2018年06月14日

JR東労組の組合員大量脱退に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2018年06月13日

JR東労組の組合員大量脱退に思う

 バリ島から帰国して3日目、溜まった新聞を読むのに骨折った。と言っても連載小説と川柳と赤旗の訃報欄のほかは見出しに目を通す程度だけどね。この間、米朝会談が取り止めになったり復活したりと目まぐるしく、今朝の新聞などは(『赤旗』も)特大の活字で白抜きの大見出しだ。

 そもそも金正恩の親父の金正日の時代から北朝鮮はアメリカとの差しの会談を要求していた。核開発もミサイルもそのための圧力手段だった。トランプがその圧力に負けて会談に応じただけではないか。北朝鮮にしてみればアメリカを引きずり出せれば中身なんかはどうでもいいというわけだ。

 3週間の記事の中では6月7日付の『毎日』夕刊の社会面に注目した。「JR東労組3.2万人脱退」「2月以降 スト予告に反発」。JR東日本の全社員5万6000人のうち4万6870人を組織していたJR東労組が2月から5月の間に激減し、1万5140人になってしまったというのだ。

 『毎日』によれば激減の原因は、2月6日に発したスト権行使の予告に対する組合員の反発だという。「ストライキをやれば電車が止まることもありうる。世の中の流れに合わない主張で、お客様に迷惑をかけるのはおかしい。組合にはついていけないと思った」という脱退者の話を取り上げている。

 JR東労組の源流は国鉄時代の動力車労働組合(動労)である。かつて動労は「順法闘争」と称して過激な行動を繰り返していたが、87年の国鉄民営化に対して突如反対から受け入れに変身、当局と妥協して生き残りを図った。国民の足を守る立場から民営分割に反対を堅持した国労や全動労はJRへの採用拒否や採用された人も運行現場から排除されるなどして組織的に大打撃を受けた。

 動労の変身を指導したのが松崎明である。彼は松戸電車区で組合活動を始めたが、60年安保の時期、極左の黒田寛一(クロカン)と接し反共・暴力集団の急先鋒となる。過激派「革マル」を率いて「中核派」と暴力的に対決する。国鉄内では動労が革マル、中核派は千葉動労に拠点を置いた。

 国鉄民営に賛成して当局に付け入った動労は、労使協調労組鉄労と手を結んでJR総連をつくり、その中の最大労組JR東労組を牛耳る。しかし松崎が死んだ後は当局との関係がぎくしゃくし、ついに当局に見放される。それを察した組合員が大挙逃げ出した、というのが今回の組合員激減の真相なのではないか。
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2018年06月07日

「働き方改革」は亡国の法案だ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2018年06月04日

「働き方改革」は亡国の法案だ

「働き方改革法案」が衆議院を通過した。政府与党は何が何でも今国会でで成立させるつもりらしい。彼らがそれだけ熱を入れるのには訳がある。法案成立は財界筋(日米独占資本)の強い意向であり、それに応えることが国民の信頼を失いつつある政府自民党の唯一の生き残る道だからである。

 この法案、中でも高度プロフェッショナル制度に対して野党は「過労死促進法」だとして強く反対している。もちろんその捉え方は間違ってはいない。「過労死被害家族会」の訴えは説得力がある。しかし、高プロ制度を過労死との関連だけで糾弾するのでは少し狭すぎるのでないか、とおれは思う。

 高プロ制度は戦後70年続いた日本の労働基準法体系を根本からひっくり返そうとするものだ、というのがおれの見方だ。現行の労基法には労働時間、休憩時間、休日、有給休暇、時間外労働、時間外・深夜労働割増賃金などの規制・規定が明示されている。その規制が十分かどうかは別だが・・・。

 今度政府・財界が導入しようとしている高プロ制度はそれらの規制をきれいさっぱり取り払ってしまう。労働時間という概念が消えてしまうのだ。確かに今まででもタクシーの運転手や一部セールスマンにはなんぼ金を稼いだからいくらという歩合制賃金のところがあった。しかしそれらの歩合制労働者も1日8時間、週40時間の規制は適用される。もちろん最低賃金制も適用なので無制限な長時間・低賃金労働は禁止された。

 何故資本主義社会なのに労働者の労働条件保護が法律で決められねばならないのか。それは資本主義を維持するためである。資本主義といっても働くものがいなければ社会は成り立たない。労働力の再生産が必要なのだ。いわば「持続可能な労働力」かあって初めて資本主義が存在できるだ。

 労働時間の規制は労働者の要求であると同時に資本主義の成立要件でもある。何故なら労働者が生理的条件を超えて働くようになったら、労働力の補充は途切れ、生産はストップせざるを得なくなる。日本の財界筋・独占資本はそこのところが分かっていない(分かっている人もいるのかも知れないが)。

 目先の利益にしか頭が働かない。アベノミスクとかいっても景気は一向によくならない。生産が落ち込んでも利益は確保したい。それには1人の労働者からより搾り取るしかない。そのためには8時間労働なんかに構ってはいられない。3人に8時間ずつ働かせるより2人に12時間ずつ働かせるほうがずっと安くつく。それが本音だ。「働き方改革」は亡国の法案だとおれは思う。
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2018年05月24日

連合と政府が「働き方改革」で一致 

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2018年05月19日

連合と政府が「働き方改革」で一致 

 ズサンな資料、インチキデータで法案自体が自爆するはずの「働き方改革関連法案」が、来週中にも衆議院を通過し、今国会で成立する運び(19日付『毎日』)だそうだ。国会内外で労働弁護団やエキタスなどの市民団体が反対運動をやっているが、どうも肝心の労働組合の影が薄い。

 折も折、連合の神津理季生会長が首相官邸で菅官房長官に会って「2019年度 連合の重点政策」を提示した。「連合は5月17日、菅官房長官に対して『2019年度 連合の重点政策』の実現を求める要請を行いました。連合からは神津会長、相原事務局長等が出席しました」(18日付『連合ニュース』)。

 連合が要請したとする「重点政策」は4本10項目から成り、「長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化、医療・介護・保育で働く職員の処遇・勤務環境の改善をはじめとする人材確保対策の強化、待機児童の早期解決のための財源確保と質の担保された受け皿の整備に向けた政策の推進」などを内容とする。連合側からポイントを説明し、意見交換をしたという(連合ニュース)。

 俺もそうだがこれを見た労働者は「なんだこりゃ」と驚き怒りが湧いてくるはずだ。これじゃまるで現在争点になっている「働き方改革関連法案」の推進要請ではないか。連合が一応反対している「高度プロフェッショナル制度」については何もない。ということは容認するという意思表示ではないか。

