日本のメディアが伝えない軍事超大国の実像
―新刊 『戦争依存症国家アメリカと日本』 紹介―
梅田 正己(書籍編集者)
沖縄知事選は、仲井真候補の再選に終わりました。伊波知事の誕生を期待していた私としてはまことに残念ですが、しかし視点を変えれば、半分は勝利したと言えるのではないでしょうか。
なぜなら、伊波さんとの対決を迫られるなかで、仲井真知事もついに普天間基地の「県外移転」を明言・公言せざるを得なかったからです。もはや、後戻りは許されません。
仲井真知事の当面の交渉相手は、菅政権です。しかし、菅政権とどんなに交渉を重ねても、事態の解決は望めません。現在の民主党政権に、その当事者能力がないからです。
普天間基地を「所有」しているのは、アメリカ(軍)です。アメリカに働きかけ、アメリカを動かさない以上、事態は動きません。ところが日本政府は、アメリカと正面から交渉することが出来ないのです。戦後65年、日本の保守政権は、アメリカの忠実な従僕でありつづけ、「従属」がその「体質」と化したからです。
昨年の政権交代が、その「体質」から脱皮するための絶好のチャンスでした。しかし、烏合の集団である民主党は、その機会をむざむざと見逃してしまいました。いや、同党のほとんどは、「機会を見逃した」という、そのこと自体に気がついていないのかも知れません。
軍事的に見て、米軍が普天間基地を必要とする理由はありません。伊波さんが選挙中くりかえし訴えたように、米軍は再編によって、グアムをアジア太平洋のハブ基地とする計画を立て、すでに着手しているからです。そこには、普天間のヘリコプター部隊を含め、沖縄の8,600人の海兵隊を、家族9,000人とともに移し、あわせて、既存のアプラ軍港を拡張・整備し、原子力空母の停泊基地を造ろうとしています。
米海軍は、現在、横須賀を母港とする空母ジョージ・ワシントンに加え、もう一隻の空母を投入して、西太平洋に原子力空母2隻態勢を組むことを望んできました。グアムのハブ基地化によって、その念願がかなうのでしょう。
したがって、普天間のような、「世界一危険な」欠陥基地など、もう要らないのです。また、沖縄に海兵隊を置いておく軍事的根拠はなくなったのだから、滑走路2本(V字型)に軍港までそなえた「辺野古基地」を必要とする理由などあるわけはないのです。
それなのに、米国は、グアムのハブ基地建設のために、日本に費用の6割を負担させながら、沖縄に新しい基地が必要だという。日本政府が何の異論もさしはさまず、唯々諾々と従っているからでもありますが、何よりも米国が、軍事力を生きがいとし、軍事力に頼らなければ生きていけない「軍事国家」、いや「戦争依存国家」となっているからです。
さて、この「戦争依存症国家」という用語を書名にした本が出版されました。いかにも刺激的なネーミングですが、これは、出版社が考えたものではありません。著者の実感から生まれた言葉だと、「あとがき」に書かれています。
といって、著者の吉田健正さんは単なる反米主義者ではありません。沖縄の高校を出て、米国ミズーリ大学と同大学院に留学、卒業後、AP通信社やニューズウィークの東京支社で働き、今も何人ものアメリカの友人と交流があるそうです。それだけに、現在のアメリカの「独善覇権国家」ぶりに苛立ちがつのるのでしょう。
この10月から始まった米国2011会計年度で、軍事費の国家予算に占める割合は約23%、第二次大戦後の65年間を通じて最高額に達しています。あのベトナム戦争当時をはるかに上回っているのです。 またストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2010年年鑑によると、米国の軍事費は世界全体の軍事費の半分近く、43%を占めています。
「貧困大国」とまで呼ばれる、この公知の経済危機、財政危機のなか、国家予算の4分の1近くを占め、「聖域」とされてきた軍事費に対しても、最近さすがに削減要求の声が議会の内側やマスコミからも噴き出してきました。
下院の有力議員のグループは、10年間で9,600億ドル(約80兆円)の削減案を提案しています。その削減策の中には当然、海外に配備している米軍の削減も含まれています。実際、その中の一人、B.フランク議員(下院金融委員長)は公共ラジオ放送の中で、「沖縄駐留の海兵隊は第二次大戦の遺物」と切って捨てています。
こうした米国内の動きは、現在の沖縄の基地問題にも大きく影響するはずです。ところが、日本のメディアはこうした米国内の動向を殆んど伝えてくれません。なぜか。理由は、安保をめぐる情報は、日本ではもっぱらR.アーミテージ氏をはじめとするいわゆる「知日派」(ジャパン・ハンドラーズ)を通じてしか入ってこないからです。したがって、日米安保体制を拡大・強化する方向での情報以外は取り上げられないのです。
米国メディアに勤務した後、桜美林大学で国際政治を講義し、4年前に沖縄に帰郷、沖縄の地でインターネットを駆使して米国の状況を日々フォローしてきた著者による本書は、こうした日本のメディア状況に対する一つの異議申し立てといえます。
