2017年04月18日

11527 韓国訪問レポートA 記憶されない歴史は繰り返される

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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17年04月18日
11527 韓国訪問レポートA 記憶されない歴史は繰り返される

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 小高い丘にソウルタワーが見える。その麓あたりに、いくつかの碑が建っていた。まだ工事をしていたが、従軍慰安婦問題や国民への圧政を忘れないために、こういうスペースをつくることになったという。慰安婦として強制連行された人たちの名前が碑に刻まれている。かなりの数だ。それでも分かっているだけだというから、推して知るべし、である。

 一角に「ヘソ」と呼ばれる楕円形の碑が横たわっていた。その石には、韓国語、英語、日本語、中国語で「記憶されない歴史は繰り返される」と書いてあった。私は一瞬、旧西ドイツの故・バイツゼッカー大統領の言葉とオーバーラップした。「過去に目を閉ざす者は未来に盲目となる」――。

 まさにその通りである。歴史修正主義を唱える人たちは、従軍慰安婦や南京大虐殺、沖縄戦における集団自決など、なかったことにしようと腐心している。記憶から消し去ろうとしているのだ。それは言い換えると、「歴史を繰り返そうとしている」ということになりはしないか。戦争法の強行採決も、審議が始まった共謀罪もそのための準備ではないのか。

 夕暮れ時になり、「ハラ減ったー」の声に促され明洞の繁華街にもどり、本場の焼肉に舌鼓を打った。韓国のお金の単位は「ウォン」だが、日本円のほぼ10分の1。計算はしやすいが1000円のものが、1万ウォンだからややギョッとする。

【「記憶されない歴史は繰り返される」と書いた碑の前で】
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記憶されない歴史は繰り返される

【明洞の夜の賑わい】
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明洞夜の賑わい

 2日目。ホテルの前に集合。前日、「通訳をしてくれる人がいる」と言われていたが、その人を見てびっくり。昨年秋に千代田区労協が主催して植村さんの話しを聞く集会を開いたときに、上智大学の学生だと紹介された姜さんだったからだ。彼も私のことを覚えていてくれた。

流ちょうな日本語で「久しぶりです」と言われたときは嬉しかった。そしてもう一人若者がいた。植村さんの息子さんで今年から医者として働くことになっているという。最後の春休みを利用してソウルに来たという。精悍な青年である。活躍を期待したい。

 最初に案内されたのは、ナヌムの家。電車を3回ほど乗り継いで、最後の駅からはタクシーでそこへ。ナヌムというのは「分かち合い」という意味だという。事前に植村さんから連絡が行っていた。事務所に案内され、ナヌムの家の所長と懇談した。

 ハルモニ(おばあちゃん)と呼ばれる元従軍慰安婦のみなさんは高齢化し、認知症や寝たきり状態の人が増えたという。昨年12月の慰安婦問題の「日韓合意」について、誰一人として納得していない。政府の役人が来て「もう終わった。心配しないでいい。補償金を出したいから銀行の通帳番号を教えてくれ」と言われても、だれも教えなかった。あの合意にみんな怒っている――。

 朴政権の国民不在の政治が、ここにも表れていたのだ。弾劾が決まったことが頷けた。
(次回につづく)

【ナヌムの家の安所長を囲んで・左側中央】
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ナヌムの家所長を囲んで

★脈絡のないきょうの一行
政府、北朝鮮に「武力攻撃切迫事態」に認定する方向で検討(読売新聞ウェブ)。これは武力衝突前段の準備で、明らかな挑発だ。
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11525 古くから稀なるもの

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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17年04月16日
11525 古くから稀なるもの

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 きょうは私の誕生日。70歳・古希である。馬齢を重ねている訳だが、私は自分の「年齢の節目」を考えてきた。

 最初に年齢のことを思い立ったのは、息子が生まれたときだ。私はちょうど30歳だった。この子が自分の年齢に達したとき世の中はどうなっているだろうかと考えた。息子が30のとき私は60歳・還暦になっているはずだ。これは、楽にクリアした。

 次の目標は67歳にした。オヤジが鬼籍に入った年齢だ。とりあえず父親の年齢を超えようと考えた。今だから言えるが、実は少し緊張した。大丈夫だろうか≠ニいう得も知れぬ不安感と、期待感が入り混じった。誕生日を迎えたとき、なぜかほっとした。

 その次は古希である。昔は古稀と書いたそうだが「稀」という字は常用漢字にないことから、「希」を使うようになったという。由来は「唐の詩人杜甫の詩・曲江(きょっこう)『酒債は尋常行く処に有り 人生七十古来稀なり』(酒代のつけは私が普通行く所には、どこにでもある。(しかし)七十年生きる人は古くから稀である)」(Wikipedia)だという。飲み屋のツケと年齢を重ねたところが実におもしろい。

 何か古希の記念になるものはないかと考えた。あった。山に登ることだ。思い立ったら吉日だ。きのう、誕生日には1日早かったが奥多摩三山(大岳山、御前山、三頭山)の一つ、御前山(ごぜんやま 1,405M)にチャレンジした。この山はカタクリの花が群生することで有名だ。5月中旬過ぎにはハイカーが列を作る。

 山頂で記念写真を撮った。仕上がりを見てみるとおもしろい写真になっていた。黄色だけがカラーで、あとはモノクロなのだ(写真)。どうも、自動シャッターを操作するとき、ほかのどこかを触ったらしい。紹介したい。

【御前山山頂にて】
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 古希の次の目標は76歳だ。理由がある。私が賭けた更生年金の積立額(本人、使用者、国の総額)は76歳までいけば、全額回収することができるからだ。76でチャラ。ここまでは意地でも生きたいものだと考えている。

 欲張りだと言われそうだが、その次は89歳である。母が逝った年齢だ。これは遠い。一歩一歩、一日一日がそこに近づく道だ。気楽にいきたい。

★脈絡のないきょうの一行
アメリカによる北朝鮮への一撃≠ヘ杞憂ではない。武力攻撃だけは何としても止めなければ。
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2017年02月19日

明乳事件の中労委命令に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年02月19日
明乳事件の中労委命令に思う

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 明乳全国工場事件の中労委命令が出た。主文は「本件各再審査申立てをいずれも棄却する」というのだから、労働者側の敗訴には違いない。しかし命令書の最後に異例の「付言」項目があり、中労委はそこで争議解決へ向けた「当事者双方の互譲による合意」を求めている。つまり解決へ向けて話し合えということである。

