2011年08月13日

「ポスト菅」政権は脱原発を引き継ぎ推進せよ テレビは原発推進翼賛体制から脱却すべき

「ポスト菅」政権は脱原発を引き継ぎ推進せよ

テレビは原発推進翼賛体制から脱却すべき

2011年8月12日  河野慎二(元日本テレビ社会部長・ジャーナリスト)


 菅首相が10日の衆議院財務金融委員会で「3つの法案が成立したら、代表選を速やかに行い新代表が選ばれた時には、総理の職務を辞して、新たな総理を選ぶ段階に入る」と述べ、初めて辞任の意向を明言した。これで、東日本大震災の復興や福島原発災害の被災者対策などは二の次にして繰り広げてきた「菅降ろし」の醜態劇も幕を閉じる。

 となると、気になるのは、誰がポスト菅の後釜に座るのか。それと、後継首相が菅の脱原発政策を引き継ぐのかどうかである。朝日新聞の世論調査(8日)によると、原発に依存しない社会をめざす菅の姿勢を、次の首相も「引き継いだほうがよい」と答えた人が68%に達している。ポスト菅の立候補者はこの高い数値を謙虚に受け止めねばならない。

 なぜ、7割近い国民が次期政権に脱原発政策を引き継ぐよう求めるのか。言うまでもなく、東京電力の福島原発災害が収束する見通しが立っていないことへの不安、不信、怒りが背景にある。それどころか、放射能汚染が東北や北関東の食用牛にも広がり、国民の主食である新米も汚染検査の対象になるなど、被害が拡大していることも見逃せない。今後は、土壌汚染の拡大、地下水の汚染、海洋の魚貝類への汚染拡大なども懸念される。

 もうひとつの背景として、ポスト菅の候補者たちが「脱原発」を否定していることへの危機感があると考えられる。菅の「原発に依存しない社会を目指す」という発言(7月13日)に対し、財務相・野田佳彦は「原発ゼロは個人の夢」、前外相・前原誠司は「脱原発はポピュリズムに走りすぎ」と切って捨てた。国民の多くは、脱原発が次期政権によって立ち消えにされると危惧し、「継承せよ」の意見が68%に達したのではないか。

 脱原発を求める国民の声は、メディアの世論調査に示されている。朝日の調査(8日)では、「原発を段階的に減らし、将来やめることに賛成か」という問いに、72%が賛成と答えている。原発推進の論陣を張る読売の調査(8日)でも、菅の脱原発に賛成という答えが67%に達している。4月の同紙調査では42%だったから、4カ月で6割近く増えたことになる。NHKの調査(8日)は最も低いが、57%が「評価する」と答えている。

 驚いたのは、このニュースを伝えるテレビ報道の内容だ。テレビ各局のニュースは、菅の退任表明や、代表選出馬予定者の動きを伝えるにとどまっている。肝心の代表選の争点はボツである。テレビ朝日の「報道ステーション」の報道が一つのパターンだ。まず、菅の退任意向表明をVTRで流し、「28日の代表選で新代表を選出、今月末に新首相を決める」と日程を伝える。そして立候補に意欲を見せる野田のほか、前国土交通相・馬淵澄夫、元環境相・小沢鋭仁らを報じ、「140人の議員を率いる小沢一郎がカギを握る」とまとめる。永田町の政局報道のスタイルに安住したニュースづくりである。

 NHKの「時論公論」にも唖然とする。10日深夜「ポスト菅政局は」と題し、最後のコーナーで「代表選の争点」を解説した。その中で解説委員は「争点は復興増税問題」と指摘。野田を「増税派」、馬淵と小沢鋭を「増税先送り派」に区分けして「19兆円と見込まれる復興費用をどうするか」を解説し、自民党との大連立にも言及した。菅の脱原発をどう引き継ぐかには一切触れない。この解説委員は、脱原発が争点にならないと本当に考えているのか、だとすれば余りにも能天気ではないか。疑問と違和感を残した。

