2010年02月12日

「言論の自由を守る砦」のために〜放送行政の独立機関化を考える

「言論の自由を守る砦」のために〜放送行政の独立機関化を考える

岩崎 貞明(『放送レポート』編集長)


 原口一博総務大臣は、昨年12月から総務省で「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」を発足させた。原口大臣によれば「言論の自由を守る砦」を作るための議論を、有識者などによるこのフォーラムで1年ほどかけて行っていくのだという。これまでの議論を傍聴している限りでは、各メンバーが自らの関心事をそれぞれ散発的に述べ合うだけで、集中的な議論はまだ始まっていないが、「国民のコミュニケーションの権利」などといった、自民党政権時代にはおよそ公的な場では聞くことのできなかった単語が飛び交う会議には、新鮮な感銘を受けた。こういう会議が公開で(インターネット中継もされている)進められることは歓迎したい。
 この「砦」がいったいどのようなものを想定しているのか、現時点でははっきりとしていないが、選挙前から公表されていた民主党の政策集『INDEX2009』の中では「通信・放送委員会(日本版FCC)の設置」と題して〈通信・放送行政を総務省から切り離し、独立性の高い独立行政委員会として通信・放送委員会(日本版FCC)を設置し、通信・放送行政を移します。これにより、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除します〉とうたっている。放送行政を政府から切り離して、放送に対する国家権力の不当な介入を排除しようという姿勢を示していることは、まず評価していいと思う。
 問題は、そういう組織をどのように作り上げ、運営していくか、ということにある。そこで、先進諸外国では通例となっている独立行政委員会による放送行政を実現するために、筆者としてぜひ検討してもらいたいと考えるポイントをいくつかご紹介したい。

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2009年04月20日

「ミサイル」か「ロケット」か

「ミサイル」か「ロケット」か


放送レポート編集長 岩崎 貞明


 2009年4月5日(日)午前11時32分、政府は「北朝鮮から飛翔体が発射された模様」と発表、これを受けてNHKと民放キー各局はそれぞれ、通常番組からニュースに切り 替えるなどして速報体制を取った。〈NHKとフジテレビは番組を中断し、ニュース特番に切り替えた。TBSと日本テレビは放送中のニュース番組で伝えた後、通常の番組の一部を変更し、河村官房長官の会見を中心に伝えた。テレビ朝日も放送中の番組内で一報を伝え、その後「L字画面」に切り換えて報じた。テレビ東京は番組の内容、編成は変えず、速報スーパーで伝えた〉(『新聞協会報』4月14日付)ということだ。また、新聞各紙も号外を発行するなどして、いち早く速報を伝えていた。
 ところで、これらほとんどすべての報道における表現が「ミサイル発射」となっていたことに、気を留めた方はどのくらいおられるだろうか。たとえば朝日新聞の号外の大見出しは「北朝鮮ミサイル発射」、サブの見出しが「衛星名目、日本上空越える」となっていた。最初の段階では日本政府も「飛翔体」と発表していたはずで、北朝鮮は「衛星打ち上げ」だと表明していた(この号外の本記には「飛翔体」という政府発表も言及しているし、北朝鮮側の表明もリード部分で記述されている)。この段階で、明らかに「攻撃用兵器」であることを意味する「ミサイル」だと断定的に表現できる根拠はどこにあるのか、この号外の記事には明確な説明が見当たらなかった。他のメディア(新聞・テレビ)もだいたい「ミサイル」だ、と断定した表現をとっていたが、「ロケット」と表記していたのは、筆者の目についたところでは『しんぶん赤旗』と英字紙の『JAPAN TIMES』くらいだった。続きを読む
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2009年02月19日

中川大臣辞任――メディアは徹底的に追及を

中川大臣辞任――メディアは徹底的に追及を


放送レポート編集長 岩崎 貞明



 中川昭一財務・金融担当大臣が2月17日夕刻、首相官邸を訪れ、麻生太郎首相に辞表を提出し、受理された。理由は改めて記すまでもなかろうが、イタリア・ローマで開催された先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後に、もうろうとした状態で記者会見し、ろれつが回らないなどの醜態を世界中にさらした問題で責任をとったものだ。前日の16日夕刻に中川氏が首相官邸を訪れて麻生首相に陳謝した際には続投で合意していたはずだったが、翌朝病院で検査を行った後、午後には「予算と関連法案が成立した後に辞任」と修正、そして同日夕に辞表提出と、その「ぶれ」がまた麻生内閣の迷走ぶりを示すものとなった。続きを読む
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2009年01月20日

「地デジ」計画は破綻しているのではないか

「地デジ」計画は破綻しているのではないか



放送レポート編集長 岩崎 貞明


 この1月12日から全国のNHK・民放で、テレビのアナログ放送については画面の右上に小さく「アナログ」と表示する字幕スーパーが、CMなどを除いて常時表示されるようになった。もっとも、この字幕は遠慮がちに半透明の文字で表示され、番組のスーパーが上にかぶさって出されたりするので見にくいことこの上ないのだが、今後各テレビ局では、アナログ放送の終了予定を知らせる「お知らせ画面」やデジタル放送のPR番組など、「地デジ」推進に血道をあげることになっている。総務省が昨年10月、全国11ヵ所に設置した「テレビ受信者支援センター」は、来月には各都道府県に拡大され、視聴者からの電話による問い合わせなどに対応することになっている。
 しかし、このような準備で、あと2年あまり後の2011年7月24日にアナログ放送を打ち切ることができるのか、疑問なのが実情だ。結論を先取りすれば、筆者はアナログ放送終了計画は何らかの見直しが必要だと考えている。以下にその根拠をご紹介しよう。
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2008年12月03日

民放の赤字決算はテレビメディア「終焉」の予兆か



民放の赤字決算はテレビメディア「終焉」の予兆か


放送レポート編集長 岩崎 貞明




 十一月中旬に出そろったテレビの在京キー局の上半期(第2四半期)中間決算は軒並み業績を下げ、日本テレビとテレビ東京は赤字に転落した。日本テレビは半期ベースで三十七年ぶりの赤字、テレビ東京は中間連結決算を始めて以来初の赤字だということだが、テレ東については来年三月の期末決算予想でも約一億五千万円の赤字だという。他の在京キー局も大幅に利益を減らし、関西の準キー各局(毎日放送、朝日放送、関西テレビ、読売テレビ)もすべて中間決算で赤字転落となった。各地のローカル局でも、赤字決算が少なくないという、民放業界始まって以来の厳しい冬を迎えている。

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