 もし会社が、付言は付け足しみたいなものだから無視してもいいなどと思っているとしたら大間違いである。異例の付言に至った中労委の「事実認定」および「判断」は、申立人らに対する長年にわたる会社の行為を厳しく指弾している。つまり会社の不当労働行為意思を明確に認定しいるのだ。

 都労委命令(市川工場事件も含む)は、@インフォーマル組織の組合分裂工作に会社は加担していない、A申立人らが提出した証拠文書は真正のものとは認められない、B申立人らの低職分、低賃金は公平な人事考課の結果であり有意の格差は存在しない、と会社主張をそのまま丸飲みした認定を下していた。

 中労委の今回の命令は@会社はインフォーマル組織の結成に関与し、申立人らへの誹謗中傷を抑制しなかった、A会社の不当労働行為意思の証拠として申立人らが提出した高島、笠原、村田らのノート等は成立の真正が認められる、B昭和40〜50代にかけて申立人らとその他集団間に職分・賃金の格差が存在したことは事実である、とした。普通の事件ならこの認定だけで申立人らは救済されるはずなのだ。

 では何故全面棄却の敗訴になったのか。労組法第27条2項の「除斥期間」が壁になっている。申立ては不当労働行為があった時点から1年以内でなければならないという規定だ。明乳で新しい職分制度が導入されたのが昭和44年、その運用で差別が生じたとして市川工場の労働者が都労委に申立てたのが昭和60年、全国工場事件はさらに9年後である。これはどう考えても間が空きすぎるというわけだ。

 この除斥期間問題についてはこちらにもいろんな言い分があるが、今は言っても始まらない。問題はこの命令を活用して長期争議の解決へどう持っていくかということだと思う。普通の会社なら結論は結論として命令文の中で「あなたたちは社業に従事していた労働者に、特段の落ち度もないのに酷い仕打ちをしたのですよ」と指摘されたことを真摯に受け止めるはずだ。裁判所で更に争う前にぜひ話し合いに応じてほしい。

 これまでの経過があるからそう簡単ではないとは思うが、明乳も企業としての社会的責任があるはず。しかも個人顧客に直接商品を買ってもらわなくてはならない食品企業なのだ。中労委命令の「付言」を「主文」として読むくらいの見識、大局的見地を示されることを切に望む。

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2017年02月07日

11514 戦争と共謀罪B止

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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17年02月06日
11514 戦争と共謀罪B止

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 共謀罪は、言論・結社規制そのものである。戦争を進めようとする者にとって、戦争反対を唱えるものは邪魔者でしかない。それを排除する仕組みが共謀罪だ。テロ対策という名目であるが、それならば現行制度で十分ではないか。

 政府は対象を絞ると言い出した。公明党はそれを前提に法案を容認するという。公明党は過去について学んでいない。戦前の治安維持法がいかなるものであったか。創価学会の先達・牧口常三郎、戸田城聖らは治安維持法違反で検挙され、牧口は巣鴨刑務所で獄死している。普通の庶民が、宗教を広げ平和を口にしただけで投獄されたのである。

 この種の法律はいくらでも拡大解釈できる。軍機保護法も同じだった。この法律を作るにあたって、当時の国会は「軍事上の秘密を知った者だけを対象とする」という付帯決議をつけた。しかし、元北大生・宮澤弘幸に見られるように秘密でもなんでもないものを話したことをもって、検挙し15年の刑に処したのである。

 過日、「stop秘密法共同行動」の会議が開かれ、共謀罪反対運動の進め方について議論した。スローガンについて『合コンでも共謀罪』とすることにした。この項の冒頭に述べたが、当局がその気になれば夫婦の語らいも、酒場での議論も共謀罪になるのである。この法律は明らかに思想弾圧であり、戦争に反対する勢力を排除するもの以外の何ものでもない。

 「終末時計」が30秒短くなった。トランプ米大統領就任がその理由であるが、日本もそれに加担しているように思えてならない。共謀罪の座視はゆるされない。

 戦後間もなくドイツの牧師、マルチン・ニーメラさんが戦争を起こしたことを悔いる意味から短文を発表した。実に的を射ている。この言葉を改めて噛み締めたい。

共産党が弾圧された。
私は共産党員ではないので黙っていた。
社会党が弾圧された。
私は社会党員ではないので黙っていた。
組合や学校が閉鎖された。
私は不安だったが、関係ないので黙っていた。
教会が弾圧された。
私は牧師なので立ち上がった。
そのときはもう遅かった。

★脈絡のないきょうの一行

米国入国拒否を批判した裁判所に「何か起きたら判事の責任」とトランプ大統領。ひどすぎる。

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2017年01月30日

11508 「一行」編95

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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17年01月30日
11508 「一行」編95

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


16/08/08
イチロー、メジャー史上30人目の3000安打を達成。新たな記録は「すごい」の一言。

16/08/10
オリンピックの報道を見ていると、ナショナリスト(民族主義者)になってしまう。私も小市民である。

16/08/11
中国船の尖閣諸島周辺への挑発航行、報道が事実だとしたら、行き過ぎじゃないの?

16/08/12
伊方原発再稼働、高江ヘリパッ建設…。強行の裏に潜むファッショ性を見逃してはならない。

16/08/13
天皇の生前退位、あっていいこと。天皇の人権を守るためにも。

16/08/14
SMAPが今年12月末に解散。いつかはあるのだろうが、この時期だったのだろう。

16/08/23
リオ五輪マラソン、エチオピアの銀メダリストのゴール直前の行動は、政府への抗議だった。

16/08/23
リオ五輪閉会式、スーパーマリオに悲劇が起きた。あんな人と一緒じゃかわいそうだ。

16/08/25
おいおい、台風9号と11号は消滅したけど、10号が勢力を強めてるって? 沖縄が心配だ。

16/08/26
な、なんと。台風10号は迷走を繰り返し今度は、本土急襲の可能性も。ゾンビみたいなヤツだ。心配。

16/08/30
台風10号、東北地方に上陸。せっかく実った秋の味覚の被害のないことを祈りたい。

★脈絡のないきょうの一行
アメリカでイスラム教徒が多数派を占める7か国からの入国禁止が始まり、大混乱に。新たな火種の発生である。

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2017年01月28日

「壁」で思い出すこと

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年01月28日
「壁」で思い出すこと

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 トランプ米大統領はメキシコとの国境に本気で壁をつくるらしい。国境を隔てる壁というと歴史的に有名なのは「ベルリンの壁」だろう。「ベルリンの壁は、第二次世界大戦後に東西に分割された敗戦国ドイツの首都ベルリンで、東ドイツによって1961年夏に建設された壁である」(ウィキペディア)。

