2017年07月10日

沖縄ノート(4) 尖閣防衛・抑止はユクシ

17年07月01日
沖縄ノート(4) 尖閣防衛・抑止はユクシ

■坂本陸郎(JCJ運営委員;広告支部会員)

 政府はことあるごとに、在日米軍が日本を守るための「抑止力」だと言っている。米国大使やアメリカの高官も、それを、ほのめかすように「尖閣は日米安保条約の適用範囲内」などと言っているのだが、それらは、日本政府を喜ばすためのリップサービスであろう。
 ところで、「よくし」と似る音の「ユクシ」は「嘘」を意味する沖縄の方言である。昨年、安倍首相がワシントンでトランプと会談した折に、トランプ大統領も「尖閣は日米同盟適用の範囲内」と、安倍首相に伝えたことがあった。安倍首相が相手に言わせたとも推測されるが、その大統領の言質をメデイアはビッグニュースのごとく取り上げ、「読売」などは号外まで出した。それによって、尖閣有事の際に在日米軍が出動するかのごとく理解した国民もいただろう。
 だが、「安保条約の適用範囲内」とは具体的に何を意味するのだろうか。
 日米が取り交わした「日米防衛協力のための指針」に、「島嶼防衛の第一義的な責任は自衛隊が担う」と書かれている。米国は尖閣防衛には介入しないことを意味しているのではないのか。「指針」には「支援、補完」とも書かれているのだが、その米国の行動内容は不明である。
 米軍の準機関紙「スターズアンドストライプス(星条旗)」が、尖閣防衛について、「岩をめぐる中国との撃ち合いに俺たちを巻き込むな」とする記事を載せたことがあった(2013年2月3日号)。米国の軍が尖閣防衛のために、自国の兵の血を流すのはやめてほしいと言っているのである。
 戦争法をめぐる国会論議で、安倍首相が「日本を守るために米国の若者が血を流す。自衛隊は米軍を助けない。それでいいのか」と熱弁をふるっていたのを、今にして思い出す。これも、ためにする「ユクシ」であろう。国会で示した、あの「お年寄りや子供を助けるために・・・」といった、在留邦人を乗せた米国の輸送船を自衛隊が援護するというパネル絵(尖閣とは関係なさそうだが)も、非現実的、情緒的フイクション、「ユクシ」であった。
 だいいち、米国は尖閣諸島が日本の領土だとは認めていない。尖閣が日中どちらに帰属するかについて、米国は中立という立場を一貫して取っている。と、すれば、中国を敵国として米軍が出動するはずがない。連邦議会がそれを認めるとも想像し難い。

 では万が一、尖閣諸島で偶発的局地戦となった場合、「支援、補充」のために、海兵隊の出動が現実に可能なのだろうか。以下は沖縄国際大佐藤学教授の見解である。
 航続距離が長く、飛行速度が高いオスプレイであれば、沖縄から尖閣まではひとっ飛び、と考える人もいるかもしれないが、機体がヤワなオスプレイは戦場では使えない。南スーダンでは銃弾が機体を貫通して搭乗兵が命を落としている。そのように、銃撃されれば逃げざるを得ないオスプレイが、尖閣諸島での銃撃戦では役に立たない。尖閣の小島に海兵隊を運んだとしても艦砲射撃の餌食になるだけである。
 では、「島嶼防衛の第一次的責任を担う」とされる自衛隊が中国軍と戦った場合、事態はどうなるのだろうか。『沖縄米軍基地問題プロジエクト』編、解説書は、日中間の局地戦となった場合を次のように想定している(筆者は前出沖縄国際大・佐藤学教授) 。
 もし、自衛隊で尖閣を「守る」戦争をするという前提に立ったら、どのようなことが起きるのか。尖閣が武力攻撃を受けると、国民保護法に従って、石垣市と宮古島周辺の島嶼自治体の住民は避難させなければなりません。この地域の人口は10万人以上です。戦闘への自衛隊の輸送をしつつ、同時に10万人をどうやって、どこに避難させるのでしょうか。現在、自衛隊の「南西シフト」により、自衛艦の不足が懸念され、民間船舶・船員を一時的に使うことが計画されています。その状況で、船や飛行機で10万人を避難させることは不可能です。
 また、尖閣で戦争になれば、即座に沖縄県への観光客はいなくなります。沖縄経済の一割が消滅します。さらに沖縄県が紛争地域になれば、県民が消費する食料・燃料・貨物を運ぶ貨物船も来なくなるか、保険料が高騰し、県民の生活が成り立たなくなります。
 日本国民は、沖縄だけが被害を受けると考えるでしょうが、日本が中国と戦争をすれば、日本経済はもちません。株価は暴落し、日本の製造業も成り立たなくなります。中国人爆買い観光客がいなくなるどころでは済まないのです。日本経済が崩壊します。最後は戦争だ、というような気分が広がることが、このような危機に導くのです。