 5月17日付『産経』は「神津理季生連合会長『高プロ』反対を自粛!?菅義偉官房長官と面会」と報じた。「(菅長官と神津会長は)働き方関連法案について、国会で論議を深めることが重要だとの認識で一致した。(連合が反対している高プロには)神津氏は特段、言及しなかった」「菅氏は『方向性は政府も全く同じで、働き方改革の実現にしっかり対応していきたい』と伝えた」。全く舐められている。

 今時連合が労働者の代表だなんて思っている人はいないだろうが、おれたちが思う思わないにかかわらず、少なくとも安倍政権は連合を労働者代表として都合よく利用している。この構図をぶっ壊したいものだ。

 明後日から3週間、バリ島滞在だ。向こうでインターネットにつないでもらえるはずだから、メールもブログもこれまでと同じだ。平常通りお付き合い願いたい。
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2018年04月19日

根が深い外国人労働者問題

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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2018年04月17日
根が深い外国人労働者問題

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 駅前の通りを歩くとアジア系外国人とよく行き違う。けやき通りの床屋さんは「常盤平団地にもたくさんの外国人がいてうちにもくる。洗髪しなくていいから1000円にしてくれと言われて困る」と嘆く。居酒屋チェーンの従業員の半分は外国人のように思う。いったいこれからどうなるのか。

 4月11日付『日経デジタル』は「外国人、技能実習後も5年就労可に、本格拡大にカジ」のタイトルで日本における外国人就労について報じている。「政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る」。

 さらにネットニュース『ダイヤモンドオンライン』(3月13日付)は「日本は外国人労働者にどれだけ支えられているか?知られざる現実と課題」と題して実態を抉る。「日常生活を送るなかで、飲食店で外国人労働者に接客を受ける機会やレジスタッフがほとんど外国人店員であるコンビニエンスストアを見かける機会が増えたと感じないだろうか。特に都市部では、こうした変化を日々実感している人は少なくないはずだ」。

 日本で働く外国人労働者は2017年10月現在で127万8000人、雇用する事業所は19万4000にのぼる。全産業において外国人依存度は高まっており、宿泊業、飲食サービス業では25人に1人が外国人だ。昨年技能実習制度に介護職が追加されたことにより、今後、医療・介護分野における依存度が高まることが想定される。依存度の高い業種の特徴として@入職率、離職率が高い、A人手不足、B低賃金、C労災率が高い、などがあげられる。日本人がやりたくない仕事を押し付けている格好だ。

 政府はそもそも単純労働者の受け入れは原則としては認めていない。しかし抜け穴がある。技術実習生制度だ。これをどんどん拡大して事実上単純労働者を受け入れてきたのが実態なのだ。しかし技術実習生の延長としての受け入れでは、外国人労働者の労働条件、働く権利は著しく制限され、劣悪なまま放置される。このような無権利の外国人労働者の存在によって日本人の日常が支えられるとしたら・・・。

 ではどうしたらいいか。おれはまず欺瞞的な技能実習制度を即刻廃止すべきだと思う。外国人労働者を労働者としてきちんと位置付ける。労働基準法、最低賃金法、労働組合法など労働法規をすべて平等に適用する。外国人でも長く日本にいれば家族も持つし、子どももできる。外国人労働者の人生に責任を持った国の政策が確立されなければならない。それが出来なければ受け入れるべきでない。一番悪いのは、劣悪な現状に目をつぶり、日本側の都合でなし崩し的に受け入れを拡大することだ。 
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2018年04月13日

戦後続いた労働体系を壊させてなるものか

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2018年04月09日
戦後続いた労働体系を壊させてなるものか

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 「高プロ争点に攻防へ」「働き方改革 閣議決定」(7日付『毎日』1面)「労働時間の拡大懸念」「緩和と強化抱き合わせ」「上限規制骨抜きの恐れ」「与党に会期延長論 追及覚悟で成立狙うか」(同3面「クローズアップ2018」)。「安倍晋三首相は今国会を『働き方改革国会』と位置付けており、与党は働き方改革関連法案の成立に全力を挙げる」。

 同日付の社説も「働き方改革」だ。タイトルは「残業時間の規制が原点だ」。要旨をまとめると次のようになる。「当初の予定が遅れたのは厚労省のデータに不自然な数値があったためで、結局裁量労働制の拡大は削除された。若い世代が安心して働くためには残業規制が重要。ところが法案は高プロなどの残業規制外しが組み込まれた。残業規制と規制緩和が同じ法案であることに無理がある。まず残業規制という原点に立ち返って議論すべきだ」。この主張は間違ってはいないがいかにも甘い、とおれは思う。

 今年2月、安倍首相が法案の根拠とした厚労省データがズサンな代物だったと叩かれて、裁量労働制の拡大という法案の一角が崩れた。その時一番悔しがったのが経団連(財界)だった。つまり財界にとっては裁量労働制とか高度プロフェッショナル制度とかはかねてからの宿願だったのだ。

 日本の働き方を律する労働基準法は時間管理が基本である。何時間働いて何ぼの賃金というのが原則なのだ。週40時間とか週休2日とかの労働時間規制は、財界にとっては搾取の限界が法律で決められているということであって我慢ならない。「企業利益にどれだけ貢献したから何ぼ」の賃金体系、つまり「成果」を基準にした新しい労働基準を設けたい。安倍首相の働き方改革は財界の意向そのものなのだ。

 「働くだけ働かされて、つぶされるのではないか」と40歳代のコンサルタント業務の男性は危機感を抱く(『毎日』)。「多忙な時期に睡眠が1〜2時間の日が続き、過労で倒れた経験かある」。この働き方は明らかに正常ではない。問題はこんな働き方が高プロ制度によって法律のお墨付きをもらえることだ。今必要なのは労働基準法の厳守であって財界の希望する「緩和」であってはならない。

 安倍首相や財界が狙うのは、戦後続いてきた労働基準を根底からひっくり返すこと、彼らの言葉を使うなら「改革」「革命」なのだ。こちらも腰を据えて対決しようではないか。特に労働組合の奮起を促したい。
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2018年02月22日

芸能人の不利益契約に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2018年02月18日
芸能人の不利益契約に思う

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 「移籍制限 法違反の恐れ 公取委」「芸能人の契約慣行」(17日付『赤旗』)。「公正取引委員会の有識者会議は15日、芸能人やスポーツ選手らの契約で、事務所が移籍制限など不利な条件を一方的に設けることは独禁法違反の疑いがあるとの報告書をまとめました」。