◇新刊紹介
「軍事超大国」アメリカの実像を伝え、普天間基地問題を含む日本の安保問題を、主体性をもって考え、判断する材料を、本書はふんだんに提供してくれるはずです。
(吉田 健正 著 四六判・192ページ・1500円〈税別〉高文研発行)








日本人には、意思がない。だが、恣意がある。
だから、意思を恣意と間違って解釈することになる。
すると、以下のようなことが起こる。
西洋文化の輸入も、意思がなければ支障をきたす。
意思の自由は考えられるが、恣意の自由は考えられない。
恣意の自由は、<自由のはき違え> となり、自由主義の普及も難しい。
意思は自由主義・個人主義の友人であり、恣意は利己主義は不自由主義の友人である。
不自由を常と思えば不足なしか。
政治指導者の意思決定はなく、その恣意決定は受け入れない。
意思の表明は成り立つが、恣意の表明は成り立たない。
日本人の声明発表はうつろに響く。その形式的な声明には、実行の意思がないからである。
そして、きれい事というか、空理空論には現実対応策が欠落している。ああ、むなしい。
意思があれば、罪もある。
殺意があれば、殺人罪である。
殺意がなければ、たとえ人は死んでも、死刑執行人は罪に問われることはない。
日本人には意思がない。
意思は、未来時制の内容である。
日本語には、時制がない。
意思薄弱とも思える日本人の社会では、意思を確かめることは難しい。
人々は個人の意思を確かめるこなく、個人の恣意に関する察しに専念する。
察しにたけた人物は、思いやりの深い人間として信頼されている。
だから、裁判員になることについて、日本人には多大な精神的抵抗がある。
罪の意識のない社会では、人々は罪を裁くことを望まない。<責任者を出すな> と叫ぶ。
日本人には、意思 (will) はないが、恣意 (self-will) がある。
成案はないが、腹案がある。
意思・成案を表すのには、文章が必要である。相手がその矛盾を指摘することもできる。
だが、恣意 (私意・我儘・身勝手)・腹案には、文章は必要ない。
恣意的な人間は、言語に不自由をしている子供・アニマル同然である。大和魂の持ち主のようなものか。ど根性か。
日本人が子供に見えるのはこの時である。
周囲のものが指導者の意思を察するのである。ただ意向というか、はっきりしないものを察するのである。
政治家と公設秘書のようなものか。一致団結して阿吽の呼吸でやる。
俺の目をみろ 何んにもいうな 男同志の 腹のうち。腹案がある。共謀関係の立証は難しい。
察しは他人の勝手な解釈であって、いざ罪のありかを定める議論になれば、それでは証拠不十分となる。
意思の存在を認めることのない社会で、意思の有無を確認することは難しい。
腹案の内容は、腹を割って見せなくては知られない。隠ぺい体質の産物である。
それには談合が必要である。小言、独り言の類が語られる。
内容は、決して公言・宣言としては表明されることはない。
恣意を文章にすることは、英米人はやらない。
理性を失うことは、恥ずかしいことだからである。
やれば、周りの者から嘲笑される。
彼らは、'Shame on you!' (恥を知れ) と言って、相手をしかりつける。
だが、これを日本人はやる。この種の恥は、日本人にはない。
これを '本心をさらけ出す' と言い、内々で甘えさせてもらうのである。
相手は、'真意は何か' と尋ねる。
この行為が英米人の日本人に関する不思議である。
恣意的な人間は、滅私奉公により調教された。わが国の伝統的な人間教育は、序列人間を作ることである。
意思を認めることのない社会での責任者探しは難しい。無責任な社会では、それ特有の犠牲者を出さなくてはならない。
だから、日本人は恣意の理不尽に耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで生活する必要があると教えられている。
意思があれば、その内容も明らかにすることができる。
意思の内容に賛同して、協力者も現れる。
恣意であれば、その内容も明らかにすることがでない。
恣意は誰もが嫌うので、協力者が現れることもない。
日本人は、戦争のときでさえ、絶対的な権力者を作ることはなかった。
文章が無くては、議論は始まらない。
無理が通れば、道理が引っ込む。だから、問答無用である。
上下関係で決着をつける勝負の世界である。猿山のサルと同じかな。
自分の(恣)意のままにならぬ相手を切って捨てるところが恐ろしい。
世俗的なものの上下を知らなければ、礼儀正しい日本人になることも難しい。
日本人の礼儀作法は、序列差法だからである。序列なきところに礼儀なし。
http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
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