 米中間の戦争が避けられないとする見方が一部に存在する。中国の経済力の増大が米中間の軍事的覇権争いを不可避にするという見解である。だが、そうだろうか。
 たしかに、この数年、経済成長率の鈍化が見られるとはいえ、改革開放以来の中国は、2025年頃までに米国を追い越すと予測されるほど経済発展はめざましい。その経済規模の拡大を可能にしたのは、輸出と海外からの投資であった。その輸出相手国の一位は米国であり、米国の中国への投資も中国経済にとって重要となっている。米中両国は経済的に相互依存関係にあるといえるだろう。
 しかも、米国債の最大保有国は、現在、日本を抜いて中国なのである。その償還を中国が要求したら米国の国家財政は痛手を被るだろう。であれば、双方とも戦争による直接対立は想定しがたい。したがって、米国としては尖閣をめぐる日中間の争いなどへの介入は避けたいところだろう。輸出に依存しない内需主導への転換が困難な中国としても、対米関係は外交上最重要課題となっている。それに、中国は独立志向が強まる香港、台湾との軋轢にも対処を迫られている。尖閣領有どころではない。
 中国は、2002年に東南アジア諸国連合(ASEAN)に参加し、「南シナ海行動宣言」を合意している。それ以後は、他国が実効支配する島嶼や岩礁への手出しは控えている(他国の実効支配がないとはいえ、領有権の定まっていない南沙諸島の一方的占有は問題ではあるが)。

 「行動宣言」は「領有権問題の平和的解決、実効支配拡大の自粛」を謳ったものであることから、中国政府は「尖閣問題棚上げ論」の立場に立っているのではないだろうか。その是非はともかくとして、尖閣の帰属問題は日中間で話し合うべきであろう。ことさら中国を脅威と見做す日本政府の外交姿勢は、日米関係をも揺るがしかねない。日本政府の姿勢は米中両国の姿勢とも異なっている。その外交姿勢は国際常識にも反していると言えるだろう。
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沖縄ノート(3) 地上戦と犠牲者

17年06月26日
沖縄ノート(3) 地上戦と犠牲者

■坂本陸郎(JCJ運営委員;広告支部会員)

(記述は新崎盛暉『沖縄現代史』、沖縄タイムス『誤解だらけの沖縄基地』、日朝協会機関誌『日本と朝鮮』を参考資料とした)