 芸能人やスポーツ選手などいわゆるフリーランサ―の地位が不安定であることは昔から指摘されてきた。何故か。いろんな原因があるかと思うが、一番にはその人たちが労働者として扱われているかどうかが問題なのだとおれは思う。芸能人らと出演契約(おれは雇用契約だと思うが)を結んでいる芸能事務所などに労働者を雇用しているという意識がないのは分かる気がするが、当の芸能人本人にもその自覚がない場合が多い。

 そのことをきちんと指摘して労働者としての自立、権利の主張、組織化の方向を先駆的に打ち出したのが佐藤一晴さんだった。佐藤さんは東大仏文学学部の卒業。広告代理店に勤めたが会社倒産に直面し、潰した毎日新聞を相手取って労働争議を始める。争議解決後、音楽家の労働運動に身を投じ、例の日本フィル争議を勝利に導いた。おれは一晴さんが争議を始めた時からの付き合いだ。

 一晴さんにはいろんなことを教えられた。それまでおれは企業内労働運動しか知らなかった。それが個人加盟の産業別組合の世界に目を開かされた。当時喧嘩するのは職制かせいぜい会社の労務、狭い範囲の労働運動だった。おれの場合はそれで結構労働運動として通じたが、音楽家ともなるとそうはいかない。

 おれが都労委の労働者委員になりたての頃、一晴さんが持ちこんだ事件に「モンテ企画」があった。日唱という合唱団の契約にかかわる事件で、普通の労使紛争と性格を異にしていた。まず使用者であるモンテ企画が頼りない。都労委には弁護士に連れられて社長が来ていたがまるで話にならない。佐藤一晴さんのほうがどう見ても人物が上だ。和解を勧告しておどしたりすかしたりしながらなんとか解決させた。

 和解協定書に、経営者と労働組合が対等に協議して合唱団を経営して行くことが明記された。それだけ一晴さんたちの方に経営の責任がかぶさるのだが、音楽業界とはそういうところだということが分かった。争議解決後渋谷のスナックで開かれた解決パーティに招かれた。合掌団員の女性たちに感謝されていい気持になったことを思い出す。一晴さんはいい仕事をしているなと羨ましかった。

 確かにフリーランサ―の雇用安定は大切だが。まず芸能人たち自身が自らを労働者として自覚することが大切だと思う。それが古希を前に胃がんが亡くなった一晴さんの願いでもあったはずだ。
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2018年02月02日

コケにされた「労働組合」

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2018年01月28日
コケにされた「労働組合」

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 26日の参院本会議で日本共産党の小池晃議員が代表質問を行った。「安倍政権の暴走 転換迫る」質問内容だった(27日付『赤旗』)が、安倍晋三首相の答弁は小池氏の言によれば「まったく質問に答えようとしない態度が鮮明になった」だけ。どうせ事務方任せでつくった答弁だろうが、『赤旗』に載った「働き方改革」関連の答弁要旨を読んでみた。そこにあるのはコケにされた労働組合の姿だった。

 まず「高度プロフェッショナル制度」。小池氏が「(残業代ゼロ法案であり)まさに財界の要求そのもの」と追及したのに対して「昨年3月28日、私自身が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者に集まりをいただいた働き方改革実現会議において、働き方改革実行計画を決定した。この実行計画に基づいて行う改革であり、財界の要求そのものという指摘は当たらない」と答えている。

 また、「月100時間の残業規制は過労死ラインを超えている」との指摘については「時間外労働の上限は、月45時間、かつ年300時間と法律に明記する。そのうえで労使が合意した場合でも上回ることができない上限を、年720時間とし、その範囲内において複数月の平均では80時間以内、単月では100時間未満と定めている」「『過労死の合法化』という批判はまったくあたらない」と言い切る。

 そのほかで気になったのは、「無期転換ルール」について「改正労働契約法に見直し規定が設けられており、施行状況を監視しつつ対応している」と述べている点だ。つまり無期転換ルールの適用で紛争があるなら法律そのものを見直すというわけ。これは酷い。非正規労働者の雇用安定にとって大変な逆行である。

 それにしても「高プロ(残業代ゼロ)法案」は「労働代表」も容認しているとか、時間外規制は月45時間だが労使で合意するなら100時間まで働かせていいよ、つまり労働側の自己責任だよという言い方には今さらながら頭にくる。最もそう言わせる原因は連合の側にあると認めざるを得ないけどね。

 挙句の果てに「時間外労働を適正化するための指針を定め、国が使用者および労働組合等に対し、必要な助言、指導を行えるようにすることを予定している」と「労働組合に対する指導」まで持ち出された。哀れ労働組合は時間外労働のあり方について安倍晋三に「指導」されるところまで落ちぶれてしまった。

 ここまでコケにされて連合は黙っているのか。「官製春闘」に甘んじるのか。さあどうする。
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2018年01月18日

労働組合としての今年の課題F止 争議解決

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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18年01月15日
11549 労働組合としての今年の課題F止 争議解決

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

 解雇闘争などの支援の必要性について私は「合理化の頂点に立つ人たち」だからだ、と強調してきた。この問題についてそんなに説明はいらないだろう。企業の論理によって解雇を受ける、それはすべての場合「合理化」の一環だからだ。

 1978年に沖電気で1,350人大量解雇が強行された。「企業として生き残るため」というのがその理由だった。電気労連(当時)に加盟していた労働組合は、形の上では反対したが受け入れた。解雇されたなかの70人近い人たちは、争議団を結成し職場復帰を求めて闘いを開始した。まだ総評が健在で、電気労連では取り組むことができなかったが、少なくない労働組合が支援に立ち上がった。

 闘争の中で、とんでもないことも明らかになった。会社は解雇した人たちの一部を密かに再雇用していたのである。これはひどい。解雇された人たちのなかには、労働組合活動に積極的な人、会社にモノいう人が多く含まれていた。こういう人たちを追い出すためにそのほかの人たちを道連れ≠ノしたのではないかと考えたくなる事件だった。10年余の闘いを経て争議は解決したが、この闘いは典型的な「合理化」大量解雇だった。

 同様なのが現在も闘われている日本航空である。2010年、経営が危なくなったとして日本航空経営は退職勧奨をおこなった。その数は予定数に達したが、それを超えて165人もの人たちをなんと年末の12月31日に解雇したのである。

 紙数の関係で詳細は省くが、解雇事件は最高裁まで闘われたが組合側は敗訴した。しかし、管財人が「スト権を立てると国からの支援が受けられなくなる」という発言の不当労働行為について、東京都労働委員会がこれを認め、最高裁まで争われたが最高裁もこれを認めた。最高裁は、「不当労働行為があったことを認め、解雇は正当」というちぐはぐな判断をしたことになる。

