2019年05月23日

無謀な働かせ方が横行するアニメ業界

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2019年05月23日

無謀な働かせ方が横行するアニメ業界

 NHKの朝ドラ「なつぞら」にはまっている。ひとつには主人公のなつがおれと同じ年だということ。従って高校(なつは農業高校)卒業も同じ1956年。卒業と同時に上京するのも同じ。なつは新宿だがおれは住まいは赤羽、勤め先は有楽町。コンピュータグラフィックスで描く当時の街並みが郷愁を呼ぶ。

 なつはこれからアニメーターを目指してがんばるようだが、この業界は並の労働条件ではない。桁違いの長時間労働の世界だ。そこでなつがどんな働き方をするのか、どう才能を伸ばしていくのか、目が離せない。NHKは朝ドラの土曜放映を止めると言っている。それがどうドラマに影響するのかも関心事だ。

 ところでアニメ業界だが、今でも働かせ方は変わらないようだ。5月17日付『朝日』デジタル版が実態を取り上げている。「アニメ業界、働き方は『インパール作戦』パワハラも」。アニメ制作会社「マッドハウス」で働く男性が長時間労働を労基署に告発。労基署は違法と認定し、会社に是正勧告を発した。

 男性は告発する。「スケジュールが厳しくなってくると、睡眠時間は連日3〜4時間になり、昼夜は逆転し、家に帰れなくなります。仮眠は会社のデスクでとります」「37日間連続で勤務を強いられたこともあるし、1か月の総労働時間が393時間に及んだこともあります」「ある日の朝、帰宅途中の路上で倒れ、救急車で運ばれました。それでも1日休養しただけで、翌日から再び出勤しました」。

 「業務はいっこうに改善されず、残業代も適切に支払われない。先輩社員は年々やめていく。インパール作戦(太平洋戦争中、無謀な作戦で多大な犠牲を出した旧日軍の行為)みたいなむちゃなことを何年も何年もやっていては、自分はこの仕事を続けられない。そう考え、今年3月ユニオン(ブラック企業ユニオン)に加盟し、4月にマッドハウスに対して団体交渉を申し入れました」。

 日本のアニメは海外の映画祭やアカデミー賞などでも高い評価を受けている。興行的にも日本映画界に寄与するところ大である。業界で働く労働者は「意義ある仕事」だとして歯を食いしばって働いている。そんな若者をぼろぼろにするまで働かせることは日本文化にとっても計り知れない損失である。

 朝ドラ「なつぞら」がアニメ産業で働く労働者の労働条件抜本改善へのきっかけになればいいな、と思っている。
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それはないよ!建交労のスラップ訴訟

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2019年05月19日

それはないよ!建交労のスラップ訴訟

 スラップ訴訟とは強者が弱者に損害賠償を請求する裁判のこと。解雇された労働者が会社の門前で解雇撤回を訴えるビラを撒いたとする。それを名誉棄損・営業妨害などといちゃもんをつけて提訴する。裁判で勝とうが負けようが提訴自体が争議行為への恫喝になる。その効果を狙った狡猾な法的手段だ。

 そんな裁判を労働組合の全日本建設交運一般労働組合(建交労)がやり始めたというのだから驚く。事の発端は2018年9月に開かれた建交労中央本部の第20回定期大会。一般討論で代議員のNさん(大阪合同支部執行委員)が建交労関西支部が他の労組と連名で経営者団体と締結した「協定書」に批判的な意見を述べて本部の見解を質した。他にも大阪府本部の3人から同趣旨の発言があった

 問題の「協定書」(2015年11月25日付)とは@生コン業界における労使の協力・協調関係を構築するA生コン製造、販売事業の適正な推進・業界振興等に向けて労使共同事業の実施B労使の立場の尊重、相互信頼、相互協力、との内容だがNさんたちは「団体行動権放棄の惧れがある」と批判している。

 大会はスムースに議事が進行して終了したが、建交労中央本部は11月13日付でNさんを被告とした損害賠償請求訴訟を大阪地方裁判所に起こした。「被告の発言により、原告の社会的評価は著しく低下したといえるのであり、原告がこうむった精神的苦痛を慰謝するためには少なくとも150万円の慰謝料が支払わなければならない」というのが請求理由で、弁護士費用を含めて165万円の請求となっている。

 労働運動の歴史上、組合内部の紛争が裁判沙汰になった例はあるかも知れないが、組合大会における発言を理由とした損害賠償訴訟など聞いたことがない。しかもそれを起こしたのが全労連の民間主要単産の建交労だというのだから驚くほかない。全労連は組合民主主義を一番大事にする組織ではなかったのか。組合民主主義は少数意見を頭から否定せず、尊重するところからスタートするのではなかったか。