 ベルリンは東ドイツの領内にあり、その西半分だけが西ドイツとされた。戦後しばらく東西ベルリンは自由に往来できた。そのため毎年多くの人が東ドイツを逃れて西に流れた。それを嫌った東ドイツ政府は1961年8月、突如西ベルリンの周囲を有刺鉄線で遮断し、それが後にコンクリートの壁になった。

 壁は高さが3m60cmから4m20cm。足場や掴まるところのない構造だ。壁は二重にはりめぐらされ、間に60m程の空きスペースが設けられた。逃亡者を逃さないためである。それでも壁を乗り越えたり地下道を掘ったりして越境する事件が頻繁に起こった。警備する軍に射殺された人も多い。

 このようにして長い間壁は「ドイツ分断と東西冷戦の象徴とされてきた」(ウィキペディア)が1989年11月、いわゆる東欧革命の嵐の中で市民の力によって破壊される。壁に乗ってハンマーで壊している若者の写真が日本の新聞にも載った。どんなに頑丈に見える壁も歴史の流れにはもろいものだ。

 おれは壁崩壊10カ月後の90年9月24日、壊された壁に面したビルの2階の東独印刷製紙労組の事務所を訪問した。組合副議長氏から「みなさんがわが労組を訪問する最後のお客さんです」と歓迎された。東西ドイツは10日後の10月3日に統一、組合は西ドイツのメディア労組に吸収される。

 組合事務所を辞すると暗い空から冷たい雨が落ちてきた。壁の残骸が瓦礫となって積み上げられてあった。おれは手ごろなコンクリート片を拾ってポケットにしまった。街を回ると壊されずに残されてある壁もあって、色鮮やかなイラストが描かれていた。有名なフルシチョフとホーネッカーがキスしている壁画も見た。もう通行自由になったウィンデンブルグ門を通って西ベルリンに入ったが車の洪水だった。

 トランプ大統領のメキシコ国境の壁だが、どんな高さでどんな構造になるのかはよく分からない。分からないけど、コンクリート壁なんかで国が守れないことは確かだ。対等で誠意ある話し合いが必要なんだとおれは思う。
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2017年01月22日

米国で裁かれる原発事故「トモダチ作戦」

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2017年01月21日
米国で裁かれる原発事故「トモダチ作戦」

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 「週刊金曜日」1月20日号の「被爆兵士の裁判は米国で実施か」という記事が興味深い。書いたのはアメリカ在住のジャーナリスト、エィミー・ツジモトさん。東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事した米軍兵士らが原発事故の影響で放射能被曝したとして東電やGMなどを訴えている裁判の管轄権問題だ。

 原告の兵士らはサンディエゴ連邦地裁に提訴したが、被告の東電は日本での裁判を主張。地裁は「米国での裁判進行」の判断を示したが、東電は上級審のパサデナ連邦高裁に不服を申し立てた。「法定助言人」の日本政府も東電主張を支持する意見陳述をした。高裁は米国政府に判断を仰いだ。

 そして昨年12月19日、米国政府は「日本でなくても正当な裁判は受けられ、そのことによって日米の親善関係に亀裂が入ることはない」として地裁の判断を支持する見解を発表した。高裁は近々日本政府や東電の不服申し立てを却下すると考えられている。日本側は米国での裁判に追い込まれることになる。

 するとどうなるか。エィミーさんは言う。「フクシマ事故から6年にして、当時の『真相』がようやく明らかになろうとしている」「米国で裁判が開廷した暁には、訴訟手続きの『ディスカバリー』(証拠及び情報開示制度)によって、未だ明らかにされていない事実が見えてくるだろう。これまで『真相』を公表せずに逃げ切れると考えていた東電や日本政府は、ついに米国で幾多の情報開示を迫られることになる」。

 日本では十分にできなかった原発事故の真相究明が、アメリカの司法によって実現する可能性が出てきた。そればかりではない。「兵士たちの様々な病状が『トモダチ作戦』の参加によってもたらされた結果と認められた場合、今なお低線量被曝による健康被害を認めない日本政府の立場も大きく崩れていくだろう」というエィミーさんの指摘の意味は重い。まさに世界的な関心事と言えるだろう。

 それにしてもこんな重大なニュースが、何故日本のメディアで取り上げられないのだろう。原発事故被害の裁判は福島をはじめ各地で起こされている。おれもそれらの裁判の一つ「福島原発告訴団」の原告の1人である。だが正直言って原発事故への関心は日々薄れている感じがする。

 放射能汚染は人類の未来への赤信号だ。おれも含め、日本人全ての頭の切り替えが必要な気がする。
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2016年12月11日

海外旅行・ポーランド、ハンガリー(2003年)A

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年12月11日
海外旅行・ポーランド、ハンガリー(2003年)A

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 19日はいよいよアウシュビッツに行く日。朝早くにバスでホテルを出発、アウシュビッツへ直行かと思っていたが、まず世界遺産のヴィエリチカ岩塩採掘場跡へ行くという。1時間ほどで着いたが、思った以上に大がかりな採掘場だ。380段の危なかしい階段を手摺りを頼りに降りて地底へ。広場や教会もある。ま言ってみれば地下宮殿みたいなもの。そんなところに2時間も閉じ込められて文字通り閉口した。

 上りのエレベーターも怖かったな。何時ロープが切れて墜落するかヒヤヒヤ。坑道から外へ出て太陽を拝んだ時の安心感。そこで昼飯。相変わらずワインはまずかったが、大きい丸いパンをくりぬいてそこへキャベツやハムの炒め物を詰め込んだ料理が美味かった。空がにわかに曇ってきた。

 早々にバスに乗り込んで、アウシュビッツ強制収容所跡のあるオシフェンチムへ。収容所の入り口のアーチに「働けば自由になる」の看板がかかっている。殺すためでなく、働かせるためにユダヤ人を集めたというわけだ。ガイドは保存会専従の日本の青年。約2時間にわたる見学は肉体的にも精神的にも疲れた。途中で沛然とした雨。雨宿りした煉瓦の部屋は心なしか血の匂いがした。

 アルバムに貼り付けたメモ。《世界遺産のアウシュビッツ強制収容所跡。人間が人間に対していかに残酷になれるか。背筋が寒くなる。しかし、よく考えてみると、アウシュビッツ的現象は、21世紀の今でもまだまだ残っているのだ。ますます心が凍える。死者の遺したメガネの山、靴の山、カバンの山、それらは60年もの間何を語ろうとしていたのか。人間はまだその言葉を解読していない》。