 裁判は終わったが、解雇撤回闘争は8年目に入った。この間日本航空は、客室乗務員を新規に3000人雇ったという。パイロットも不足している。経営が判断さえすれば、この人たちを職場に戻すことはできるのだ。支援運動も広がっている。

 争議解決に必要なのは経営の判断だけだ。それを引き出す取り組みを反合化闘争の頂点≠ニ位置づけ、労働組合全体が展開できるのかどうか、試される時期にきたといえる。日本航空だけではなく、30年を超えた明治乳業の賃金差別闘争にも終止符を打つ取り組みが必要になっている。



★脈絡のないきょうの一行
「企業の利益の割に、(労働者の)給料が上がっていない。」(14日・朝日デジタル新聞)と麻生財務大臣。暗に連合批判。珍しく的を射ているかも。
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2018年01月13日

新年や腹立つことの多かりき

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2018年01月11日
新年や腹立つことの多かりき

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

「日大、大量雇い止め狙う」「無期転換逃れ」「授業削減で学ぶ権利侵害」(10日付『赤旗』)。日大が今年4月1日に発効する改正労働契約法(有期雇用労働者が5年働けば無期契約に転換できる)の適用を逃れるため、非常勤講師の大量雇い止め(解雇)を強行しようとしている。明らかに脱法行為だ。

 安倍首相は年頭の記者会見で、9条改憲と働き方改革に熱意を示した。労働者の働き方が安定し、過労死のない職場が保障されるならそれはいいことだろうが、彼らの考えているのはそんな甘いものではない。過労死ラインを超える残業容認、金銭による解雇野放し、残業代ゼロ、裁量労働制の拡大などなど。

 中には「同一労働同一賃金」なんていう労働運動用語を使った耳触りのいい法案もあるが、同一労働の垣根を高くして結局は差別の合法化を狙うだけ。派遣法も経営者の都合のいいように改悪されて、あらゆる業種で一生派遣の労働者がどんどん増えている。しかも細切れ雇用だから将来の生活設計など立つわけがない。

 おれが特に腹の立つのは残業代ゼロ法案に関連して使われている「高度プロフイッショナル」という言葉だ。働いている人はすべてプロだ。アルバイトやパートでもその働きで賃金を得ている限り間違いなくプロなのだ。政府は高度プロフイッショナルとは例えば「為替ディラ―など年収1075万円以上の専門職」と定義している。為替ディラ―も仕事だろうがビル掃除だって立派な仕事なのだ。

 安倍政権のいう「働き方改革」とは要するに労働者の分断と格差の公認、行き先は労働者の蔑視だとおれは思う。「橋をつくったのはこのおれだ/道路をつくったのもこののおれだ」という歌がある。世の中、働く者がいなくなれば進歩も繁栄もありゃしない。労働者を馬鹿にするってことは人類を馬鹿にするということだ。

 さてそこで大事になるのが労働運動だ。それを担う労働組合だ。しかし労働組合は、昨今ますます影が薄くなっている。昔は春闘だ、賃上げだというと新聞記者は労働組合に取材に行ったものだが、最近は首相の賃上げ発言に殺到する。官製春闘なんて嫌な言葉が定着する。なんとかしてほしい。

 今朝の『赤旗』に「独金属労組 警告スト」「6万人 賃上げ・時短求める」という記事があった。ドイツ最大労組「IGメタル」は6%の賃上げと週28時間制の時短を要求しているそうだ。
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労働組合としての今年の課題@「働き方改革」

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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18年01月04日
11543 労働組合としての今年の課題@「働き方改革」

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

カレンダーどおりきょうから仕事はじめです。改めて、本年もよろしくお願いいたします。今年の課題は山積している。そこで労働組合らしく、賃上げ問題から考えてみたい。

 賃上げの環境は整っている。株価は上がり、景気は回復しているというからだ。連合はそれを見据えて昨年の11月段階で「賃上げ2%」基準を示した。ところが政府は3%を提案してきたのである。これに対応すべく、連合はベア2%、定昇2%へと賃上げ基準を修正した。これはこれで良し、としよう。

 大企業をはじめとした日本の5000社の内部留保は300兆円を超えた。そのうちの5%を使えば、労働者一人当たり1万円の賃上げは可能であるという試算がある。1万円は小さくない。景気が回復しているのであればいや、そうでなくても、即刻賃上げを実施してほしい。そのことが破綻したアベノミクスを回復させる最短の道でもある。

 労働環境はどうか。「働き方改革」という名を冠した残業代ゼロ法の企みは消えていない。むしろこの通常国会で得意の強行採決で突破しようとさえしている。「高度プロフェッショナル制度」なる耳障りの言い言葉が飛び交っているが、早い話、残業代ゼロ法だ。

 これは危ない。年収1000万円を超える労働者を対象にすると言っているが、だまされてはいけない。あの派遣法が制定された時、限られた業種だけがその対象となっていた。ところが今ではその枠はない。同じように、残業代ゼロが限られた高所得層に適用されることになったら、今度は遅からず全労働者に波及する。これは断言できる。決してヒトゴトではない。

 そもそもこの「働き方改革」という表現は変だ。働き方を変えるのは当の労働者であって、労働者側から言い始めたのであれば納得がいく。ところが今のそれは政府が言い始めたものだ。ということは上から目線であり、正しく表現すれば「働かせ方改革」というべきだ。いや「改悪」と言ったほうが分かりやすい。

 雇用に関して「18年問題」という言葉があるのをご承知だろうか。今年4月から非正規労働者のなかで5年以上勤務した人は、本人が希望すれば「期限のない雇用関係」を結ぶことができるというものだ。これをめぐって、昨年秋から使用者と労働者の攻防が始まっている。

 その典型ともいえるのが、大学の職員だ。たとえば、東京大学だけで見れば非正規職員は3500人いるという。その人たちのほとんどは勤続5年に達することになり、今年4月から「期限の定めのない労働者」になることができるという。労使間の交渉はすすんでいるというが、私が所属する千代田には、日本大学、明治大学、法政大学などマンモス大学が集中している。これは他人ごとではない。(つづく)



★脈絡のないきょうの一行
長崎で火災によって幼児2人が死亡。この季節、火災によるいたたましい事故が絶えない。手を合わせるだけに隔靴掻痒感。
posted by マスコミ9条の会 at 18:38| Comment(0) | 労働運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月05日