 翌11日の新聞も前日のテレビニュースと大同小異の紙面づくりだ。朝日、毎日、東京の3紙は後述するように先月から今月にかけて、「脱原発」に社説の舵を切ったが、11日の紙面を見るとそうした大転換の姿勢が反映されていない。唯一、東京が「脱原発・増税が争点」と題して、「震災後の代表選では、国家の危機をどう乗り越えるのかが争点となる。最も注目されるのが福島第一原発事故を受けたエネルギー政策のあり方だ」「首相の『脱原発』路線をどこまで継承するのか議論になりそうだ」と指摘している。

 今回の民主党代表選は通常の代表選とは根本的に異なる。それは、代表選の結果が、脱原発の行方を左右するからだ。現在の時点で菅の脱原発を引き継ぐと表明している候補者はいない。国民の大多数が脱原発の継承を求めているのに、代表選はそれに背を向けようとしている。新代表は国会で首相に指名されることが確実だから、「民主党の党内問題」として代表選を座視する訳にはいかない。脱原発の引き継ぎを最大の争点として、国民に開かれた代表選が行われるよう、声を上げる必要がある。

 そのためにはメディアの掘り下げた取材が欠かせない。野田や馬淵、小沢鋭らが脱原発についてどういうスタンスで、どんな考えや政策を持っているのか、国民にはほとんど情報がない。とりわけ、原子力発電に群がって利益を貪ろうと蠢く「原子力村」との関係はどうなのかは、国民の最も知りたいところだ。メディアはこれらの点を中心に、代表選立候補者の全体像を徹底取材し、画(紙)面を通じて明らかにすべきだ。

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2011年01月03日

辺野古新基地容認の「日米合意」見直しと アジアの連携へ、 メディアの論調に変化の兆し

辺野古新基地容認の「日米合意」見直しと アジアの連携へ、

メディアの論調に変化の兆し

2011年1月1日

河野慎二(元日本テレビ社会部長・ジャーナリスト)

☆PDFファイルをご覧ください。

kounosinnji2010.12.31.pdf

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2010年10月29日

メディアは安保改定50年をどう報道したか 基地県3紙合同連載企画とETV特集に注目

メディアは安保改定50年をどう報道したか

基地県3紙合同連載企画とETV特集に注目

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 1960年に日米安全保障条約が改定されて、今年で50年になった。自民党を中心とする戦後日本の歴代政権はこの安保条約を軸に、外交、防衛に留まらず、経済、財政に至るまで、事実上米国の言いなりで国家運営を進めてきた。

 その対米従属政策の矛盾が爆発寸前の極限状態で集中しているのが、沖縄の在日米軍普天間基地問題である。2004年に米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学の富川盛武学長は5月の鳩山首相(当時)との対話集会で「県民の総意を斟酌しなければ、怒りのマグマは噴出する」と警告し、普天間基地の即時閉鎖を求めている。

 節目の年に、メディアは普天間問題や安保問題をどう伝えているか。
 市民の二つの発言を紹介しよう。一つは、普天間爆音訴訟控訴審判決があった7月29日、島田善次原告団団長が記者会見で行った発言である。島田団長は「鳩山さんが『県外』と言った後、日米同盟が破綻すると朝日新聞はじめ各新聞が騒ぎ出した。沖縄の現実をもっときちんと報道してほしい。安保が必要、抑止力が必要というのなら、まず自分のところに持っていきなさい」と大手紙の記者を一喝したのである。

 この発言は、朝日の後藤啓文記者が9月12日の紙面に「ヤマトよ偽善だ 痛み伝えぬ本土メディア」等の見出しで報じた記事の再録である。ニュースソースの当事者がメディアを名指しで非難するのは異例のことだ。後藤記者は「(島田さんが)会見で、居並ぶ記者にまくし立てた」と伝えている。つまり、普天間問題を巡る本土メディアの報道に対する島田さんの怒りが限界に達し、爆発したと見るべきだろう。

 もう一つは、神奈川県相模原市で40年間、米軍相模補給廠を監視してきた沢田政司さんの発言だ。沢田さんは、沖縄タイムス、長崎新聞、神奈川新聞の基地県3紙合同連載(4月27日)で、「このままでは、100年たっても基地の町であり続けるのではないか」と危機感を募らせている。米軍が我が物顔で市を野戦病院≠ニ化し、市民の権利を蹂躙した米軍統合衛生演習「メデックス2000」の体験を踏まえての発言だ。