 ポーランド最後のディナーはクラクフの小さなレストラン。そこでおれは小演説をやった。

 「ショパンの演奏会はよかったね。最初退屈だったが、半分過ぎくらいからおれのような芸術音痴のガサツな男でもジーンときた。これがポーランドの文化の深さなんだよね。ワルシャワは駅前の大工事に象徴されているように今大きく変わろうとしている。街が変われば人間も変わる」

 「どのように変わっていくのか。私もこれから何年生きられか分からないけどもう一度来て変わったワルシャワを見てみたいものだ。足かけ4日間でしたが、一度はポーランドに来たいという長年の願いが叶い、今とても充実した気持ちです。今夜は心ゆくまで飲みましょう」。
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2016年11月29日

トランプ当選へのサンダース議員の提言

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
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労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年11月29日
トランプ当選へのサンダース議員の提言

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 米大統領選結果について、予備選挙でヒラリー・クリントンと争い善戦したバーニー・サンダース上院議員が厳しく論評している(11月11日付『ニューヨークタイムス』ウェブ版。12月1日発行『労働情報』誌掲載)。アメリカの民主勢力はトランプとどう向き合おうとしているのか、興味深い。

 サンダース議員は選挙結果について「私はこの結果を悲しいことだと思うが、驚きはしない。何百万人もの人々が既存の経済・政治・メディアにうんざりし、我慢できなくなって投票したということは驚くことではない」と受け止める。「トランプが『アメリカ人は変化を望んでいる』と言うのは正しい」。

 ではトランプは国民が望んでいる「変化」を実現できるのだろうか。サンダース議員はいくつかの疑問を呈する。「彼は多くの労働者家族が感じている経済的苦痛を作り出してきた強大な勢力に立ち向かう勇気があるだろうか」「彼はウォール街に立ち向かい、『巨大すぎて潰せない』金融機関を解体し、大銀行に小企業への投資や農村、インナーシティでの雇用創出を要求する勇気があるだろうか」「彼は本当に、選挙中に公約していたように医薬品産業に闘いを挑み、薬価を引き下げるだろうか」。

 サンダース議員は結局はトランプが「別のウォール街の銀行家を財務長官に据え、これまで通りのやり方を継続する」のではないかと警告する。それを見極めるのはこれからだ。「彼が本気で労働者家族の生活を改善するような政策を追求するつもりなら、私は彼が私の支持を獲得するチャンスを提供するだろう」。

 一方サンダース議員は民主党も今までやってきたことの反省の上に立って一連の改革をしなければならないと提言する。「私は民主党が企業エスタブリッシュメント(既成勢力)の束縛を断ち切り、再び働く人々や高齢者、貧困層の草の根の政党になるべきだと強く確信している」「われわれはウォール街、製薬会社、保険企業、化石燃料企業の強欲と権力に立ち向かう勇気を持たなければならない」。

 サンダース議員の提言は、日本の政治、経済状況にもぴたり当てはまるのではないだろうか。日本の野党、中でも最大勢力の民進党がサンダースが提示するような方向に舵を切ることができれば、ずいぶんと政治状況も変わると思う。確かにトランプは歴史を逆行させる危険をはらんでいるが、これを機に民主勢力が大きく飛躍する可能性もあるということだ。

 「われわれは退行するのでなく、前進しなければならない」(サンダース議員の結びの言葉)。

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2016年09月13日

11479 「一行」編92

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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16年09月13日
11479 「一行」編92

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


16/04/04
「保育園落ちた!」も深刻だが、「特養(ホーム)落ちた!」はもっと深刻。政治の貧困、止めなければ。

16/04/06
ニューヨーク外国為替市場で円急騰。アベノミクスの化けの皮がますます剥がれてきたぞ。

16/04/09
バトミントン選手も違法賭博汚染。プロ野球といい、アスリートのメンタル面に問題があるのでは?

16/04/11
G7外相が、広島の平和公園を訪問。原爆の実相をしっかり見て、核廃絶に活かしてほしい。

16/04/13
TPP批准審議、秋に先送り(読売)。またウソを並べ立てる、選挙対策かい?

16/04/13
日本の最も所得の低い層の所得は中程度の所得層の4割で、一般的な子育て世帯の所得の半分にも満たない(国連児童基金報告書)。格差は広がるばかりだ。

16/04/19
六大学野球、東大が明大に12年ぶりの勝利。ヤッタネ、おめでとう!!

16/04/22
NHK昼のニュース、国産ステルス機の初飛行を自慢げに流していた。大地震で苦しむ人がいるなか、無神経さにハラが立つ。

16/04/22
あほ、と違うかおおさか維新の会。同党の足立康史衆院議員が民進党議員を「あほ」などと中傷した問題で、謝罪など必要ない、と強弁。すごいなー、そのアホさ加減。

16/04/25
東京五輪の新エンブレムが決まったらしい。今度は大丈夫かな……。

16/04/27
年間3万人に達する孤独死(昨年度内閣府調査)。自殺者も同数程度だが、これらの対策は聞かない。

16/04/28
「パナマ文書」に記載されているタックスヘイブン(租税回避地)の法人・個人名が近く公表される見込み(TBS)。おそらく、ヤツは入っている。

16/04/29
熊本県で地震による危険家屋が9994件に(同県調査)。住む場所が奪われては復興もない。厳しい現実に政治はどうする。

★脈絡のないきょうの一行
北朝鮮で、豪雨による被害が広がっているという。政治は政治、災害支援は災害支援。緊急な被災者支援、必要ではないのか。
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2016年08月31日

11475 築地移転延期、識見である

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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16年08月30日
11475 築地移転延期、識見である

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 これは識見である。とりあえず、朝日新聞デジタル版から以下。

                           ◇=◇=◇
小池知事、築地移転の延期の方針 土壌の安全性に疑問
朝日新聞デジタル 8月30日(火)11時22分配信


 東京都の小池百合子知事は、11月7日に予定している築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転時期を延期する方針を固めた。豊洲市場の土壌の安全性確認などが不十分と判断した。30日午前、報道陣の取材に対し「近々会見など開き、その場ではっきり話をする」と述べた。

 小池氏は、豊洲市場の地下水のモニタリング調査が終わっていないことを疑問視。過去7回はすべて環境基準値以下だったが、最終調査は11月18日に始まり、1月中旬ごろに結果が出る。今月26日の定例会見で調査終了を待たずに開場を迎えることに「大きな疑問を持っている」と述べた。

 このほか、2009年2月に4316億円だった豊洲市場の総事業費が5884億円に膨らんだことや、間口の広さなどの「使い勝手」の点で業者らから不満の声が上がっていることも課題に挙げ、改善点を調べる考えを示していた。
                           ◇=◇=◇