沖縄戦と6月23日
 沖縄は太平洋戦争で地上戦が戦われた唯一の日本の領土であった。
 敗色濃くなった1945年、日本軍沖縄守備隊が住民を動員し、沖縄諸島に航空基地と陣地建設に取り掛かった。航空基地建設は特攻隊による攻撃を準備するためであった。そのため、米軍の来襲を前にして住民は逃げる機会を失った。4月、沖縄本島に米軍が上陸、日本軍は水際で戦うことを避け、地上での持久戦に持ち込んだ。その間、上陸地点であった読谷村や嘉手納では数千人の島民が放置され、逃げ場を失い集団自決に追い込まれた。
 米軍45万人に対し、沖縄守備隊は12万人であった。戦況は日本軍の劣勢となり、首里城地下室に置かれた司令部は補給を断たれ、南部への撤退を始める。本土決戦にそなえて、そのための「捨て石」となることが命じられた。
 司令部が陥落すれば戦争は終結すると判断した島民は南部へと逃れ、多くがガマ(洞窟)で避難生活を送っていた。そこへ、南下する日本軍が割り込んできた。戦況が絶望的となると、住民に集団自決」が命令され、「スパイ狩り」が横行し、多くの住民が日本軍によって殺された。
 それらの死者を含め、民間の沖縄住民の死者数は13万人から14万人、全島民の4人に一人が犠牲となった。沖縄戦での日本兵戦死者が約7万3000人、米兵の戦死者1万4000人であったから、一般住民の犠牲者数が最も多かったことになる。前田栄子氏(基地のない沖縄をめざす会)はこのように記している(日朝協会機関紙の引用)。
 毎年6月23日は、あの戦争で失われた、たくさんの犠牲者に「二度と戦争は繰り返さない」と誓い、冥福を祈る慰霊の日だ。正午のサイレンで全県民が一分間の黙とうを捧げる。あの沖縄戦は、住民を巻き込んでの、この上ない地獄としか言い表す言葉が見つからない。勝ち目のない戦争で人口の三分の一近く、十数万人の尊い人命を犠牲にしている。幼い子供たちから高齢者まで、艦砲射撃や爆撃による戦死、餓死、自決、集団死、友軍(日本軍)による殺戮、そして戦後は、一家全滅あり、戦争孤児ありで、沖縄のどんな人もあの戦争と無関係ではない。生き残っても長くトラウマとして心の奥深くで苦しめられている。 

「銃剣とブルトーザー」
 戦後は、米軍の占領下で日本の全土に米軍基地が置かれたのだが、本土では、その多くの基地が日本軍の基地敷地跡に造られた。それが旧安保条約によって日本側に米軍基地提供が義務付けられることになる(全土基地方式)。だが沖縄は本土とは異なっていた。米軍占領下の沖縄では、基地建設のために、住民は「銃剣とブルトーザー」によって、土地を奪われ、家を壊され、立ち退きを強制された。
 現在、米空軍・海兵基地となっている普天間は、かつては1万3635人の人々が住む村落であった。現在は滑走路となっている中心部では、8800人の住民が平和な暮らしを営んでいた。そこには、村役場があり、小学校、郵便局があり、砂糖キビを絞る小屋や村人が集う闘牛場があった。沖縄戦が始まると村民たちはそこを去り避難した。1万5000人が住んでいた読谷村では、日本本土攻撃に備えるための滑走路建設のために、民家はすべて破壊された。沖縄本島の中部と南部では、民家のすべてが取り壊わされ、その跡地に18本の滑走路が造られた。
 戦火がおさまると、住民は急ごしらえの小屋に収容され、食べるにこと欠く日々を過ごした。
 当時を知る仲村元信さんがNHKの番組の中でこのように語っている。
 「空腹を我慢できずに収容所を抜け出して海岸に行くと、米兵が食べ残したパン屑、果物などが流れ着いていた。大人も子供もそれを拾って食べた。パンは乾かして食べた」。
 収容所の中は豚小屋同然だった。環境は劣悪、食糧らしきものは与えられず、飢えに苦しみ、マラリアが蔓延した。
 米軍は住民を12の収容所に送り込んだ。1945年6月には、県民の90%、30万人が収容所に送られている。沖縄では戦後も6300人が命を落としたという。