 島田さんや沢田さんに限らず、普天間問題や日米安保を巡る大手メディアの報道には、批判の声が高まるばかりだ。菅政権が、辺野古に新基地を建設する日米共同声明を鳩山前政権からそのまま引き継いだ背景に、「日米同盟が危うい」「海兵隊の抑止力は必要」と煽り立てた大手メディア報道のあと押しがあったことは間違いない。

■「安保とは何か、基地で何が起きているか」
 沖縄タイムス、神奈川新聞記者が実態報告、討議
 神奈川県の「九条かながわの会」が10月9、10の両日、「やっぱ 9条 in ヨコスカ〜基地の街で平和を考える〜」を開催した。集会には、約1600人の会員や市民が参加し、作家で九条の会呼びかけ人の沢地久枝さんと詩人のアーサー・ビナードさんの講演を聴き、軍港視察や分科会討議に参加した。

 分科会の一つとして、「メディアは基地をどう伝えているか〜基地報道と九条〜」が開催された。この分科会は、在日米軍基地を抱える沖縄、長崎、神奈川3県の県紙が今年1月から6月まで連載した合同企画「安保改定50年 米軍基地の現場から」について、企画を担当した記者が基地や九条、安保をどう捉えるべきかを議論したものである。

 この基地県3紙合同企画は、「基地と向き合う」「経済」「地位協定」「同盟変容」「変わる自衛隊」など、84本の特集記事をほぼ2日に1回のペースで連載したものだ。沖縄・普天間基地問題が全国的にも注目される中で、地域ごとに分断化され、押しつけられた基地問題が、実は「同根の痛み」であることをリポートした、画期的な企画である。

 分科会では、パネラーの田口雅士・沖縄タイムス東京支社長が「日米安保問題は、憲法9条もそうだが、あたかも空気のように、水のように、あって当たり前のようなところがある。安保とは、自衛隊とは、基地とは、多分に自分とは関係ないと考えがちだが、それでいいのか。安保改定50年を契機に、日米安保とは何かを問いかける。基地で何が起きているかをあぶり出すことを試みた」と、3紙合同連載の企画意図を語った。

 中村卓司・神奈川新聞社編集局次長は「基地問題は人権問題でもある。政府は、基地問題に地方は口を出すなと言い、地方に分断化してきた。地方紙3紙が一体の問題として取り上げることで、政府が日本全体の問題ととらえ直す。地域の声を広域化する。公平、公正な社会を目指す」とコンセプトを明らかにした。

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2010年08月14日

菅政権は官房機密費を沖縄県知事選に使うな テレビは「ノーモアフテンマ」を世界に発信を

菅政権は官房機密費を沖縄県知事選に使うな

テレビは「ノーモアフテンマ」を世界に発信を

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 参院選で大敗した菅直人首相が、内外から厳しい批判の矢面に立たされている。菅首相は9月14日の民主党代表選に勝利し、引き続き政権を維持する意欲を示しているが、一筋縄ではいかない。代表選のカギを握るのは、党内最大のグループを率いる小沢一郎前幹事長の動向だが、腹の内を見せない前幹事長が首相を苛立たせている。

 7月29日、民主党は参院選の大敗を総括する両院議員総会を開催した。菅首相は、消費税増税を巡る自らの発言を敗因と認めて陳謝した。しかし、「内閣は死に体だ」「戦争で大敗北をした。最高司令官が責任を取るのは当然だ」などの激しい批判が渦巻いた。テレビは、針のムシロに座らされ、目もうつろな首相の表情を映し出した。

 30日に召集された臨時国会で民主党は、参議院議長の座を確保はしたものの、参議院運営の要となる議院運営委員長のポストは自民党に明け渡した。衆議院では多数を握る民主党が法案を参議院に送っても、主導権は自民党など野党が握る。少数与党がたどるいばらの道≠ェ幕を開けた。

