たい視線にさらされたが、次第に国際社会に関心が広がり、キムさんは平和運動家として成長を遂げる。毎週水曜日に日本大使館前で行われている「名誉と人権を回復する」ための行動の先頭に立った。

 2015年、89歳のキムさんはこつこつ貯めた5000万ウォンを「ナビ基金」に寄付。「ナビ基金」はこの金で、紛争地域の被害児童支援と平和活動家の養成を目的とした「キムボクトン奨学基金」を設立した。去年、92歳の高齢をおして「和解・癒し財団」の解散を求める1人デモを敢行した。

 生前キムさんはこんなことを言ったという。「いや、私が死んだら、火葬して、さらさらと撒いてくれといったんだ。面倒を見る人もいないのに、墓を作る必要はない。それであの山にひらひらと・・・水に撒くと水の霊になるというから、山に撒いてもらって、蝶になって世界中を飛び回りたいな(笑い)」。
キムさんは今、どの空を飛んでいるのだろう。とハンギョレ新聞は記事を締める。

 2月2日から2泊3日で孫たちと八ヶ岳の麓で雪遊びしてくる。
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ゴーン逮捕の裏に「藪」があるのではないか 

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月29日

ゴーン逮捕の裏に「藪」があるのではないか 

 『赤旗』が「資本主義の病巣」「日本をカットした日産」のタイトルでゴーン体制下の日産経営について問題点を抉り出している。1月25日付は第8回。「『空洞化の号砲』鳴らす」「最大拠点は中国」「部品も海外生産」。日産が利益第一主義で日本経済の屋台骨を海外流失させているという。

 「2010年、日産の小型車マーチの生産が国内から消えました。タイに拠点を移したためです」「日産の国内生産台数は1983年度に247万台でした。それが2017年度には99万台にまで落ち込みました。6割もの激減です」。この間、国内従業員を2割も減らしているというのだ。

 ゴーン流の海外への生産流出は最初がアメリカで、「生産の主力だった村山工場を閉鎖する一方、米国で新工場の建設を進めたのです」。その後海外への拠点として急伸しているのが中国。「中国での日産の生産台数は17年に118万台。日本を抜いて日産最大の生産拠点に躍り出ています」。

 今や日産経営は中国抜きには考えられなくなっている。「研究開発拠点も中国に移しつつあります。提携する中国企業に電気自動車(EV)の技術を移転。合弁会社を設立して共同開発を行っています」。EVと言えば、これからの自動車産業の中核をなす部門だ。それを中国との共同事業にする考えだ。

 『赤旗』記事はここまでで、これ以後はおれの推測・推論になる。こんなに中国と一体になってきた日産、中国側にしても今後の自動車産業の発展は国の経済運営の柱にもなる話だ。当然力を入れる。そこで問題になるのが米中経済戦争だ。アメリカにとって日産と中国の蜜月関係はすこぶる剣呑な話になる。日産ゴーンの肩入れで中国の経済力が強くなることはトランプにしては我慢がならない。

 去年の秋に日米経済会談が行われている。そこでこの日産ゴーンによる中国経済へのテコ入れが問題になった可能性はなくはないだろう。「お前の責任でなんとかしろ」とトランプに言われたわが安倍首相が「へい分かりました」と丸呑みする。その一か月後のゴーン逮捕と全く無関係なのだろうか。

 ゴーンの拘留は国際的批判を浴びながらも長期にわたっている。「派遣切り」「村山工場閉鎖」「日本カット」の張本人、ゴーンなにがしに同情する義理はないが、経営の神様から極悪犯罪人に落とした裏には表面だけでは分からない「藪」があるのではないか。おれの妄想ならいいのだが。
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連合・神津会長のマスコミ批判に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月26日

連合・神津会長のマスコミ批判に思う

 連合の神津理季生会長が、自己のブログ(1月21日付)でマスコミの春闘報道に文句たらたらである。「神津理季生の『おやっ?』と思うこと〜労働組合とメディア論」「―春闘とマスコミ報道の奇妙な関係―」。神津氏はマスコミの春闘報道に「喜べない」し、「神経がとがる」のだそうだ。

 マスコミは「政労使春闘」と言うべきところをありもしない「官製春闘」と呼ぶ。それ自体がフェイクだと断じる。「世の中の多くの企業経営者にとって、安倍総理が『賃上げを』と言ったところで『はいわかりました』という経営者がどれだけいたのでしょうか?」。日本で200万人を超える社長さんの大半は「自分は関係ない」と、賃上げに踏み切らなかった。つまり官製春闘は存在しなかったというわけ。

 官製春闘という言葉は団交当事者を馬鹿にしている。春闘をそのように表現するマスコミを労使当事者は嫌悪する。対照的に政府には心地よい。賃上げされた企業の組合員は「総理のおかげで賃金が上がった」という潜在意識が刷り込まれる。官製春闘というネーミングは政府とマスコミの蜜月を示すものだ。

 このように「マスコミ批判」を一渡り展開した上で神津氏は、「ある全国紙系の経済紙」の記者が太田薫旧総評議長の「春闘の終焉」という言葉を持ち出したことへ腹を立ててぶんむくれる。「大手が威勢のいい金額要求をすれば、世の中全体の賃上げが向上」するのか、と開き直る。そんな発想は「トリクルダウン的思考」だと一笑に付す。「(そういう発想が)失われた20年間を生じさせてしまった」。