「平和の礎(いしじ)」
 戦後50年となった1995年、沖縄県は沖縄戦終結50周年最大の記念行事として、糸満市摩文仁の丘に「平和の礎」を建設し除幕式を行った。その記念碑には、敵味方・国籍の区別なく、沖縄戦で戦没した24万1414の名前が刻まれている。
 除幕式が行われた6月23日のテレビ画面には、誰であるかもわからない戦没者の名を涙ながらに指でたどる年老いた老女の姿があった。その後も花や線香をたむける人が後を絶たない。沖縄を訪れた年老いた数百人の米国人退役軍人が嗚咽しつつ、刻まれた戦友の名前を写し取る姿もあった。彼ら退役軍人たちは、かつての日本の敵国兵の名を、ともに刻む沖縄の人々の寛容さに感動し涙を流した。除幕式に出席したモンデール駐日大使は、「戦争記念碑に米国の犠牲者も刻名した沖縄のみなさんに、米国を代表して感謝したい」と述べている。
 だが、そこに刻まれた人々の名は沖縄戦の戦没者だけではなかった。中国大陸やアジア各地で敵国民の命を奪った沖縄出身者たち、広島、長崎で被爆死した沖縄出身者、戦争マラリアの犠牲者、遭難船の犠牲者の名も含まれている。沖縄戦を指揮した日本軍司令官牛島中将や長参謀長、住民を自決に追いやった兵たち、住民をスパイだとして殺した兵たちの名も刻まれている。
 とりわけ問題視されたのは、少なくとも数千人に上るといわれる朝鮮人慰安婦と軍夫の犠牲者の扱いである。「平和の礎」に刻まれた名は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)82人、韓国365人でしかない。それについて、韓国民団地方本部団長が除幕式の式辞で述べている。
 「ここで忘れてはならないことは、犠牲者の遺家族のなかで、子々孫々永代の恥辱であるとの理由で、刻名を拒んだ方々がおられたということです」。
 「日朝協会」資料によれば、「平和の礎」に刻まれた出身地別、国別死者数は、沖縄県14万9425名、県外都道府県7万7417名、米国1万4009名、英国82名、朝鮮民主主義人民共和国82名、大韓民国365名、合計24万1414名である。

(続く) 

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2017年05月31日

沖縄の反基地運動を「犬畜生」のように弾圧

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年05月14日
海外旅行・中国東北部(2012年)A

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 『週刊金曜日』5月12日号に佐高信(72)、山城博治(64)、照屋寛徳(71)の鼎談が載っている。山城さんは1952年生まれ、法政大学卒、82年に沖縄県庁に入庁、08年に退職、その後は反基地運動に専念という経歴。昨年10月に威力業務妨害で逮捕され、152日間も拘留されていた。

 山城さんは言う。「正直に申しますと、沖縄県警と私たちはうまく調整しながらやっていました。毎日、機動隊の責任者とは『逮捕者もけが人も出さないでおこうな』『こっちはちゃんと仕切るからな』というような言葉を交わしあっていた」。それが東京から警視庁が入ってきて強硬路線に一変した。

 おれはこの部分を読んで45年前のある情景を思い出した。その頃おれは新聞労連東京地連の専従書記長。日比谷公園から東京駅の鍛冶橋まで歩く地連独自の春闘デモを企画した。副委員長の安塚正敏さんとデモ申請に桜田門の警視庁本庁へ行った。コースが丸の内警察と築地警察両管内にまたがるためだ。

 当時沖縄返還デモが激しく行われ、逮捕者やけが人が出ていた。おれたちはデモが規制されるのではないかと緊張しながら受付で来意を告げた。予想に反して応接室に通されお茶が出るという和やかな応対。私服の公安係が入室して丁寧に名刺を出し「ご苦労さん」と頭を下げた。デモの申請はすらすら運んだが「うまく仕切ってください。新聞の部隊は沖縄返還デモでも目立っていますから」と釘を刺された。

 警察権力の本質はやはり冷酷無残なのだと思う。和やかな応対に見えて実は衣の下に鎧を隠している。山城さんはそれを実感させられた。それが下記の山城さんの述懐部分だ。

 「(拘留が長くなると髭がもじゃもじゃ、痩せてきて目つきも変わってくる)今思い返すと印象操作だったと思うんですが、取り調べで、名護署から裁判所や検察に移動する時の私の格好はと言えば、裸足にゴム草履、手錠をされ、さらに腰に縄をつけられた状態なんです」「まるで犬畜生みたいにね」「極悪非道の犯罪者であるという印象を周囲に植え付けようとしていたんでしょうね」。

 この情景はまさに戦前の治安維持法の世界である。いま国会では「共謀罪」の審議が大詰めに来たと報道されている。国家権力に反抗する運動を「犬畜生」のように弾圧し世間の晒し者にする。そんな時代の再来だけは止めさせなければならない。
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沖縄ノート(2) 辺野古基地建設のハードル

17年03月29日
沖縄ノート(2) 辺野古基地建設のハードル

■坂本陸郎(JCJ運営委員;広告支部会員)