■普天間基地問題の帰すう決める沖縄県知事選
 政府、辺野古新基地の工法8月末決着≠先送り
 内閣支持率のV字回復≠ナはしゃいだのも束の間、参院選で奈落の底へ突き落とされた菅内閣を待ち受けるのは、日米間の最大の懸案である米軍普天間基地の問題と沖縄県知事選である。

 菅首相は参院選で「普天間はクリアした」と遊説し、テレビや新聞など大手メディアがこれを批判しなかったため、参院選の争点外しには成功した。しかし、事態は首相の目論見通りには進まない。沖縄県民の怒りが重圧となってのしかかる。

 菅首相は27日、5月末の日米共同声明に基づき、8月末までに完了するとしていた辺野古新基地の滑走路の位置や建設工法の検討を、沖縄県知事選が行われる11月末以降に先送りする方針を固め、米側に伝達した。
 
 米政府には難色を示す動きもあったが、参院選の民主党大敗を受けて、クローリー国務次官補(広報担当)は16日、「(8月末は)一つの目標と認識はしているが、検討を完了するかどうかは現時点では言えない」と述べている。

 日本政府が、辺野古新基地の位置や工法の「8月末決着」について、共同声明を曲げてまで先送りする方向を米側に伝え、米側もこれに理解を示したのは、11月28日に投開票される沖縄県知事選を念頭に置いたものであることは言うまでもない。
 裏を返すと、沖縄の県知事選は、日米共同声明の政府間公約を先送りさせるほど、重要な政治的意味合いを帯びているということだ。

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2010年05月19日

鳩山首相は辺野古へのくい打ち移設を強行するな

鳩山首相は辺野古へのくい打ち移設を強行するな


千載一遇のチャンス逃さず国外移転で対米交渉せよ


河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 鳩山首相が13日、米軍普天間基地問題について、自ら設定した「5月末決着」を断念した。「6月以降になっても、まだ詰める必要があれば、当然努力する」と述べた。
 しかし、6月以降努力すると先送りしても、解決の見通しがある訳ではない。というのは、政府が辺野古沖にくい打ち桟橋方式の代替施設を建設するという原案を10日の関係閣僚会議でまとめ、民意に敵対する愚行を改めようとしていないからである。

 そもそも、鳩山首相は、この政府案で県民が納得すると考えているのだろうか。
 5月4日、就任後初めて訪問した沖縄で鳩山首相は、県民から怒りの声の集中砲火を浴びた。稲嶺名護市長は「辺野古の海はもちろん、陸にも基地は造らせない」「辺野古に戻ってくるようなことが絶対にあってはならない。このことはしっかりお引取りいただきたい」と、鳩山首相に明確に拒否を通告した。各局のテレビニュースが全国に伝えた。

 住民との対話集会は、世界一危険な普天間基地に隣接する普天間第二小学校体育館で開かれた。集会では、長女が同小学校に通う主婦が「ただひとつ、普天間基地をなくして欲しい。子供たちに安心して、安全に学校生活を送らせて」と訴えた。04年に米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学の富川盛武学長は「県民の総意を斟酌しなければ、怒りのマグマが噴出する」と警告した。NHK「ニュースウオッチ9(NW9)」などが報道した。

 同校で6年1組担任の下地律子先生が「米軍の飛行機やヘリが飛んでくると、騒音で授業が出来なくなる。失われた授業時間は50時間にもなる」と訴え、子どもたちが書いた手紙を鳩山首相に手渡した。日本テレビの「バンキシャ」(5月9日)が、子どもたちのインタビューを交えて伝えた。「国会議事堂の隣に、基地を移したら?」「いいね。いいね」という子どもたちの声を拾っていた。「沖縄差別」への強烈な反発と聞こえた。

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2010年03月23日

「密約」公表も、「国家のウソ」全容解明は依然闇の中

「密約」公表も、「国家のウソ」全容解明は依然闇の中

― メディアは有識者委報告で落着とせず、検証取材継続を ―

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 38年前、沖縄返還時の密約疑惑を報道した、元毎日新聞記者の西山太吉さんが3月19日、衆議院外務委員会で証言し「もっと国民が知らなければならない密約がある」と訴えた。西山さんは自らがスクープした沖縄原状回復費の日本肩代わり密約は「氷山の一角」と指摘。78年以降の「思いやり予算」につながる日本側の財政負担を決めた密約こそ「最も国民が知らなければならないものだ」と強調し、国会と現場のジャーナリストに密約を解明する努力を強化するよう呼びかけた。