 不当なスラップ訴訟をしかけられたNさんたちは建交労内外に呼びかけ、「『スラップ訴訟』に勝利する全国連絡会」を結成することになった。おれにも呼びかけ人になってほしいという依頼がきたので喜んで引き受けた。5月26日(日)には大阪で全国連絡会(準備会)主催の学習決起集会が開かれる。

 今、労働組合の地盤沈下が懸念されている。建交労は日本の労働運動にとって大事な組合だ。ぜひ正常に戻ってもらいたい。そんな願いを込めて決起集会に参加するつもりだ。
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2019年05月07日

メーデーと田植えそしてバリへ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年05月04日

メーデーと田植えそしてバリへ

 日頃の運動不足を一気に解消と意気込んだのに、そうはうまくは問屋が卸しませんでした。メーデーも田植えも運動としては中途半端。相変わらず酒の量だけが増える。今日この頃なのであります。

 1日のメーデー。朝方まで雨。いささか肌寒い。ジャンバーを着ていくかどうか悩んだ末に「ええいままよ、寒さ何するものぞ」と長袖シャツにベストだけ。10時45分に千代田線の明治神宮前下車。凄い人の波だが、6割は駅前を右に折れて明治神宮へ。天皇の代替わりのセレモニーがあるのかな。

 メーデー会場の代々木公園サッカー場は青いシートが雨に濡れて靴の泥が。MICの部隊がいるはずの演壇向かって右の公園縁の位置はまだガラガラ。簡易椅子を出して腰掛け、手製のゼッケンをつける。「朕のため死ねと命令した昭和」。令と和の字は赤で強調したのに、注目度は今一つ。空は雲が切れて青空。気温がぐうんと上がる。薄着で来てよかった。やっと周囲に人が集まり出したがOBが目立つ。

 12時20分にデモ行進開始。おれたちの出たのは1時近かった。去年は新宿までだったが、今年は代々木。例の天皇代替わり行事の影響か。でもまあデモが禁止されなくてよかったよね。代々木から電車で恵比寿まで行き、いつもの沖縄料理「大吉」で反省会。昼飲みはことのほか効くよね。

 鴨川・大山千枚田の棚田は爽やかな5月の風。田んぼの面積が去年の半分になった。田んぼの会会員の高齢化で人手が足りなくなったためだ。いつも20人ほど来ていたのに今年は大人7人、子ども1人。おれは一応参加したが田植えは無理なので田んぼに入らず稲苗を投げ入れたり、植える間隔を示す綱を張るなど雑用を引き受ける。それでもそれなりに疲れた。終わった後のビールのうまかつたこと。

 帰りの高速道路も国道16号も大変な渋滞。5時頃には帰宅できるはずが7時近くになった。昼に孫たちが来て一緒に手巻き寿司を食う予定だったが間に合わない。帰り着いたらもう食い終わっていた。おれ1人で手巻き寿司の具を肴にビールとワインを飲む。さんざん飲んでから孫2人(11歳、6歳)と風呂(菖蒲湯)に入ったが、お湯が溢れて半減してしまった。それでもやはり孫は可愛いいな。

 6日から13日までバリ島へ行ってくる。最初8人参加の予定だったが、体調悪化や親族が危篤になって6人に。パソコン持っていくので現地からブログ投稿します。
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2019年05月02日

コンビニのドミナント戦略を告発する

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年04月29日

コンビニのドミナント戦略を告発する

 「ドミナント」――ちょっと聞きなれないカタカナ語である。日本語では「高密度多店舗出店」というのだそうだ。このドミナントがコンビニFC店舗の生殺与奪の権限を握っている。その実態が「労働情報誌」981号で暴かれている。「加盟店を『共食い』させるドミナントの恐怖」。

 まずドミナントの解説。「ある地域内に集中的に出店して『知名度や配送効率』をアップする経営戦略だが、コンビニオーナーにとっては自分の店の近くに、同じチェーンの店が出店し客が奪われることを意味する」。具体的にはどんな状態になるのか。同誌はドミナントに遭った悲惨な実例を描く。

 2010年、都内でセブンイレブン店をオープンしたSさん(60)。当初は経営好調で1日の売り上げが100万円を超えた。ところが14年2月、本部は道を隔てた向かいに新規店を開店させた。売り上げは半分に落ち込む。それで止めてくれるどころかドミナントはさらに続く。Sさんの店から200メートルの範囲に4店舗も乱立させた。売り上げ減少だけでなく、アルバイトも取り合いになる。

 労働力補充と人件費節約のため奥さんや高校生の長男も店に入り、24時間営業を懸命に維持した。14年9月、深夜の長時間過重労働が原因で長男が自殺。「申し訳ないことをした」とSさんは悔やむ。そのSさんも心筋梗塞で倒れ、奥さんが近くのドラックストアで働いてアルバイトの時給に充てた。