埋め立て工事は順調か (地図と資料は『平和新聞』2137号から)
 防衛省は、2トンの石の入った網袋数個を海中に沈める護岸工事にとりかかった。海域の土砂流出を防ぐための「防止膜」の設置が整ったから、としている。
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 護岸工事は、埋め立て予定地を囲む堤防のようなものを海中に造る工事だが、政府は、それを「K9護岸」(地図)から着手し、年内にも石を沈める工事を完了する計画である。それによって海底の岩礁は破砕されることになる。だが、岩礁の破砕には沖縄県知事の承認が必要である。したがって、仲井真前知事による承認が今年3月で期限切れとなっていることから、新たに現知事の岩礁破砕の承認を得なければならない。だが、その見通しが立っていない。
 そのため政府は、地元の名護漁業組合が、辺野古海域での漁業権を放棄したことを根拠として、知事の岩礁破砕許可は必要ではないなどと言っている。
そもそも魚業組合の漁業権放棄は法的効力を持つのだろうか。1985年の国会で政府は、このように答弁している。「漁業権は漁協の総会で放棄が議決されたとしても、それだけで変更されるものではない。都道府県知事の免許を受けない限り、漁業権が放棄されたことにはならない」。
 漁業権放棄には公的承認が必要であることを政府も認めていたことになる。にもかかわらず、政府は今回、それを覆す解釈をしている。そのような勝手な解釈は許されないであろう。ましてや、漁業組合が漁業権を放棄したことを岩礁破砕の承認と結びつけるなどは論外と言わなければならない。
 さらに、その他いくつものハードルが立ちはだかっている。まず、膨大な量の土砂運搬の目途が未だに立っていない。加えて、工事を進めるためには、名護市内を流域とする美謝川の水路を変えなければならない。ここでも自治体の許可が必要となってくる。それを名護市議会が認めるだろうか。まして、稲嶺名護市長と翁長知事が承認するとは到底考えにくい。
 ハードルはそれだけではない。翁長知事が、前知事による埋め立て承認そのものを撤回する意向を明言している。だとすると、稲嶺名護市長が言うように、「これらをクリアーしないと、実質的な埋め立て工事に入ることはできない」(記者会見での発言)ことになる。
 以上からも明らかなように、今後の埋め立て工事には様々な困難が予測される。政府と防衛省は、そのことを充分知っているはずである。石の入った袋を海岸近くの海中に沈めるという工事は、新基地建設に反対する沖縄県民と本土の国民の諦め気分を誘うデモンステレイションではなかったのか。テレビを見たり大手紙を読んだりすると、政府の強気の姿勢が伝わってくるのだが、政府や防衛省が、必ずしも今後の成り行きに確たる自信を持っているとも思えない。案外、不安と動揺が見て取れるのではなかろうか。

代替基地建設か新基地建設か (新基地計画地図は沖縄タイムスから)
 政府は、V字型滑走路を備える辺野古の基地を、普天間飛行場の返還にともなう「代わりの基地」なのだから、「沖縄の負担が増えることはない」と言っているのだが、そうだろうか。「代替基地」であれば、辺野古の基地が完成するまで、普天間基地の返還は先伸ばしとなる。 
 以下は、地元紙『沖縄タイムス』の連載記事の一部要約(筆者による)と引用である。
 たしかに、滑走路は2700メートルから1800メートルへと短縮する計画であり、普天間で基地機能三つのうち、空中給油機はすでに山口県の岩国基地へ移され、緊急時の外来機受け入れは本土移転が決まっていることから、辺野古基地ではオスプレイやヘリの部隊だけとなるようだ。それを、菅官房長官などが「面積や機能が小さくなる」「沖縄の負担軽減」と言っている。だが、沖縄県民の多くが新しい基地の建設だと理解している。
20170510a.JPG
 では、新しい基地とはどのようなものなのか。『沖縄タイムス』の記事を以下引用する。
 ― 飛行場の大浦湾側に整備予定の係船機能付き護岸は、全長271,8メートルで、オスプレイ搭載可能の、長崎県佐世保を母港とする強襲揚陸艦ボノム・リシャールが接岸できる「軍港」ではないかとの指摘がある。それとは別に、タンカーの接岸できる燃料桟橋も設ける。弾薬搭載エリアも普天間にはない機能だ。現在のようにミサイルや銃弾を積み込むため、空軍嘉手納基地に移動する必要がなくなる。
 陸上自衛隊航空部隊の元操縦士は、「シュワッブやハンセンに駐留する地上部隊と航空機が一体となり、さらに弾薬、艦船の受け入れを一か所に集積できるなら、平時でも有事でも使い勝手はよくなる」と評価する。1996年の返還合意当初に話し合われた撤去可能な海上ヘリポート案や、稲嶺恵一元知事らが求めた使用期限付きの飛行場に比べ、「恒久的な基地になるのは確実だ」と語っている。―