 3月20日、マスコミ九条の会のシンポジウム「『普天間問題』のウラに隠された真実」が開かれた。パネラーの軍事評論家、前田哲男さんは「60年1月に、核持ち込みを旧安保通り認める密約が発生し、その後密室協議による自由解釈で密約は増殖を続けた。密約の行き着いた先が、普天間基地問題だ。4つの密約に限定せず、検証を続けなければならない」と強調し、メディアに対し追及の手を止めないよう訴えた。

 4つの密約とは、3月9日に外務省の「有識者委員会」が公表した検証結果報告書の中で明らかにしたものだが、検証結果の内容は「不可解」の一語に尽きる。
 有識者委員会はなぜ、日米両国の最高首脳や外交責任者が署名した二つの外交文書を密約と認定しなかったのか。1960年の日米安保改定時の核持ち込みなど3つの日米秘密合意について、「広義」「狭義」と区分けして密約とした意図は何か。同委員会の認定には重大な疑問と疑惑が次々と広がる。

 テレビや新聞などメディアは「密約認定」を大々的に報道したが、有識者委報告の問題点についての切り込みは極めて弱く、「国家のウソ」の全容解明は依然闇の中だ。
 西山さんは「政府の密約が、30数年経ってようやく検証された。日本の構造や日本全体を覆っているグレードの低さが問題。司法も政府権力もマスコミも」と指摘し、メディアに対し、権力への姿勢を明確にするよう訴えている。

 とは言え、歴代自民党政権のもとで国民を欺き続けてきた密約が暴かれ、日米外交の闇に一筋の光が差し込んだのは、昨夏の政権交代の結果によるもので、画期的なことだ。自公政権の退場がなかったら、密約はさらに継続しただろうから、有権者が投じた一票の力の大きさを改めて実感する。この点は、正確に評価しておく必要がまずあるだろう。
 憲法9条の会呼びかけ人で作家の澤地久枝さんも、TBSの「サンデーモーニング」(3月14日)で、「政権交代がなかったら、ここまで来ない。開いたドアをもっと大きく開ける必要がある」と述べている。

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2010年01月19日

鳩山政権、普天間全面返還で正念場

鳩山政権、普天間全面返還で正念場

―テレビも日米安保の呪縛報道脱却を問われる

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 2010年が明けた。今年は、日米安全保障条約が改定されてから50年を迎える。その節目の年に、鳩山連立政権が日米安保や日米軍事同盟をどう見直し「対等な日米関係」を構築するのか。試金石となるのが、普天間基地返還問題への対応である。

 同時に、半世紀以上も続いた自民党の対米従属路線に疑問を挟むことなく、日米安保や日米同盟を無批判に推進する報道を繰り返してきたメディアも、その呪縛から脱却することができるかどうか、正念場を迎えている。

 年明け早々、鳩山内閣に激震が走った。
 1月15日、東京地検特捜部が、小沢一郎・民主党幹事長の政治資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない事件で、小沢氏の元秘書で衆議院議員の石川知裕容疑者を逮捕した。
 同特捜部は16日、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告も政治資金規制法違反(虚偽記入)で逮捕した。

 これについて小沢幹事長は16日、「検察の権力行使に全面的に対決する」と述べ、幹事長は辞任せず検察と全面的に戦う姿勢を鮮明にした。鳩山首相も小沢氏に「どうぞ戦ってください」と指揮権発動を示唆したとも取れる発言で支持する考えを表明、鳩山政権が検察と対決するという異常な展開となった。

 しかし、土地購入資金の4億円の出所がどこか。政治資金なのか、大手ゼネコンの裏金か、小沢氏個人の資金なのか、小沢氏は全く説明していない。今後小沢氏が説明責任を果たすのか、地検の強制捜査が小沢氏自身に及ぶのか。このまま、小沢氏が強行突破を図ろうとするなら、国民の反発を招き、鳩山政権が崩壊の危機に直面することは避けられない。