 セブン本部は売り上げが減って月150万円を割り込むと一定額を振り込まさせる。その振り込みのために1000万円あった貯金が5年で底をついた。カードローンにも手を出した。しかし本部は1円も手助けしてくれない。そして今年2月28日、本部はSさんに「3月いっぱいで閉店」と告げた。

 ショックを受けたSさんは失踪して北海道をさ迷った。寒さで病気になり死ねば生命保険が下りると思ったからだ。幸い旭川警察署に保護され、東京に戻ってきた。Sさんはコンビニ加盟店ユニオンに相談し、その支援を受けてセブン本部の冷酷な仕打ちを社会に訴える活動を始めた。

 コンビニ本部のドミナント戦略はFC店舗の営業権を侵害する違法行為である。Sさんの奥さんは「本部は親で加盟店は子なのに、一杯のご飯を子ども同士で取り合いさせる」と涙ながらに訴える。こんな冷酷商法で経営を拡大するコンビニ本部に産業としての未来があるはずはない。
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コンビニの労働条件決定は団体交渉で

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年04月26日

コンビニの労働条件決定は団体交渉で

 「セブン、時短を容認」「行動計画 FC店判断尊重」(26日付『毎日』1面)「24時間見直し加速」「コンビニ3社行動計画」「セブン『対応遅れていた』」「収益構造改革も視野」(同6面)。1人のコンビニオーナーの勇気ある発言・行動とそれをバックアップし支援した労働組合の活動によって、日本を動かす巨大流通システムが大きく変革されようとしている。素晴らしいことではないか。

 「これまで24時間営業を一律に求めてきたセブンが方針転換に追い込まれたのは、東大阪市のFC店との時短営業を巡る対立が先鋭化し、社会的な批判が高まったためだ。セブンがすぐ見直しに踏み切らなかったため批判は拡大。混乱の責任を取る形で古谷一樹前社長は永松社長に交代した」(『毎日』)。

 セブンイレブン・ジャパンなどコンビニ本部への社会的批判が高まったについては、コンビニオーナーで組織するコンビニ加盟ユニオンの存在が大きい。東大阪市のセブンFC店が、人手不足を理由に午前1時から6時まで店を閉めると発表したのが今年の2月1日。これをセブン本部は契約違反だとして、契約解除の脅しをかけた。ユニオンはすぐさま時短営業の条件を協議するための団体交渉を申し入れた。

 セブン本部はこのユニオンの団交申し入れを拒否したが、これをきっかけに24時間営業の是非について世論の関心が高まった。労働組合が動き出したことで、人手不足と過重労働に悩むオーナーたちが声を上げ始めた。経済産業省もこの事態を放っておけず、コンビニ各社に「行動計画」の提出を求めた。

 「経産省がコンビニ各社に行動計画の策定を求めたのは、人手不足が深刻化する中、長時間労働や人件費高騰など負担が増す一方の店主側の不満が高まり、社会問題に発展したからだ」。経産省はコンビニ各社からの行動計画提出を受けて近く「有識者会議」をスタートさせる予定だ。

 24時間営業を基本とした長時間労働はFCオーナーの労働条件の問題である。「働き方改革」が議論される中で時間外労働の上限規制が不十分ながら法的に規定された。これは当然FCオーナーにも適用されるべきである。適用の条件に関しては労使の団体交渉で取り決めることが必要だろう。

 「有識者会議」というような第三者に任せるのでなく、コンビニ労働者の労働条件は労使で決めるという労働組合としての筋を通すことが今求められている。コンビニ加盟ユニオンの奮闘に期待する。
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2019年04月25日

高齢独居社会と労働組合の役割

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年04月23日

高齢独居社会と労働組合の役割


 「2040年 独居世帯3割超す」「高齢・未婚加速 全都道府県で」(20日付『毎日』1面)「病不安手元に携帯/『大人食堂』に憩い」「高齢者独居加速」「東京、未婚者が一極集中」(同2面)。うちの倅も49歳独身、足立区千住で独居暮らしだから他人事ではない。

 セルフネグレクト(自己放任)という言葉が4月21日発信『東洋経済オンライン』に出ている。「突然の解雇や不安定雇用などによる失職、あるいは職場などにおける人間関係のトラブル、肉親の死別、病気や借金、またはそれに伴う離婚などによて、社会から落ちこぼれてしまう人たち」のことだという。

 『東洋経済』記事はさらに「特殊清掃」略して特掃≠ニいう仕事の紹介もしている。「遺体の発見が遅れたせいで腐敗が進んでダメージを受けた部屋や、殺人事件や死亡事故、あるいは自殺などが発生した凄惨な現場の原状回復を手がける業務全般のことをいう。そして、この特殊清掃のほとんどを占めるのが孤独死だ」。ということはうちの倅も立派な孤独死候補というわけだ。ますます他人事ではなくなった。