 築地移転反対闘争にかかわり始めて、何年になるだろうか。要請行動やデモ・集会にも参加してきてやっと一つのきざし≠ェ見えてきた。上記報道がそれである。移転延期理由として@土壌汚染に連動している地下水のモニタリングが出ていないA移転費用の高騰B豊洲に移転した場合の、使い勝っての悪さ――などを上げている。

 これに本来もう一つ加えるべきことがある。中小仲卸業者が切り捨てられ、場外(現在の築地)の業者の一部も締め出されるという問題だ。これは当事者の皆さんにとっては仕事の場を奪われることになり、死活問題となる。

 築地を残せという主張のなかに、「文化を残せ」という問題がある。築地市場は、間違いなく文化を育んできた。都民の食卓をつくるうえで、欠かせない存在だし「食文化」の一翼を担っている。市場のセリは、外国人も見学にやって来るほど賑わいをみせており間違いなく文化である。

 その意味では移転の、「延期」ではなく「見直し」あるいは断念が正解である。それでは、現在建設中の豊洲はどうするか、という問題が残る。心配することはない。築地の跡地利用を考えていた2020年東京オリンピックの「メディアセンター」にすればいいことだ。オリンピックが終われば、ほかの使いみちは腐るほどある。

 問題は、豊洲への築地移転に伴う利権がらみの動きだ。少なくない人が指摘しているが、かなりの利権が蠢いているという。この連中が黙ってはいないだろうが、移転延期や見直しが現実のものとなった場合、逆に利権屋≠スちをあぶり出すことができる。小池都知事がそこまで考えているとしたら、卓越した識見である。

★脈絡のないきょうの一行
台風10号、東北地方に上陸。せっかく実った秋の味覚の被害のないことを祈りたい。

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2016年08月25日

11473 エチオピアの政情

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
http://96k.blog98.fc2.com/
16年08月25日
11473 エチオピアの政情

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 前回の小ブログについて、「エチオピアの政治状況はどうなっているのか知りたい」という問い合わせがあった。私もよく分からない、というのが正直なところで、調べてみた。以下のURLが分かりやすく解説していると思う。国際政治学者・六辻彰二氏のもので、興味のある方はぜひご覧ください。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mutsujishoji/20160822-00061391/

 概略は以下。
                              ◇
 エチオピアでは、主に同国北部のオロモ州と北西部のアムハラ州で、昨年11月頃から政府に対する抗議デモと、これに対する鎮圧が繰り返されてきた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、今年6月までにオモロ州だけで少なくとも400人が治安部隊によって殺害されている。

 現在のエチオピアは、議院内閣制のもと、憲法に基づいて定期的に選挙が行われている。実質的な権限は首相に集まっており、大統領はいわば形式的・儀典的な役職。この体制は、内戦によって1991年に社会主義政権が崩壊した後に成立した。

 憲法に基づいて選挙が行われているからといって、必ずしも民主的とは限らない。2015年のエチオピア議会選挙では、547議席中500議席を与党「エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)」が獲得している。もちろん、これが自由かつ公正な選挙の結果であれば、それは有権者の意志と呼べるだろう。

 しかし、エチオピアでの選挙プロセスは、疑問の余地が大きい。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、2015年選挙では選挙監視委員会が半数以上の野党系候補の登録を拒否。実際に立候補できた野党系候補は400人中139人だけだったという。

 EPRDFと野党の対立は、「反民主主義と民主主義」という次元だけで語ることはできない。そこには、複雑な民族対立の構図がある。EPRDFは、もともと内戦時代に社会主義政権と敵対した4つのゲリラ組織の連合体だった。内戦終結後、それぞれが政党に衣替えし、それらの連合体としてEPRDFは存続。EPRDFを構成する4つの政党はそれぞれ民族を支持基盤としており、それらにはオロモ、アムハラ、ティグライ、南部に暮らす少数民族の連合体が含まれる。

 かつてEPRDFと敵対した社会主義政権は、エチオピア帝国を革命で打倒した勢力が中心だった。しかし、皇帝と社会主義政権指導者は、アムハラ人という点で一致、そのため他の民族からみれば、皇帝の支配が社会主義政権の支配に代わっても、首都アディスアベバの中央集権的な体制には何も変化がなかった。さらに、社会主義政権のもとでは国有地での強制労働などが横行したため、アムハラ人からも離反者を呼んだ。こうして、多くの民族の連合体としてのEPRDFが生まれた。
                              ◇ 

 (以下、略)

★脈絡のないきょうの一行
おいおい、台風9号と11号は消滅したけど、10号が勢力を強めてるって? 沖縄が心配だ。
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2016年08月16日

人並みに墓参りをしてきた

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年08月16日
人並みに墓参りをしてきた

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 昨日、先祖の墓参りに行ってきた。墓のあるのは茨城県常総市。常総市は去年鬼怒川の氾濫で水害に見舞われ、全国に名を知られたが、おれには合併する以前の水海道市という方がピンとくる。墓のある大生郷町内久根地区は鬼怒川から5キロ以上も離れていて、しかも高台なので水害とは無縁だった。

 おれは敗戦後満州から引き揚げて9歳から18歳の高校卒業までここで暮らした。父母ともにここの出身なのでかなり立派な先祖の墓がある。父が死ぬ前に改修したが、墓石などの主要部分は父の祖父が建てたままだった。2005年2月、父の23回忌、母の13回忌を祈念してボロボロになった墓を建て替えることにした。

 これがなかなかの事業で、石材店への支払いや寺の坊さんへのお布施などで総計200万円ほどかかった。おれの姉妹や親戚を呼んでお披露目の法事を行った。父母の生前、親不孝ばかりしていた分の心ばかりの供養のつもり。ま、いつかはおれも入るのだから自分のための投資でもある。

 墓参りには、基本的には8月のお盆と春の彼岸の2回行く。女房が車を運転してつき合ってくれる。これは助かる。水海道には母の兄弟など親戚がたくさんいたが次々に亡くなって、今行き来しているのは母方の実家だけ。50代のいとこ夫婦が跡を継いでいる。墓の管理もこの夫婦に頼んである。

 昨日は9時に家を出て、国道6号線を柏の先で左折し、以前は有料だった新利根橋を渡り、ふれあい道路を守谷経由で水海道へ。約1時間半で墓地に着き、線香と仏花を供えて墓石を洗う。小便が溜まっていたので墓地の隅でそっと出す。この罰あたりめとご先祖さまに叱られそうだ。