 小沢氏との関連で見逃せないのが、藤井裕久財務相の突然の辞任である。藤井氏は自由党幹事長時代(党首は小沢氏)に、政党助成金から15億2千万円を組織活動費として受領したが使途不明―などの疑惑が持たれている。この使途が分からない組織活動費がどう使われのか、永田町では関心が高まっている。

 日米関係でも重要な動きがあった。
 岡田外相が13日、ハワイでクリントン米国務長官と会談した。普天間基地返還問題は平行線に終わったが、日米安全保障条約改定50年にあわせ、日米同盟を「深化」させる閣僚協議の開始で合意した。同時に、岡田外相は96年の日米安保共同宣言にかわる新宣言をまとめたいと提案した。

 98年の共同宣言は、日本をアメリカの世界戦略に一段と深く組み込み、日米軍事一体化を加速する結果をもたらした。
 岡田外相は「同盟の深化」の内実を国民に語っていない。「新宣言」についても、96年の路線を引き継ぐのか、「対等な日米同盟」に切り替えるのか。腰の定まらない提案では、米国の意向に沿った「新宣言」で再定義される恐れが強い。政権内の基本的議論を怠ったまま、前のめりの外相提案は危険極まりない。

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2009年11月15日

鳩山政権は覚悟を決め「普天間」対米交渉に臨め

鳩山政権は覚悟を決め「普天間」対米交渉に臨め

―テレビは日米安保を聖域とせず報道を強化すべき―

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 在日米軍普天間飛行場の移設問題で鳩山政権が迷走している。このままでは「国外か、最低でも県外移設」とした選挙公約は風前の灯火だ。鳩山首相が「戦後行政の大掃除」を宣言(所信表明演説、10月26日)しながら、日米安保条約や在日米軍再編問題の根本的見直しを逡巡している民主党の姿勢に原因がある。

 鳩山首相は13日、初来日したオバマ米大統領と会談し、最大の懸案となっている普天間移設について「選挙で、沖縄県民に、県外か国外移転を公約したのは事実で、県民の期待感も強まっている」と辺野古以外の移設に理解を求めた。
 これに対しオバマ大統領は「ハイレベルのワーキンググループ(作業部会)で協議し、迅速に結論を出したい」と述べ、現行計画でまとめるよう促した。

 両首脳は、「普天間」で決裂し、日米同盟に亀裂が入ることを回避するため、閣僚級の作業部会での協議に結論を先送りした。
 しかし、この部会での協議については、日本側が辺野古以外の移設先を検討する機関としているのに対し、米側は現在の日米合意実施の場と位置づけており、同床異夢状態だ。今後の議論では、新たな緊張が生ずる可能性もあるが、鳩山首相が沖縄県民の声を踏まえて、覚悟を貫けるかどうかが焦点となる。

 この問題についてのテレビ報道は、「対等な日米関係」を掲げる鳩山連立政権の新政策とオバマ政権との「新緊張関係」にスポットを当てた。オバマ大統領の前に来日したゲーツ国防長官の理不尽な言動もあって、日米政府の協議をストレートに伝えるだけではなく、現地沖縄の米軍基地の実態や市民の声を丹念に拾う姿勢がこれまでより多くの時間を割いて伝えられた。

 しかし、沖縄に忍耐の限度を超えた基地の負担をもたらしている日米安全保障条約の問題に根本的なメスを入れる取材は皆無に近かった。番組によっては、寺島実郎氏らコメンテーターの発言を借りる形で、日米安保見直しの必要性を指摘するなど、基本的な解決の方向に言及する番組もあった。

 今後は問題点の指摘をコメンテーター任せにするのではなく、テレビ局自らが自分の言葉で問題提起することが求められる。そのためには、より深い、掘り下げた取材が欠かせない。特に沖縄県民の目線に立った取材と全国発信が必要となる。

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2009年10月28日

2009年10月02日

鳩山「温室効果ガス25%削減」に国連拍手 歴史の転換期にテレビの取材強化を期待

鳩山「温室効果ガス25%削減」に国連拍手

歴史の転換期にテレビの取材強化を期待

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 民主、社民、国民新3党連立の鳩山新政権が9月16日、発足した。
 メディア各社の世論調査によると、鳩山内閣は軒並み高い支持率を得ている。TBSの調査(21日)は80・1%の高支持率を記録、読売(10日)の75%、NHK(21日)の72%が続いた。