戦争に奉仕する「労働」づくりはノ―だ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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2018年01月03日
戦争に奉仕する「労働」づくりはノ―だ

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 暮れの30日にやってきた孫たちが、元日の夕飯を食べて帰っていった。孫は今年小5と5歳になる。いつまで相手できるかわからいけど「じいじが好き」なんて言われるとこちらが生きている喜びを感じる。腰と足の痛みがだいぶ軽減した。孫たちのためにもおれでできる平和への取り組みをやる年にしたい。

 平和への取り組みと言えば当面、安倍政権の改憲策動とのたたかいが焦点になる。2年後に憲法を変える国民投票となるかも知れない。幼時に戦争というものを体験した世代として、肉声で戦争反対を発言していかなければならない。おれはそういう意味を込めてこのブログで「爆風」を書いているつもりだ。

 この通常国会では「憲法」とともに「労働」も激しいせめぎ合いになるだろう。九条を変えて戦争をできる国にするには労働のあり方をそれに合ったものにする必要がある。戦前戦中、日本では労働組合も労働運動も根絶やしにされたしまった。「労働」は戦争に奉仕する目的にのみ絞られた。

 官製春闘などというのも労働組合無用論の一里塚だとおれは思う。残業代や、裁量労働や、過労死対策や、雇用形態など働き方に関することはすべて国のお仕着せ。労働者の生殺与奪の権限は国が持つ。労働者の権利だとか、労働者の団結だとかいう奴は雀の涙の金銭で企業から排除する。それが狙いだ。

 狙いを定められている労働組合側の現状はどうか。昨年の総選挙を前に民進党が分裂したが、おれは近い将来連合が分裂すると見ている。分裂だけならいいが下手すると消滅なんてことになりかねない。去年暮れに発表された労働組合組織率は17.1%だが、この組織率を支えているのは大企業の組合なのだ。

 鉄鋼、造船、電機、自動車、流通などの大企業には、正社員全員加盟の労働組合がある。入社すると自動的に組合員となるユニオンショップ制のためだ。組合費も会社が一括徴収して組合に渡してくれる(チェックオフ)。今はその方が国や経営者に都合がいいから組合の面倒を見ているだけで、もう組合なんか要らないとなれば、ユニオンショップもチェックオフもなくすことが可能だ。そうすれば組合全滅なのだ。

 もちろんそんな組合ばかりでなく、きちんと自主的に運営するたたかう組合もある。しかしそういう組合には厳しい制裁がかけられる。つい最近の話だが、長崎にある九州商船という離島航路の船会社の労働組合がスト権を立てたら「スト中止」の仮処分申請が会社から出された。堂々たる憲法違反の申請だ。結果は組合の要求が通ってスト中止になったが、恐ろしい世の中になりそうだ。

 おれは平和を守るたたかいも労働組合を守るたたかいも今年あたりが正念場だと思っている。
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2017年12月29日

企業不正を正すのは労働組合だ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年12月23日
企業不正を正すのは労働組合だ

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 「中堅の受注調整関与か」「リニア談合大手4社」。「神鋼役員 不正認識」「アルミ・銅部門3人更迭」「神鋼不正さらに拡大も」「統治不全 全容解明遠く」。「のぞみ台車『破断寸前』の衝撃」「JR全体で深刻さ認識を」(社説)。「経団連、自主調査を要請」「会員企業へ 信頼低下に危機感」。日産副社長、退任へ」「生産事業担当 不正検査で更迭か」「日産本社きよう 国交省立ち入り」。

 企業不祥事の記事が『毎日』22日付朝刊だけでこんなにある。このほか「東京海上代理店 顧客情報が流失 口座など5400件」「生産性上がらぬ日本 G7で最下位」などというのもある。日本の経済社会を日本共産党は「ルールなき資本主義」と名付けている。まさにその通りだ。

 資本主義はそもそも利益第一主義なのだが、それにしても上に挙げた企業は酷過ぎる。さすがの経団連も「品質管理のデータ改ざんなどの不正はないか年内をめどに自主的な調査を行い、法令違反などがあった場合は速やかに公表するよう」呼びかける始末だ。企業運営にルールのないことを自ら認めた形だ。

 どうしてこんなことになったのか。おれは労働組合の責任が大きいと思う。労働組合が企業のチェック機能を果たしていないことから企業の暴走に歯止めがかからない。チェック機能どころか企業の共犯者になっているのがいまの独占大企業の労働組合だ。30年前まではこれほどではなかった。

 労働組合のふがいなさと同時に指摘しなければならないのが国の経済政策だ。たとえばリニア新幹線。国民の交通利便性と全く関係ないところで立案され巨額の税金が投入されている。誰のためか。今度の「リニア疑惑」で名前の出た鹿島、大成建設、大林組、清水建設などの巨大ゼネコンのためだ。20年の東京オリンピック、原発、豊洲市場も同類だ。初めから談合ありきの腐った事業だったのだ。

 おれはこれら@リニア新幹線、A東京オリンピック、B原子力発電、C豊洲市場の「四つの中止」を呼びかける。昔、巨大ダムや空港建設、高速道路、本四架橋など「無駄な公共投資」反対を掲げて労働組合がたたかった時代があった。東京総行動で丸紅の企業責任を告発して社屋を包囲したこともあった。

 ルールなき資本主義を糾弾し、ルールある経済社会を求める運動に、今こそ労働組合が先頭に立つべきだとおれは思う。
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2017年12月21日

理研労組の都労委申立に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年12月19日
爆風(25)

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 「理研が無期逃れ」「5年雇い止め 組合、都労委に」申し立て」(19日付『赤旗』)。2014年春、小保方晴子さんのSTAP細胞捏造で問題になった理研。小保方さんは1年更新の非常勤職員だった。めぼしい研究成果をあげないと契約更新が危ない。そんな事情が彼女の焦りを呼んだ。

 理研(理化学研究所)は100年前の1917年に財団法人として設立。戦後の一時期は株式会社になったこともある。58年に特殊法人、小泉内閣の時代に独立行政法人となり現在に至っている。国からの研究費交付が運営の財源だ。小保方さんのような非常勤職員が4209人もいる。

 ところで5年前の民主党政権時代に法改正になった労働契約法第18条が来年4月に発効する。有期雇用契約の労働者が5年経って無期契約を申し出れば使用者は受け入れざるを得ない。この「無期転換ルール」の適用を巡って今いろんな企業で問題が起こっており、今回の理研事件もその一つだ。 