 最後に、連合は中小企業の賃金を上げ格差を縮めるために「賃金の上げ幅」でなく「絶対水準の引き上げ」にこだわってきた、と自画自賛する。「ここ数年、連合の中では中小の賃上げ額が大手の賃上げ額に年々近づいており、肉薄をしています」。へえーそんな話おれは初めて聞いた。

 神津会長に言いたい。連合も労働組合なら、労使の団体交渉をどう考えているのか。そもそもあなたは団交をやったことがあるのか。団交で要求を勝ち取るためには何が必要か。憲法には団結権、団体交渉権、団体行動権の労働三権が明記されているのを知っているのか。そんな権利を振り回すのは「インフレ時の春闘メカニズム」とか言ってはじめから放棄してはいないか。じっくり考えてほしい。

 今年の参院選が終われば神津連合会長の任期が切れる。次は誰がなるのか。少しはましな人が出てきてほしい。
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2019年01月26日

「賃上げは団交で」というなら望むところだ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月23日

「賃上げは団交で」というなら望むところだ

 経団連の「春闘」方針が発表された。「脱『官製』鮮明に」「経団連 ベア重視見直し」(23日付『毎日』1面)「ベアより『働き方』重視」「経労委報告 経団連、自主性求め」「賃上げ維持正念場」(同経済面)。「安倍『官製春闘』破たん」「経労委報告 賃上げ抑制強調」(23日付『赤旗』)。

 『毎日』によれば経労委報告は「賃上げは政府に要請されて行うものではない」という主張で始まるという。『赤旗』はこれを「賃金抑制の主導権を財界・大企業が握る考えを強調。安倍政権のアベノミクスでは賃上げを実現できず、『官製春闘』が破たんしたことが明瞭になりました」と解説する。

 賃上げは政府要請でなく団交で決めるものだ、という考え方自体はおれもその通りだと思う。労働条件は労使が対等の立場で決定するもの(労基法2条)だからだ。こんな当たり前のことを資本の側から説教されなければならない。今の労使の力関係を映し出していると言わざるを得ない。

 確かに『赤旗』が言うように「官製春闘の破たん」には違いない。しかし、破たんさせたのは誰かというと残念ながら労働側でなく財界だ。経営者の総本山なのだ。彼らが労働者の生活と権利を守る立場に立っているとは到底思えない。官製春闘のいいとこどりでこれまで来たが、「もう政府の助けなんかいらないよ」という宣言が今回の財界の「春闘」方針なんだと思う。居丈高方針と言ってもいい。

 ではここまでコケにされた労働運動の側はどうするのか。もちろん黙っているわけにはいかない。資本の側が政府の手を借りずに団交での決着を望むのなら、こちらも総力を挙げて迎え撃つしかない。少なくとも政府にすがって賃上げをしてもらうなんていう姑息な考えは止めた方がいい。

 それにしても総評の勢いがあった時代は、春闘報道はまず労働組合の動向を探ることから始まった。それぞれの単産の春闘臨時大会にはたくさんの取材陣が集まったものだ。いざストライキにでもなれば新聞は1面トップで報じた。確かにあの頃は「労使対等の団交」があった。

 「賃上げ 最賃アップ一体に」「全労連の評議員会始まる」「30年の歩みに確信=v(23日付『赤旗』)。経団連の居丈高な姿勢には、労働者の団結で対抗しようではないか。団交は労働組合の側の権利だ。「団交を通じた賃金決定とはこういうものだ」と経団連に思い知らせようではないか。
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勤労統計不正は統計法違反の犯罪だ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月20日

勤労統計不正は統計法違反の犯罪だ

 「統計法違反摘発 高い壁」「厚労省不正調査問題」「故意立証必須/立件過去2件」(19日付『毎日』)。厚労省による毎月勤労統計の不正調査問題を統計法の視点から取り上げており、興味深い。まず聞きなれない「統計法」とはどんな法律なのか。「第二次大戦中に政府に都合のいい統計が作られたため、1947年に『統計の真実性の確保』を目的に制定され、統計の作成方法などを規定した」。

 政府の基幹統計を管轄する総務省や菅義偉官房長官は、今回の問題は「統計法違反に該当する可能性がある」と表明。「承認した内容と異なる方法で調査し、変更の承認も受けていない」からだ。ただし、この内容の違反はルールには反するものの罰則には抵触しないという。ではどんな違反なら抵触するのか。

 そこで統計法そのものに当たってみた。あった。第60条である。
 第60条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す。
  2項 基幹統計の作成に従事するもので基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者

 それでは今回の不正調査は「真実に反するものたらしめた行為」に該当するのか、しないのか。検証してみよう。不正・不適切の指摘を受けているのは、東京都が対象企業の全数でなく抽出調査で済ませた行為である。全数調査となっているのに3分1だったのは「不適切」には違いない。

 しかし調査対象を無作為抽出していたら、予算案を組み替えるほどの差はでなかつたのではないか。つまり無作為ではなかったということになる。何らかの意図によって対象企業を偏って選んでいたことになる。この間の報道によれば「賃金の高い東京の大企業のデータが少なかった」ことが明らかだ。

 実態より賃金水準が低くなるよう仕組まれ、それが雇用保険や労災保険を削る根拠になった。言葉を替えて言えば雇用保険等を削る目的で不正な調査手法がとられたということだ。そんな不正が現場の判断でできるわけがない。上からの指示・命令があったはずだ。「上」というのは厚労省上層部だけだろうか。

 このように見てくると、今回の「不正調査」は、国家権力による統計法60条に該当する犯罪行為と言われても仕方ないのではないだろうか。政権中枢の責任が問われるのは必然だと思う。
posted by マスコミ9条の会 at 16:06| Comment(0) | 事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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