 鳩山新政権はニューヨークの国連を舞台に、外交政策を始動した。鳩山首相は国連総会で二つの重要な演説を行った。一つは、地球温暖化の原因となる温室効果ガス削減に関する演説。もう一つは、核兵器廃絶に関する演説である。

 鳩山首相は22日、国連気候変動サミットの開会式で演説し、2020年までの温室効果ガス削減中期目標について「1990年に比べて25%削減する」と明言した。同首相は、米国や中国などの排出大国に削減の枠組み参加を呼びかけると同時に、温室効果ガス削減を地球規模で推進するため、資金面、技術面で発展途上国を支援する「鳩山イニシアティブ」を公約した。

 鳩山首相が25%削減目標を明言した瞬間、議場から大きな拍手が沸いた。フランスのサルコジ大統領は演説で、鳩山首相の構想を称賛した。
 27日のTBS「サンデーモーニング」で岸井成格・毎日新聞特別編集委員は、「何回か首相に同行して国連総会を取材したが、各国代表は日本の首相の演説は聞いていなかった。拍手が起こるのは極めて珍しい」とコメント。

 鳩山首相は24日、「核不拡散と核軍縮」をテーマに掲げた国連安全保障理事会の首脳会合で演説し、核廃絶を訴えたオバマ大統領のプラハ演説を高く評価した上で、まず原爆の悲惨な実態を強調し「世界の指導者が広島・長崎を訪れて核兵器の悲惨さを心に刻んでほしい」と訴えた。

 その上で首相は「核兵器による攻撃を受けた唯一の国家」として「核を持たない強い意志」を示すため「非核3原則の堅持を改めて誓う」と述べた。そして、「日本が核兵器を持たないと言うだけでは不十分である」として、「日本は核廃絶に向けて先頭に立つ」と決意表明。核保有国に対し、核軍縮とCTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効などを呼びかけた。
 
 鳩山首相は歴史認識の問題でも、重要な発言をしている。韓国の李明博大統領との首脳会談(23日)で「新政権は歴史をしっかり見つめる勇気を持った政権だ」と述べた。中国の胡錦涛主席との首脳会談(22日)では、日本の侵略と植民地支配への反省と謝罪を表明した95年の「村山談話を踏襲する」と明言した。
 日韓、日中関係を強化して、東アジア共同体構想を実現するため、歴史認識問題に踏み込み、自公政治の負の遺産を断ち切る姿勢を示すメッセージである。

 鳩山首相の演説などの紹介が長くなったが、これは自公政治との違いを明らかにするためである。歴史に「たら、れば」はありえないが、もし、先の総選挙で自公が過半数を握っていれば、こうした演説は起こり得なかった。
 選挙で誕生した日本の新政権が歴史に取り残されることのないよう、有権者の一票が鳩山首相の背中を押したということがよく分かる。
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2009年08月25日

テレビは安保、核、対米従属をタブー視するな

テレビは安保、核、対米従属をタブー視するな

総選挙へ取材を強化し、的確な報道を期待

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 衆議院総選挙の投票が6日後に迫った。
 各テレビ局や新聞社は、先週末から一斉に世論調査の結果を報道している。いずれも「民主圧勝、自民歴史的惨敗」の方向で共通している。

 日本テレビのニュース「ZERO」は21日、「民主300議席を超す勢い」と伝えた。日本テレビホームページの政治部デスク解説によると、前回総選挙で自公両党が94議席(民主は7議席)を獲得した東京、大阪、兵庫の大都市圏では、今回自公が固めたのはわずか5選挙区で、民主が79選挙区、接戦18選挙区となっている。また、これまで自民が4連勝している94選挙区では、自民が優勢なのは12選挙区に留まり、民主46選挙区を固め、36選挙区で接戦となっているという。