 理研はこの無期転換ルールを逃れるため16年4月、終業規則を「非常勤職員の契約は5年を上限」と変更。さらに「再雇用に6ヵ月のクーリング期間を設ける」とした。これには労働者過半数代表も理研労働組合も反対したが当局はそれを無視して5年を超える非常勤職員を雇い止めするする構えだ。

 「組合側は団体交渉で(雇い止めの)撤回を申し入れましたが、当局側は撤回を拒否し、雇い止めの理由や必要性を具体的に明らかにしないため、不当労働行為の救済を申し立てたものです」。形式的には団交に応じても具体的な説明もしないのは「不誠実団交」として労組法7条違反になる。

 都労委申立後の記者会見で、雇い止めの対象にされている労働者は「引き継ぎの職員は、すぐには理解できず、私に聞きにくる。こんな無駄な雇い止めをなぜするのか」「競争している研究成果の緊急発表の支援など、規定を理解した職員がいないとできない」と訴えている。

 金井保之理研労組委員長も「職員は研究がスムーズにいくよう支えている。ベテランがいなくなれば研究現場は混乱し、回らなくなる」と指摘する。小保方さんが辛い思いをした理研の雇用・組織の環境がそのまま現在に引きずられている。それにしても小保方さんは今どこで何をしているのだろう。
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2017年12月14日

明乳よ、道義に基く企業であれ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年12月12日
明乳よ、道義に基く企業であれ

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 昨11日10時から東京地裁で明乳事件の口頭弁論があった。9月7日の期日で春名裁判長は会社に和解を打診したが、10月2日、けんもほろろに断わられた。こんな分からず屋の会社は裁判長も初めてなんじゃないかな。それで仕切り直しになった。判決を前提に本格的な主張・立証に入る。

 裁判長の和解打診は、中労委命令の趣旨に基くものだった。命令は申立人の訴えを棄却した不当なものだったが、末尾に「付言」の一項を設け「話し合いによる解決」を会社に要請している。確かに付言には法的拘束力はない。だから会社が話し合いを拒否しても命令違反にはならない。しかしだからと言って「話し合いはしません」「そうですか」で済む問題ではなかろう。

 世の中を律するには法的拘束力のほかに道義というものがあるとおれは思う。広辞苑によれば「人として行うべき正しい道」とある。要するに人の道だ。古来から人間は人の道を踏まえて政治や経済を成り立たせてきた。人の道から外れた行為は歴史によって淘汰されてきた。人の道がそうであるように企業にも「企業として行うべき正しい道」があるはずだ。それはどんな企業も踏まえなければならない。

 企業活動に工場や機械がなければならないのはもちろんだが、それだけで物は生産されない。工場や機械を動かす労働者がいなければ1台の車も1瓶の牛乳もできない。明治乳業が現在あるのは工場で機械を使って営々と仕事に従事してきた労働者あってこそだろう。それは否定できない事実なのだ。

 では明治乳業の64人の本件申立人は仕事をしなかったのか。生産活動に従事しなかったのか。ま他の労働者より幾分口うるさい人たちだったかも知れないが、入社してから40年もひたすら乳製品づくりに携わってきたのは事実だろう。おれの言葉で言えば「会社は40年間労働を搾取してきた」のだ。

 会社から見ればこれら申立人の思想は「アカ」で気に入らないだろう。しかしアカでもシロでも労動力の価値に違いはない。それをどう企業運営に活用するかは会社に任されているかも知れないが、「アカだから仕事をしても評価しない」「話し相手になんかなるもんか」と半世紀も言い続けるのはいかがなものか。人の道に外れていることはもちろん、企業の道にも外れているのではないか。

 おれは明乳経営陣の中に企業の正しい道を志向する人たちが必ず出てくると信じている。そのきっかけをつくるためにも東京地裁が申立人を主張を汲み入れた判決を出されることを切に願う。
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2017年12月10日

原寿雄さんの死を悼みながら

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年12月9日
原寿雄さんの死を悼みながら

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 元共同通信の原寿雄さんが92歳で亡くなった。『赤旗』が7日付の社会面(死亡欄)で報じ、9日付の「潮流」で追悼の言葉を贈っている。「亡くなるまで、ジャーナリズムのあり方や表現の自由の大切さを語っていた原さん。その熱いメッセージから学んだ記者は多い。ジャーナリストは自由の消費者ではない。自由の生産者、構築者たれ」。原さんが労働運動家としても優れていたのはあまり知られていない。

 おれは茨城の高校を出て、1956年に毎日新聞東京本社印刷局に入社した。1年の試用期間を過ぎて組合員になるとすぐ職場新聞を発行。それが認められて58年に青年部書記、59年には新聞労連東京地連青婦協議長に選出された。その時新聞労連副委員長・東京地連委員長をしていたのが原寿雄さんだ。

 60年安保最盛期には新聞労連も連日500〜1000人の動員をしたが、始めの頃はちょぼちょぼだった。原委員長の後に労連旗を持ったおれしかいないなんてこともあった。「なんだブル新しっかりしろ」などと野次られたりした。それでも原さんは毅然として前を向いて行進していた。

 60年は安保とともに三池闘争もたたかわれた。原さんは総評の常駐オルグとして現地闘争本部に派遣された。総評は5月27日から30日まで全国からオルグ団を結集、東京地連も8人を現地に送り込んだ。おれはその一員だったが、ホッパー前でデモを指揮する原委員長を誇らしく思ったものだ。

 安保も三池もたたかいが終結した61年7月、新聞労連東京地連定期総会でおれは書記長になった。委員長は4期目の原さん。当時新聞労連書記局は京橋にあった。非専従書記長のおれは有楽町駅前の毎日新聞社から歩いて通った。原さんは労連副委員長の仕事が主なので地連関係はおれに任された形だった。

 役選の難航のため開催の遅れた62年11月の労連大会で原さんは専従を降り共同通信の職場に戻った。同時に東京地連委員長も退任したのだが、最後の議案書づくりでアクシデントがあった。原さんとおれで分担してつくった議案書の原稿を印刷屋が紛失してしまったというのだ。

 さあ大変。今日中に原稿を書かないと定期総会に間に合わない。原さんは原稿用紙を広げて資料も見ずに書き出した。その早いこと。最初のより幾分分量は減ったが一応形を成して印刷屋に渡した。おれにとっては懐かしい思い出である。――数年新聞労連主催で前原さんの講演会があって、終わってから挨拶したらちゃんとおれを覚えていてくれた。嬉しかった。原さんのご冥福をお祈りします。
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2017年10月21日

8時間労働制を叫ぶ共産党がんばれ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年10月18日
8時間労働制を叫ぶ共産党がんばれ