この新基地について、『沖縄タイムス』は、オスプレイ百機以上が配備可能な設計だとする前防衛大臣森本敏元氏の著書を紹介したうえで、次のように書いている。
 ― 有事の際には常駐機以外の外来機の受け入れを想定しているのは間違いない。修繕次第で、耐用年数は100年とも、200年ともいわれている。新基地ができれば、米軍が簡単に手放すわけはない。自衛隊との共同使用も視野に入れているだろう。さらに埋立地は国有地になるため、私有地や市有地に比べ、土地利用に口出しできなくなる。「戦後70年以上続いてきた沖縄の過重負担が、子や孫の代どころか、100〜200年も続くことは耐えられない」、翁長知事や稲嶺市長は、そう声を上げている。―
 記事は、この3000メートル級滑走路2本と軍港機能を持つ基地建設が、1966年にすでに計画され、当時自衛隊トップであった統合参謀本部議長がその建設を承認していた事実を、資料をもとに明らかにしている。
 それについて、基地問題を調査してきた建築家・真喜志好一氏の談話を載せている。
 ―「沖縄の負担を軽減するという名目で、実際は米軍の安全基準にも合わない、危険で老朽化した普天間を返し、60年代に見送った計画を実現させようという意図がある。しかも、建設費は日本の予算だ。沖縄戦で奪った土地に本土爆撃用として造った基地とは違い、現在の米海兵隊の求める機能をそろえた、まったく新しい基地だ。そんな都合のいい話に県民は騙されない。だから、反発と抗議が強まり、工事が進まないことを認識すべきだ」。―     
(続く)
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沖縄ノート(1)「基地依存」という誤解と蔑視

17年03月29日
沖縄ノート(1)「基地依存」という誤解と蔑視

■坂本陸郎(JCJ運営委員;広告支部会員)


(本稿は主に安田浩一著『沖縄の新聞は本当に偏向しているのか』を資料とし綴ったものです。その他の著書からも引用しながら連載の予定です)

デマゴギー
 事実を歪める情報がネット上で散乱し、誤解と偏見を生んいる。それらが沖縄を理解するうえで、国民に影響を及ぼしてはいないだろうか。
 例えば、「基地の地主は年収何千万円なんですよ。みんな六本木ヒルズとかに住んでいる。基地がなくなると、お金が無くなるから困る。沖縄はそれでも本当に基地被害者なのか」といった著名人のまことしやかな発言内容がブログやネットで流れている。
 かと思えば、辺野古で新基地建設に抗議する人々に対して、「朝から酒を飲み、日当2万円をもらっている」という、とんでもないデマがまかり通る。さては、「米軍普天間飛行場は、もともと田んぼの中にあり、周りには何もなかった。基地ができると商売になると、基地の周りに人が住み出した」といった事実を歪めるものもあり、「辺野古基金には、中国からの工作資金が基地建設妨害勢力に流れている」といった荒唐無稽なものもある。
 これらの、米軍基地建設に反対する沖縄県民に向けられたデマゴギーが、沖縄県民のみならず、本土の国民の正しい理解を妨げている。