 新聞も「民主300議席うかがう勢い」(朝日、20日)、「民主300議席超す勢い」(読売、21日)などと報道している、読売は「自民党は大苦戦を強いられている。当選可能性のある候補が今後健闘すれば、90人に近づく可能性がある」と分析し、自民党が歴史的大惨敗を喫する可能性に言及している。

 党首の失言などで、選挙結果が動く可能性はゼロではない。しかし、この世論調査に示された民意は、「自公政治は退場せよ」という有権者の明確な意思である。

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2009年07月16日

オバマアフガン増派「ベトナム」二の舞の危険

オバマアフガン増派「ベトナム」二の舞の危険

RKBとNHK、文民支援の重要性を特集

河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 イラク駐留の米軍が6月28日、都市部から部隊撤収を終えた。オバマ政権は13万1000人の米軍を年内に12万人規模へ縮小し、2年半後の2011年末までに完全撤退を目指すとしている。
 オバマ米大統領は30日、ホワイトハウスで演説し、イラク都市部からの米軍部隊撤収について、「米国がイラクで達成した重要な一里塚」と述べた。

 オバマ撤収発言は、ブッシュの負の遺産を解消するための第一歩として、肯定的な評価が多く見られる。しかし、2003年から6年間、米軍の侵略で破壊の限りを尽くされ、10万人を超える犠牲者を強いられたイラクに対し、オバマ大統領はどう償おうとするのか。

 NHKは6月29日の「ニュースウオッチ9」と、30日の「おはよう日本」で、この「米軍都市部から撤収」のニュースを、バグダッドからの記者リポート(生中継)を交えて報道した。
 記者は「イラク政府は30日を国民の祝日とした。やっと米軍がいなくなると、歓迎する声が聞かれる」とリポート。同時に「アルカイダなど武装勢力はイラク政府への攻撃を強めている」と伝えた。

 実際、米軍の「都市部撤収」を挑発するかのように、反政府武装勢力による爆弾テロが頻発している。6月24日にはバグダッドで、70人以上が爆弾テロの犠牲になった。「撤収完了」発表の当日には、北部キルクークで爆弾を積んだ自動車が爆発、32人が死亡している。
 
 NHKの報道は、イラクの市民の怒りを伝える視点が弱い。ワシントンの見方に傾斜したニュースづくりには不満は残る。しかし、全くと言っていいほど無視した民放の報道に比べれば、まだ、ましと言うべきか。
 筆者が見る限り、民放で報道したのは、6月30日早朝のフジテレビだけだったのではないか。それも、1分足らずの短い扱いで、問題点の指摘はゼロ。イラク戦争に関する民放各局の判断基準の鈍さには疑問符がつく。


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オバマ核廃絶宣言、北は逆行の核実験 テレビは「核のない世界」へ報道強化を

オバマ核廃絶宣言、北は逆行の核実験


テレビは「核のない世界」へ報道強化を


河野慎二(ジャーナリスト・元日本テレビ社会部長)


 4月から6月にかけて、核問題で大きな動きがあった。
 オバマ米大統領は4月5日、チェコのプラハで演説し、「核のない世界」の実現を目指し、「核廃絶」に向けた具体的な道筋を初めて明らかにした。
 この演説は、核廃絶を目指す世界の諸国民から歓迎され、核軍縮・核廃絶に弾みがつくものと期待が高まった。

 5月25日、北朝鮮が核実験に成功したと発表した。北朝鮮の核実験は06年10月に続く2度目のもので、オバマ大統領の核廃絶の方針に冷水を浴びせるだけでなく、朝鮮半島の緊張を一層強めるものとして、国際社会の強い反発を招いている。

 麻生首相は記者団から「核実験を阻止できなかったのは、どうしてだと考えますか?」と質問されて、「私には、答えられる限界を超えています」と述べている。半世紀以上、アメリカの核の傘の下にどっぷり浸かって生きてきた自民党の首相は、完全に答弁能力喪失症に陥っている。

 テレビカメラは、質問に戸惑う首相の表情を冷酷に映し出していた。唯一の被爆国の宰相が、核廃絶に向けた哲学や具体的な構想を世界に発信するチャンスというのに、思考停止状態をさらけ出していた。予想されたこととはいえ、全く情けない。


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2009年05月11日

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