 いとこの家に寄り、ご馳走とビールの歓待を受ける。1時間ほど昔話などする。では、と席を立ってかねて約束していた中学、高校の同級生の家へ。車で7分ほどの大輪町。敷地1000坪、長屋門のある大邸宅だ。つい先ごろまで田んぼをやっていたが、いまは野菜づくり程度で悠々自適。高校時代から俳句を詠み、最近句集を刊行した。郷土文化史研究では一目置かれている。しかし話し出すと昔と変わらない。

 奥さんの手料理でビールをぐびぐび。話題は死んだ昔の同級生や恩師の思い出。来年は80歳になるおれたちはもはや長生きの部類に入ったようだ。最後によばれた手打ちそばは絶品だった。昼前からのアルコールざんまい。我慢できなくなり、帰りの助手席でうとうとしたら運転している女房に叱られた。

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2016年07月27日

11464 「ポケモンGO」――ゲームやるなら場所を選べ

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
http://96k.blog98.fc2.com/
16年07月27日
11464 「ポケモンGO」――ゲームやるなら場所を選べ

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 込み合った電車の中。左右前方の二人が、しきりに指を動かしている。知り合いどうしだとは思えない。背中に何かが当たる。真後ろの人もスマホをいじっているようだ。不快だから、電車の揺れに乗じて場所を移動して、向きを変えてみるとこれまた、先ほどの二人と同じゲームをやっていた。

 何をしているか、お分かりだろう。「ポケモンGO」だ。

 評論家のやくみつるさんは、テレビ番組のなかで「もし都内で『ポケモンGO』禁止を言う候補者がいたらすぐ投票する」と一言。続けざまに「(VTRの内容に)こんなの愚かでしかない」「こんなのに打ち興じている人を心の底から侮蔑します」(7月25日・J-CASTニュース)と語ったという。

 かなり手厳しいが、確かにこの現象はヘンだ。ずいぶん昔の話しで恐縮だが、「インベーダーゲーム」というのがあった。これはかなり流行った。私も一度ならずやったことがあるが、あれは喫茶店などの限られたスペースで興じるもので、他人に迷惑をかけるものではなかった。

 ところが「ポケゴー」をはじめ、スマホやケイタイを使ったゲームはどこでもできる。電車やバス、飛行機のなかでさえ可能だ。本来便利なはずのモバイルという、外にいても情報収集が可能になった技術が、(人間が)どこでもゲームに動かされる道具化している。朝のラッシュ時間でも、スマホ片手にゲームに興じる人を見るたびに、おい、おいと眉をひそめたくなる。

 きょうの毎日新聞の投書欄に、「『ポケモン白痴化』が心配」という記事が載っている。その中で投書氏は「思考や読書や人との会話にこそ使うべき時間を、ポケモンを追いかけるのに費やす人生であっていいのか」と嘆いている。同感である。

 しかし私は、ゲームを否定しているのではない。遊ぶのであれば場所を選べ、と言いたいのである。そのうちゲームに夢中になり、死に至る事故が起きるだろう。これは容易に想定できる。すでに事故が発生していることが伝えられている。

 悲しい現実であるが、ゲームをやる人のマナーが問われているのだ。歩きたばこの禁止はかなり徹底された。同様に、歩きスマホ、歩きケイタイも禁止すべきである。その流れに逆行する「ポケモンGO」。それを提供している企業のマナーも問いたい。

 歩きたばこと道路での禁煙条例を、日本で最初に作ったのは千代田区だった。その時のスローガンは「マナーからルールへ」だった。このスローガンのように、歩きスマホや歩きケイタイを禁止する条例や法律をつくり、ルール化しなければならないのか。それではあまりにも、先述の投書氏ではないが白痴状態≠ナはないのか。

★脈絡のないきょうの一行
相模原の障害者施設19人殺害事件。社会の歯車が、どこかで齟齬をきたしていないか。

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2016年07月14日

海外旅行・スペイン、ポルトガル(1996年)C

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年07月14日
海外旅行・スペイン、ポルトガル(1996年)C

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 旅行5日目、2月17日土曜日。昼はアルハンブラ宮殿、夜はフラメンコを聞きに行った。小高い丘の上に建つイスラム風宮殿。タイルのモザイク模様に目を奪われた。建物を写すプールや噴水など豊富な水が取り入れられてある。大昔、こんな丘の上まで水道(管ではない)を引いた技術は凄い。

 フラメンコは観光用のチャチなものでなく本格的な歌と踊り。佐藤一晴さんが特に選んだという。手拍子とタップでリズムをとり、主に男性が歌う。肥った女性が声を合わせる。テープで録音したのが残っている。圧倒的な迫力だ。ホテルに帰っても興奮冷めやらず飲み直したことは言うまでもない。

 翌朝グラナダを出て再びコルドバへ。コルドバで出版の今井さん、広告の江草さん、印刷の白戸さんら第二陣と合流し、バスでポルトガルとの国境の町メリーダへ向かった。

「ここはコルドバです。午後5時から6時にかけて、ローマ時代にかけられたという橋を渡りましたが、その周辺はカーニバルのようです。仮装した子どもたち、大人たちが楽しく行き交っています。6時過ぎに町の広場で仮装大会が開かれるそうで、その行列です。とっても楽しそうです。写真を撮るとにこにこして応じてくれます。さあそれではメリーダへ向かって一直線です」。

 メリーダの宿舎はパラドール・デ・メリーダ。昔の修道院をホテルに改装したもの。メリーダに着いたのが午後9時半過ぎ。腹も減ったしトイレにも行きたかった。途中でトイレ休憩をとりたかったらしいが、適当なところがなくて、カーニバルで賑わうバ―ル(居酒屋)に寄った。仮装の若者で一杯だった。

 2月19日、メリーダをバスで発っていよいよポルトガルへ。約2時間で国境を越えた。スペインの沿道はオリーブの林だったが、ポルトガルに入るとコルクの林に変わる。コルクの木は2メートルくらいの高さで、幹の皮が厚くなると剥がされてコルクに加工される。コルク生産世界一なのだそうだ。

 ポルトガル一泊目はエストレモス。静かな街だ。翌日はバスで3時間かけてリスボンへ。ホテル・リスボンに3泊して観光した。ジェロニモ修道院や欧州大陸最西端のロカ岬など名所を巡ったがあまり印象に残っていない。心にズンとくる衝撃を受けたのは小さな酒場で聞いたファドの旋律だ。