「基地依存」
 そのひとつが、「沖縄は基地がなければやっていけない」といった言説である。基地なしには沖縄の経済は成り立たないというものなのだが、果たして、そうだろうか。
 沖縄県の調べによれば、軍用地料、基地雇用者収入など基地関連収入の割合(基地依存度)は、現在わずか5%に過ぎない。たしかに、本土の高度経済成長と切り離されていた72年の復帰直後の依存度は15,5%だったが、その後は年々、依存度は低下している。
沖縄観光コンベンションビューロー会長で、沖縄きってのホテル業大手「かりゆしグループ」CEOの平良朝敬氏がこのように語っている。
 「基地の存在こそが、沖縄経済にとっては阻害要因だ。そもそも沖縄が米軍基地を誘致したわけでもない。“銃剣とブルトーザーで土地を奪って基地がつくられた。そうであるのに、”沖縄は基地で食っている“などという物言いが飛び出すところに、誤解というよりも、沖縄への蔑視が感じられます」。
続けて、「沖縄経済の市場規模は年間4兆円、そのうち基地関連収入は約2千億円です。全体から見れば、基地関連収入はさほど大きな額でもなく、当然ながら、それは沖縄が食っていけるだけの規模でもない。さらに、観光産業から見れば、非常に魅力的場所に米軍基地が集中している。これは実にもったいないことなんですよ。雇用も利益も生み出すことのできる場所に基地が存在することで、ビジネスチャンスを失っている」。

ビジネスチャンス
 基地は経済発展の阻害要因だと平良氏は言う。では、基地が撤去されれば、どうなるのだろうか。
 平良氏は、2015年4月に返還された北中城村跡の大規模ショッピングモール「イオンライカム」を例として挙げている。
 ここでは、米軍の専用ゴルフ場だった跡地17万5千平方メートルに、県内最大の商業施設が建設され、大型スーパーをはじめ、220店舗が軒を連ね、複合型映画館も備わり、南国沖縄らしいリゾートの雰囲気が演出され、地元の買い物客だけでなく、内外から訪れる観光客にとっても名所の一つとなっている。
そこでは、米軍のゴルフ場だった以前に比べると、雇用は飛躍的に増大した。ゴルフ施設では日本人は38人しか雇用されていなかったのに、現在そこで働く人は約3千人である。集客数も、2016年には予想を100万人上回る1300万人となった。
 米軍の施設が返還されてのち一変したのは、この北中城村跡地だけではない。1987年に全面返還された那覇市の米軍牧港住宅跡地の「新都心地区」では、高層マンション、ホテル、それに県や国の出先機関、博物館、展示館、商業施設が立ち並び、そこは大都市の景観を呈するまでになっている。しかも、返還後の経済規模は、返還前の年間57億円から1624億円へと、約28倍に増大し、雇用も485人から1万6475人へと、約34倍となっている。平良氏は、新基地建設で揺れる辺野古にも、大型リゾート施設ができれば、数千人の雇用と数百億円の経済効果が期待できると語っている。

平和産業
 「観光は究極の平和産業だ」と、常々語る平良氏は、東京で大学生だったころ、神奈川県の湘南海岸を見た時、観光資源なら、沖縄は日本のどこにも負けないポテンシャルを持っていると確信したのだという。
 現在も、沖縄を訪れる観光客は増加の一途をたどっている。2015年に沖縄を訪れた観光客は776万3千人、前年比で70万4700人の増、率にして10%の伸びである。3年連続で国内国外ともに過去最高を更新した。特に、海外からの観光客は増える一方である。もちろん、基地を見ようと訪れる人はいないであろう。
 かつては、沖縄の経済は基地、公共事業、観光の頭文字を取って、「3K依存」とも言われてきた。だが現在は、確実に基地と公共事業への依存から脱却してきている。今後の経済発展も期待できるであろう。平良氏は、次のような展望を語っている。
 沖縄を中心とする半径3千キロ以内に約20億人、4千キロ以内に約30億人が居住している。そのアジア全域にわたる商圏は、今後の沖縄県の発展を約束しているといえるだろう。基地が全面返還された後の沖縄の変貌は、扇の要としての地理的条件からして有望なのである。
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2013年12月17日

米上下両院、14年度グアム移転予算を認める  

100人会 グアム 13・12・16                     
米上下両院、14年度グアム移転予算を認める      池田龍夫
 


 沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転に関し、米政府の2014年度(13年10月〜14年9月)関連予算が12月9日、米上下両院軍事委員会で合意に達した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設進展につながるかどうか、日米両政府と地元沖縄県との調整が注目を集めている。
 