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 今回の選挙で日本共産党は「8時間働けば普通に暮らせる社会の実現を」という選挙公約を掲げている。このスローガンは地味だが大事な内容を含んでいる。いま安倍政権の「働き方改革」政策で一番問題なのは8時間労働制を壊すことだからだ。メーデー発祥の時代から世界の労働者の共通の要求が8時間労働制だった。それを崩壊させようという悪だくみは絶対に阻止しなければならない。

 安倍政権は賃金の決定基準を労働時間から労働の成果に移そうとしている。それが高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ法案)であり、裁量労働制・成果主義賃金である。彼らは「仕事の成果が上がればそれで家へ帰れるから労働時間を減らすことができる」とか「成果を上げる人と上げられない人を同じ時間働いたからといって同じ賃金というのはおかしい」などと理屈をこねる。

 経営者は労働の成果を上げさせることに関しては貪欲で冷酷だ。成果が上がったからといって労働から解放させてくれるほど甘くはない。成果を上げさせるために彼らは、労働者同士に競争させることが一番だと思っている。わずかな餌で人を釣り、人を蹴落としてまで働く労働者を育成する。

 成果主義賃金は昔からあった。内職の加工賃だ。封筒を千枚貼ったらなんぼ、小箱を百個つくったらなんぼ、というやつだ。労働時間に連動してないから無制限に働かされる。しかも成果が上がれば加工賃を値切ってさらに働かせる。偉そうに「成果主義賃金」などと言うが元を辿れば内職型賃金なのだ。

 時間というのは誰でもどこでも公平・平等に進む。だから賃金も労働時間を基準にすればその限りでは公平・平等である。もし成果とか出来高とかを基準にすればどうなるか。労働者同士でばらばらになり、競争が生じて明確な基準は失われる。そこが経営者にとって目の付けどころでもあるのだ。

 賃金決定基準を労働者の生活費とか労働時間から職務、職能、成果などに移そうという経営者の試みは1960年代から本格化した。日本の高度経済成長の時代である。職務給、職能給が大企業を中心に導入された。それを指導したのは日本生産性本部であり、日経連であった。つまり労働生産性をいかに上げるかが目的だったわけだ。それは職場の差別につながっただけでなく、労働組合の弱体化ももたらした。

 8時間働いて、8時間休養し、8時間を生きがいに使う、これが人間の「生きる」という意味である。共産党がそのことに気付かせたことの意義は大きい。苦戦を伝えられる共産党の巻き返しのためおれもがんばる。
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2017年10月11日

連合第15回定期大会の開催に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年10月09日
連合第15回定期大会の開催に思う

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 政局動乱の最中、10月4、5日と連合第15回定期大会が開かれた。連合の定期大会は2年毎の開催で今年は会長が交代するはずだった。それが例の「残業代ゼロ法案」を巡るゴタゴタで次期会長候補の逢見直人事務局長がずっこけて、神津里季生会長の留任になった。その上降ってわいた解散総選挙、支持政党の民進党が希望の党に身売りして解体してしまった。異例ずくめの大会開催というわけだ。

 2日間の大会の模様が、連合ホームページの『連合ニュース』で発信されている。大会参加者は傍聴者を含め1600人。国際自由労連(ITUC)シャラン・バロウ書記長、ITUC太平洋地域組織(ITUC−AF)吉田昌哉書記長、OECD労組諮問委員会(TUAC)ピエール・ハバード事務局長をはじめ、28組織38人の海外代表が出席。今回は政党代表の来賓は招くことができなかった。

 神津会長は挨拶で今回の解散総選挙に触れ「大義なき、究極の自己都合解散と断じざるを得ない。長時間労働の是正に向けた、罰則付き時間外労働の上限規制や、雇用形態間の格差解消の遂行に向けた今国会での法案審議は反故にされた」と述べた。一方「我々の思いとは真逆の内容までもが、労基法改正の法案審議に取り込まれていることは非常に遺憾であり、残念」とも強調する。

 この会長挨拶には「働き方改革法案」への対応が方針として揺れていることが顕われている。安倍政権が「働き方改革」の中心に据えた「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)を一度は「条件付き容認」の方針を出し、組織内外の総批判を浴びて再び「反対」に戻したがどうね迫力がない。

 役員改選では、神津会長(基幹連合)の留任の他は会長代行に逢見前事務局長(UAゼンセン)、川本潤氏(自治労)を新しく選んだ。事務局長は自動車総連の相原康伸氏。相変わらず連合結成以前の同盟系の民間大単産が主導権を担っている。「反共と労使協調」路線はさらに続くことになる。

 今回の大会スローガンは「次の飛躍へ 確かな一歩を」。大会宣言でも「次の時代の連合運動を力強く切り拓いていくためにも、今からの2年間を、足元をしっかりと固める期間としていかねばならない」と、どうやら「今の時代」で連合運動を実のあるものにすることは断念したようだ。なぜそうなったのか。資本や権力とのたたかいを放棄し、幹部のパフォーマンスだけに労働運動を矮小化してきた結果ではないか。
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2017年10月06日

民進党を見習って連合も分裂したらどうか

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年10月06日
民進党を見習って連合も分裂したらどうか

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 「連合 組織分裂の懸念も」「衆院選『特定政党支持せず』決定」(6日付『毎日』)。「民進の前議員が希望の党、立憲民主党、無所属と三つに分裂して立候補するため、衆院選の結果とその後の情勢次第では最大の支持団体・連合も分裂含みになりかねず、組織内に懸念が高まっている」。

 連合は特定政党を支持するということで組織としての求心力を保ってきた。それが民進党の崩壊・分裂で成りゆかなくなる。選挙は単産ごとに勝手にやってくれというんでは、じやあ連合の存在は何なんだとの疑問が出てくる。そもそも特定政党を支持して組合員に押し付けていたのが間違なのだが・・・。

 連合が求心力を失うことになったもう一つの原因が例の「残業代ゼロ法案」を巡るゴタゴタだ。逢見直人事務局長が自民党に通じてそれまでの「反対」から「条件付き容認」に変節。これに連合内外から猛烈な批判の高が上がって結局元の「反対」に戻す。逢見氏は目の前にぶら下がっていた連合会長のポストをフイにすることになった。そればかりか連合は、自民党や財界の前に無様な組織実態をさらけ出す結果にもなった。これでは連合指導部に対する求心力がガタ落ちするのは当然だ。

 さて連合と特定政党支持の話に戻るが、連合内には社会党を支持していた総評、中立労連と、民社党支持の同盟という二つの流れがある。それが政党の再編て民主党を経て民進党になった。一部社民党支持の組合もあるが、全体としては民進党一党支持で一本化できた。今回それが崩壊したというわけだ。