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2016年06月01日

海外旅行・中国(1993年)C

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年06月01日
海外旅行・中国(1993年)C

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 25日、国内航空で西安から上海へ。こんなメモが残っている。
 (16:50)上海空港へ下降始まる。おれの中で固まりつつあるもの、出来たての星雲のように膨張しつつあるもの。47年の歳月を経て、二度同じ地を歩いたことへの安心感と惧れ。胃の膨満状態。一つゲップが出ると楽になるんだがなあ。喉元までゲップの泡が込み上げるのだが、また戻ってしまう。

 どうもすっきりしない心境だったらしい。上海は大都会で物騒な街だった。映画の山本さんと街を歩いていたらしつこく両替を迫られた。26日早朝、蘇州へ行く上海駅の雑踏で森下さんがポーチのチャックを開けられ400元も掏られた。森下さんは「これで社会主義国か」と怒っていた。

 蘇州は日本人好みの観光地。戦時中の日本がらみの遺跡があちこちにある。しかし運河の水は濁っていて、「蘇州夜曲」に歌われた寒山寺は何の変哲もない。観光地としての魅力は感じられなかった。16:50の列車で上海に18:15に着きレストランで夕食をとった。ホテルの部屋でまたもや大宴会。

 上海の人口は1300万人。うち10万人は大金持ち。労働者は都心に住宅を持ち郊外の工場に通勤する。朝夕の交通ラッシュは日本と逆だ。バス料金は1キロ5角(約30円)。一つの定期券でどの路線に乗ってもいい。ラッシュ時にはオートバイタクシーが便利だがぼられることが多い。

 メモをした中国語が面白い。汽車配件=自動車部品 えん樹=アカシア 自行車=自転車 公共厠所=公衆便所 牙具=歯ブラシ 堆土机=ブルドーザー 卡拉OK=カラオケ 富士皎巻=富士フィルム 利冷=ク―ラ― 肯徳基=ケンタッキー(フライドチキン) 酒家、酒亭、飯店=レストラン、ホテル

 おれたち一家が住んでいたのは「中華民国遼寧省遼陽県遼陽市遼陽日本人居留民会桜ケ丘支部東京街朝日町四の弐」。3歳から9歳というとおれが幼児から少年に成長する時期、自我に目覚める年齢だった。おれの人格形成の素になっているのではないか。。そんなことを考えさせられた中国ツアーだった。

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2016年05月02日

11336 第87回メーデーに思うA

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
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16年05月02日
11336 第87回メーデーに思うA

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

 メーデーは、アメリカ・シカゴで1886年に始まったことを起源としている。実に130年の歴史をもつが、そのときの要求は1日8時間労働制だった。「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は、おれたちの好きなことのために」を目標に行われたのである。この要求は実現し、今では当然のこととなっている。

 日本のメーデーは、1920年5月2日に上野公園で開かれている。これが第1回目と位置づけられているが、その前段1905年に茶話会という形で開かれ、ロシア革命の影響を受けて1917年に社会主義者らがメーデー記念の集いを開いたという記録が残っているという。

 以降、メーデーの歴史は積み重ねられてきたが、1936年の「二二六事件」をきっかけに、メーデー禁止令が出され、この年は検挙者を出すなどしても開かれたものの、1945年(終戦)まで開かれることはなかった。戦争はメーデーと労働運動を禁止したのである。前回ブログでも述べたが、平和あっての労働運動なのである。

 日本の第1回メーデーの要求・スローガンは「8時間制労働の実施」「失業の防止」「最低賃金法の制定」などだった。最賃の制度要求は今でも掲げられていることを考えると、この国の経営者と政府がいかに労働者いじめをやってきたか理解できる。

 ところがそれだけにとどまらない。最近の日本の労働法制をめぐる動きは、メーデーが行われるきっかけとなった「1日8時間労働」のスローガンを蘇らせる必要があるのではないかと思わざるをえない。

 長時間労働が跳梁し、サービス残業が跋扈しまくっているからだ。そのうえ、こともあろうかホワイトカラー・エグゼンプションの導入で、労働者を残業代なしで死ぬまで働かせ続ける法律をつくろうとしている。派遣労働で低賃金に押さえつけ、さらに死ぬまで働かせ続けようとする動きは看過できない。

 平和や民主主義だけでなく、労働者のいのちやくらしを脅かす安倍政権――。メーデーの歴史を振り返りながら、改めてアベ政治の暴走ぶりをみるとき、これはもう退場願うしかない。いまこそ日本の労働者団結せよ、である。

★脈絡のないきょうの一行
アメリカの大統領候補者選び、どうなるのかなー(単なるつぶやき)。
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2016年04月23日

11330 防げ、二重災害

水久保文明さんのブログ「ヘボやんの独り言」より転載
http://96k.blog98.fc2.com/
16年04月22日
11330 防げ、二重災害

■水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)


 岩登りにとって前進する際に、岩の割れ目・クラックは大事な手がかりとなるが、こちらはそうはいかない。住民のいのちにかかわる重要問題だ。イギリスだっただろうか、諺(ことわざ)に「不幸は友だちを連れてくる」というのがある。

 この友だち≠ヘお断り願いたいし、事前の対策で被害は阻止できるはずだ。熊本市につながる河川の堤防にひび割れが見つかったという。これは軽視できない。堤防の一穴どころではない。ひび割れだから堤防の亀裂≠ニいうことになろうか。とりあえず、以下。

                           ◇=◇=◇
熊本地震で堤防にひび割れ多数 大雨で決壊のおそれも
朝日新聞デジタル 4月21日(木)15時44分配信

 一連の熊本地震によって、熊本市や周辺を流れる主要な川の堤防で、クラック(亀裂)と地盤沈下が計100カ所以上できたことが国の調査で分かった。大雨が降れば決壊のおそれもあるとして、専門家は早急な対策を求めている。

 熊本市は中心部を蛇行する白川や、市南部を流れ、多くの支流を持つ緑川の流域。いずれも1級河川で、国土交通省によると、両水系の氾濫(はんらん)では最大50万人が住む地域が被災するとされる。

 同省熊本河川国道事務所が14日の前震と16日の本震の後で、白川の約17キロと緑川水系の約55キロを調べたところ、堤防が地盤沈下して波打ったり、堤防上の道路に最長で約300メートルのクラックができたりしていた。堤防を横切る形のひびも見つかった。地震による液状化などが原因とみられるという。

 堤防が地盤沈下すると、従来の想定水位より低くても洪水が起こる可能性があるため、本来の基準より警戒を強めている。

 同事務所は前震の翌15日から、クラックにモルタルや土砂を入れる工事を行い、21日中の完了を目指す。今後、堤防を造り直すなどの復旧工事をする。「地震で明らかに堤防が弱くなっている。応急処置はほぼ終わったが何が起こるかわからない。緊迫感をもって対応している」と話す。