 米政府は2020年代から、グアムなどに9000人の海兵隊と家族を移転させる計画だったが、議会内に慎重な意見が強く、棚上げされていた。今回の修正合意によると、必要な経費は、前会計年度比約8倍増となる約2億j(約206億円)で、米側の負担は8600万j、日本側が1億14400万jという。

 各紙報道によると、海兵隊4000人がグアムへ、米本土・ハワイ・豪州へ4600人が移転し、沖縄には1万9000人が残留する計画だ。上院軍事委の重鎮であるマケイン議員が8月に訪日した際、安倍晋三首相らが「海兵隊のグアム移転が普天間移設に不可欠」と説いたことが、上院の方針転換の一因と推測されている。
  
 安倍自民党政権が圧力を掛けた結果、沖縄・自民党国会議員5人が「県外移設」の公約を転換して辺野古容認に転じた。1月19日の名護市長選にも自民党が候補者を立て一本化調整を行っている。仲井真弘多知事が辺野古沖埋め立て申請にどう返事するか、辺野古問題は風雲急を告げている。

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
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2010年09月21日

差別と犠牲を断つために ―普天間問題をめぐる沖縄地元紙の立場―

差別と犠牲を断つために

―普天間問題をめぐる沖縄地元紙の立場―


琉球新報社 編集局次長兼報道本部長 普久原 均10/09/20「2010/8(No.709)新聞研究から転載」

PDFをご覧ください。

差別と犠牲を断つために 2010.08.pdf
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沖縄基地重圧の深層 ―命の二重基準と民主主義の熟度―

沖縄基地重圧の深層

―命の二重基準と民主主義の熟度―


琉球新報政治部長 松元 剛10/09/20 「法と民主主義 2010.05 No.448から転載」
PDFをご覧ください。

沖縄基地重圧の深層 2010..pdf
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2010年09月15日

普天間問題が問う民主主義の熟度−安保の二重基準に抗う−

普天間問題が問う民主主義の熟度−安保の二重基準に抗う−

琉球新報・松元 剛(政治部長)


9月9日、新聞OB九条の会・マスコミ九条の会の沖縄ツアーとの交流会で、松元・琉球新報政治部長が琉球新報社会議室で講演されたレジメ(PDF)を掲載します。
琉球新報・松元 剛 2010.09.pdf
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2010年04月26日

沖縄で米軍基地反対の大規模県民集会

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2010年01月23日

2009年05月16日

2009年02月18日

ヒラリー・R・クリントン米国務長官へ

ヒラリー・R・クリントン米国務長官へ

日米両軍の戦場となった1945年から現在まで続く沖縄の米軍基地の存在は、沖縄の人々から歓迎されたことはありません。米軍基地をめぐって沖縄の人々は自らの意思を表明する機会すら奪われてきました。ウッドロー・ウィルソン米大統領は、1918年に世界に向かって明らかにした14カ条の平和原則で自決権について次のように述べています。「当事者である住民の利害が、法的権利の決定を持つ政府の請求と同等の重みを持たされなければならない」という自決権は、世界平和を実現するための不可欠な条件であると。21世紀に入ってもなお、この自決権のかけらさえ沖縄の人々には遠い存在のままなのです。沖縄における基地問題の原点はここにあります。続きを読む
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2008年11月11日

届くか「負担軽減」 米大統領オバマ氏当選で


届くか「負担軽減」 米大統領オバマ氏当選で2008年11月6日(琉球新報)

 米大統領選でオバマ氏が当選したことに、米軍基地が集中する本島中部の基地所在自治体の首長からは、基地返還の促進や騒音問題など負担軽減に期待感を込めた強い要求の声が上がった。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-137853-storytopic-108.html
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2008年11月09日

米軍構成員による犯罪の実態―良き隣人の素顔




米軍構成員による犯罪の実態―良き隣人の素顔


 
中村晋輔(弁護士・八王子合同法律事務所)


 2006年1月3日、神奈川県横須賀市において、出勤途中でたまたま通りがかった女性が、米海軍兵士によって凄まじい暴行を受けて現金を奪われるという衝撃的な強盗殺人事件が起きた。当該米兵は、横須賀を母港としていた空母キティホークの乗組員であった。



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