 それにしても連合は労働組合らしいことをほぼ何もやらない。2年前の戦争法でも、今年の共謀罪でも全然影が薄い。政権が画策する「働き方改革(労働法規改悪)」にも毅然たる姿勢が見られない。まともな労働組合なら脱退したくなって当然だ。やっとそのチャンスが来たんではないのかな。

 民進党が分裂して安倍政権打倒の図式が分かりやすくなり、「市民と野党の共闘」がやりやすくなった。今朝の『赤旗』に共産党小池書記局長の記者会見が載っているが、全国70の選挙区で野党候補一本化が進んでいるそうだ。民進党分裂は野党共闘にとってマイナスではなくプラスに作用しているのだ。

 おれは80年代はじめから、労働運動の右翼的再編の動きを体験的に見てきたが、「反共と労使協調」の踏み絵を踏ませて、選別排除の結果生まれた連合は矛盾のかたまりだと思っている。民進党に見習って分裂した方が労働者・国民にとってプラスになるとおれは思っている。
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2017年09月22日

「フラリーマン」現象を喜んでいるのは誰か

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年09月20日
「フラリーマン」現象を喜んでいるのは誰か

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 昨日かな、NHKの「おはよう日本」で「フラリーマン」現象を取り上げていた。定時に仕事が終わってもすぐ帰宅しないで街をふらつくサラリーマンを「フラリーマン」というのだそうだ。おれたちの現役時代も仕事が終わっても家へ帰らず、友だちや上司と連れだって居酒屋やスナックをハシゴするなんてのはよくあったが、フラリーマンはそれとはちょっと性質が違うらしい。1人の行動なのだ。

 かれらはどこで「ふらり」とするのか。番組ではゲームセンターや家電量販店などで時間を潰すおじさんたちのの映像をとらえていた。なぜまっすぐ家に帰らないかとの質問に「いや別に・・・」となんとも煮え切らない。妻子ら家族も遅くなることに別段不満がないようだ。なら別にいいじゃないか。

 しかしこの「フラリーマン」現象、おれは番組を観ていて《やはり放っとけない》と思った。日本人の人間関係のどこかが壊れちゃってる気がするのだ。一杯飲みに行く金がないとか一緒に行く友だちがいないとかいろんな理由があるのだろうが、その根底のところに人間不信があるように思うからだ。

 何故人間不信になるのか。それは労働を通じた労働者同志の連帯感の欠如なのではないかと思う。サラリーマンの多くが自分のデスクの範囲でしか仕事をしない。隣の同僚との連絡もメールで済ます。会話がない。そのくせ仕事の進み具合や勤怠はきっちりパソコンのデータで監視されている。こうなったら自分の身を守るためには、自ら垣根をつくって人との接触を拒むしかない。一刻も気が抜けないのだ。

 そこで仕事が終わる。無気力と解放感がどっと襲う。1人で街をふらつく。ゲームセンターや家電量販店は人と交わることなく時間が潰せる恰好な場所だ。フラリーマンはそこでやっと自分の顔を取り戻せる。

 いつからこんな現象が生まれたのだう。おれは労働組合がストをやらなくなった1980年代後半あたりからではないかと思う。春闘になれば電車が止まったり、工場地帯に赤旗が林立したりするのが当たり前だった時代。ストに参加した労働者だけでなく、その何十倍、何百倍の労働者に連帯の気持ちをもたらした。

 労働者同志の連帯は社会全体の連帯へとつながった。仕事が終わって仲間と赤提灯に飲みに行き、上司の悪口をいうのも連帯感の一つの発露だったのだとおれは思う。「フラリーマン」現象を喜んでいるの資本や権力ではないか。労働者が連帯して社会に反抗する気力がなくなっているのだから。
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2017年09月13日

裁判所が労働運動に支配介入?

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年09月12日
裁判所が労働運動に支配介入?

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

 社会正義を守るのが裁判所のはずだが、これは一体どういうことだ。8月22日最高裁が「上告不受理」を決定したフジビ「恫喝」訴訟。組合が張った横断幕が会社の「信用棄損」に該当するとして3人の元従業員に合計2200万円の損害賠償を請求した事件。地裁、高裁が発した「賠償金350万円(利息を含めると410万円)を支払え」という不当判決を最高裁がそのまま追認したのだ。

 フジビ(富士美術印刷)は、子会社のフジビ製版に労働組合ができたのを嫌って倒産させ、従業員18人を退職金も払わず放りだしてしまった。このこと自体許せない酷い仕打ちだが、まあ世間にはよくある話だ。しかしこの会社、その後解雇された組合員が「荒川区の印刷御三家<tジビは責任を取れ」「億万長者の社長が給料・退職金を踏み倒すな」と掲げた横断幕を不当な恫喝だとして提訴する挙に出た。

 この話を聞いておれは十数年前におれも関わっていた「AIG」争議を思い出した。世界的な多国籍企業の保険会社AIGが長年勤めていた女性嘱託社員4人の首を切った。彼女たちは当時の銀産労(現金融ユニオン)に加盟して解雇反対闘争に入る。おれはその頃銀産労顧問をしていて団交要員だった。

 争議が固定してなかなか解決の見通しが出てこない苦しい時期だったが、会社側が突如組合活動への新たな妨害訴訟を起こしてきた。組合が社屋前で撒いたビラが会社の名誉棄損に当たるとして500万円の損害賠償金を支払えというのだ。こんなイチャモンが裁判で認められては他の争議にも影響する。組合はそれまでの上条貞夫弁護士を中心にした弁護団に徳住堅治弁護士を補強して裁判に対処した。

 結局一審も二審も会社主張が退けられ、会社は上告を諦めて組合側の全面勝利に終わる。この裁判は将棋で言えば会社の「指し過ぎ」で、膠着した争議を組合有利の解決へ向かわせるひとつの契機になった。

 あの時の徳住弁護士が今日本労働弁護団団長になっている。徳住団長は今回のフジビ「恫喝」事件の最高裁決定について「許しがたい判決。これでは普通の組合活動が出来なくなる。時代がここまで来てしまったのか。あるいは時代を先取りしているのか」と慨嘆している。

 たった10年で裁判所が様変わりしているということだろう。それはそうだが、おれとしてはこれは裁判所による組合活動への支配介入だと言いたい。いつかしっぺ返しがありそうな気がする。いやしっぺ返しをしなければならない。
posted by マスコミ9条の会 at 16:52| Comment(0) | 労働運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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