 緑川水系を調べた東京電機大の安田進教授(地震・地盤工学)は「相当な被害が広範囲にある。梅雨や台風が来る6月までに復旧させなければ、昨年の鬼怒川のような被害につながる可能性がある」と指摘する。

 21日の降雨を前に、地震の影響で白川の堤防の一部が壊れる恐れがあるとして、熊本市は20日、一部地域の住民に避難勧告を出した。(竹野内崇宏、中川壮)
                           ◇=◇=◇

 昨年10月12日から3回にわたって、小ブログでも紹介したが鬼怒川決壊による茨城県常総市の被害はひどかった。一瞬にして平穏な生活が破壊された。もし、この報道で指摘するような事態になれば、その被害ははかり知れない。常総市は6万5千人弱、今回のそれは50万人。想像に難くない。

 すでに警戒報は出ているようだが、梅雨時を前にしつかり補修してほしいものである。もし放置されて、想像が現実のものとなればそれは「人災」である。それを引き起こさないためにも、きちんとして対策を行うべきである。

★脈絡のないきょうの一行
あほ、と違うかおおさか維新の会。同党の足立康史衆院議員が民進党議員を「あほ」などと中傷した問題で、謝罪など必要ない、と強弁。すごいなー、そのアホさ加減。
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2016年04月04日

テロ根絶には貧困脱却が急務

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年04月03日
テロ根絶には貧困脱却が急務

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 前回のブログで取り上げたフランスの労働者、学生らによる労働法制改悪に反対するデモが3月31日、全土で大規模に展開された。「仏全土120万人抗議」「解雇規制緩和する労働法改定案」「私たちは奴隷じゃない=v(4月2日付『赤旗』)。120万人という参加者の数字は半端じゃない。

 「強い雨の中で行われたパリのデモには、約16万人が参加し、音楽やドラム演奏が鳴り響く中、市内を行進。高校生の一隊は『ママ教えて、労働者が権利を持っていたって本当?』と書かれた横断幕で労働者の権利縮小を皮肉り、『私たちは奴隷じゃない』と叫びました」。

 デモを呼びかけたのは労働組合の労働総同盟(CGT)と労働者の力派(CGT・FO)、それに全国学生連合、全国高校生連合が加わった。国会でも下院で、フランス共産党の議員が法案撤回を要求。同党所属の全議員が「廃案」のプラカードを掲げた。労働者や学生はストや学校封鎖で参加しているという。

 CGTのマルティネス書記長は「行動はは成功した」「政府は国民の声を聞き、計画を撤回すべきだ」と主張。さらに複数の抗議行動を準備しているという。「学生団体もデモ終了後、ツィッターで『運動の継続』を呼びかけました」(『赤旗』)。横断幕を持って気勢をあげる若い女性たちの写真。

 一方南米ペルーではもうじき任期満了になるウマラ大統領が、最低賃金を13%引き上げると発表。5月1日のメーデー当日から実施される。ウマラ大統領は就任翌年の2012年にも最低賃金を引き上げている。任期中に2度の最賃引き上げで、ペルーの労働者は生活改善への道筋が見えてきたのだろうか。

 パリの同時多発テロに引き続いてベルギーでもisによる市民への殺傷攻撃が行われた。isが何故急に勢力を伸ばしたのか、無謀な市民への殺傷を続けるのか。その根源のところに「貧困と無権利」の問題があることは間違いないと思う。世界を覆うあまりに酷い格差の存在がテロの温床ではないか。

 アルカイダにせよisにせよ、武力で鎮圧すること、あるいは過激な行動が原因でで自滅することがあるかも知れない。しかし、世界に貧困と無権利がなくならない限り、第二第三のテロ組織が出てくるような気がする。なによりも労働者を大切にする社会の実現が急務だとおれは思う。

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2016年03月18日

有吉佐和子と井上ひさしを続けて読んだ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765
労働運動は社会の米・野菜・肉だ。
2016年03月17日
有吉佐和子と井上ひさしを続けて読んだ

■戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)


 有吉佐和子と井上ひさしの本を相次いで読んだ。有吉佐和子「鬼怒川」は新潮文庫440ページ670円、井上ひさし「東慶寺花だより」は文春文庫472ページ667円(どちらも税抜き)。

 有吉佐和子には「紀の川」「有田川」「日高川」という「川」三部作がある。「紀の川」はテレビドラマだったか映画だったかで観た記憶があるが小説は読んだことがない。「鬼怒川」は茨城県と栃木県にまたがる結城地方で織られる結城紬の織り手の話だ。そういえば、おれの父母の生地は結城郡菅原村だ。

 女主人公のチヨは日露戦争の直後、茨城県側の絹川村から栃木県の絹村へ嫁に行く。チヨは腕のいい織り手だったから嫁ぎ先でも大事にされた。亭主は日露戦争の生き残りの勇士だったが戦争の残酷さから精神が抜け切れない。まともな仕事をやる気にならず、宝探しのようなことをして結局野垂れ死にする。

 チヨは明治、大正、昭和と紬織り一筋に生きるが、亭主、倅、孫と男どもは真っ当に働く意力がない。宝探しのようなことばかりに熱中している。その原因として戦争の影が色濃くつきまとっている。チヨはしょっちゅう「箆棒(べらぼう)なこどだ」と嘆く。いや怒っているのだが、時代の流れには勝てない。それにしてもどうにも救いのないラストだ。もう少しなんとかならなかったのかな。

 井上ひさしという作家は本当に博識だなと思う。巻末にこの小説に関する講演会での話が載っているが、ある意味では本編より面白い。「江戸時代の女性は強かった」というのがこの連作小説の主題。「いっそ大臣も社長も全部女性になって、男性は家で近所の旦那さんとぺちゃくちゃお喋りしたり、買い物に行ったり、とそういう時代を一度つくってみたらどうでしょうか」と著者は真面目に提案する。

 東慶寺は亭主と別れたい女房の駆け込み寺。ギリシャ語を語源とする「アジール」という言葉がある。これは日本語では隠れ場所、聖域、尊い地域、保護区、治外法権の避難所といった意味。東慶寺はまさにそのアジールなのだが、この本を読んでると加害者であるはずの男の方に同情したくなる。

 そもそも古代から江戸時代までは女は男と同等かそれ以上の生活力を持っていた。男女対等でなくなったのは明治維新後で、それが敗戦の1945年まで続いた、というのが井上ひさしの見方なのである。15話の一つひとつにひねりが利いていて苦笑いしたりほろりとしたり小説の醍醐味を堪能させてくれる。

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