 人が人とともに生活する社会単位は大きく分けて職場、地域、家族の三つあると思う。セルフネグレクトとはその三つとも断ち切られてしまうことだ。三つのうち一つでも繋がっていれば何とかなるケースも多いのではないか。うちの倅の例で言えば、職場、地域はどうだかわからないが、今のところ家族だけは間違いなく繋がっている。それも確実なのは親が生きている間だけとは思うがね。

 日本の社会、江戸時代や戦前戦中はいざ知らず、ついこの前までは職場の繋がりがあってセルフネグレクトを予防していたように思う。そのシステムの中心に労働組合があった。団結、統一、討論、議論、協議、仲間、付き合い、歌声、職場ニュース、集会、デモ、ストなど。繋がりのコンテンツがあった。

 例えば歌を歌うにも昔はスクラムを組んで合唱したが今はカラオケだ。仕事は共同作業がなくなって一人ひとり切り離される。隣のデスクの同僚ともメールで話す。集会やデモの動員もない。いわんやストライキなんか見たことも聞いたこともない。組合主催のサークル交流もないので異性と交際するチャンスもなく年取ってしまう。ネットの危険なサイトに引っかかる。賃金が安く結婚できない。

 「高齢独居加速」社会からの脱却は労働組合の再生・復活以外にないのではないか。
』)。フランス国民は何に屈しないのか、それが問われているように思える。
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2019年04月13日

危機のコンビニと新聞販売店の共通点

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年04月11日

危機のコンビニと新聞販売店の共通点

 「脱24時間ファミマ本格化」「最大270店舗実証実験」(10日付『毎日』)。コンビニの長時間営業が社会問題になり、業界内部からも改善への動きが出てきた。確かに24時間営業の強制は由々しき問題ではあるが、フランチャイズとコンビニ本部との不平等な契約内容はそれだけではない。2日配信の「ダイヤモンド・オンデマンド」はこの問題に関する「七つの論点」を提起している。

 @粗利分配方式=売上高から売上原価を引いた粗利のうち5割余をロイヤルティーとして本部が徴収する。なお売れ残りなどの食品廃棄分は売上原価に含まない。この結果店舗の純利益はわずかになる。
 A人件費の上昇=最低賃金しか支給しなくても人件費は上昇し、その分は全額加盟店負担になる。
 B売れ残り商品分を加盟店が負担=本部は過大に仕入れさせた分だけロイヤルティーに上乗せする。廃棄による損失は加盟店に押し付けられる。商品の種類や量の決定権は本部にある。

 C恐怖の契約更新=本部に逆らえば契約更新のハードルが高くなる。売れ残り商品の値引き販売は法律的には認められているが、実際に実行すると契約更新されない可能性が出てくる。
 Dドミナント出店の不安=本部は同じエリアに多店舗が出店すればお客が増えるというが、実際は客の奪い合いになって売り上げが減る。出店の権利は本部に握られているのでオーナーは不安を募らせる。
 E24時間営業=営業時間が長ければ売り上げが増え本部の取り分も増える。しかしオーナーは24時間営業を支える人件費に圧迫されて経営はますます困難になる。
 F法令違反95%=本部への上納負担のためオーナーは従業員を法令違反で働かせる。

 今やコンビニは地域住民にとってなくてはならぬ存在になっている。そのコンビニが問題を抱え、存続の危機に立たされるというのは社会的に見て由々しき事態だろう。ではどうすべきなのか。打開の基本は本部と加盟店が対等平等の契約関係を確立することではないか。そのためには、現に長時間働き、本部と支配従属関係にあるオーナーを「労働者」として社会的に位置づける必要がある。オーナーで組織するコンビニユニオンを労働組合と認め団交を開始し正常な労使関係を打ち立てなければならない。

 コンビニ問題から思い当たるのは、この業界が新聞販売システムと似ているということだ。新聞の場合も発行本社が販売店の生殺与奪の権限を持つ。押し紙制度と言って販売店が注文もしないのに新聞を送り付け代金を請求する。販売店は従業員を労基法違反で働かせる。――もしかするとコンビニ本部は新聞業界をお手本に加盟店支配システムを編み出したのかも知れない。
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無権利、過重労働に挑むコンビニ・ユニオン

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2019年04月05日

無権利、過重労働に挑むコンビニ・ユニオン

 久々に労働組合が存在感を見せた。コンビニの24時間営業の見直し問題である。「セブン『24時間』見直し」「店の経営環境で柔軟判断」(5日付『毎日』)。「『各店の経営環境は大きく異なるので、営業時間についても柔軟に対処したい』。東京都内で会見した永松新社長は、これまでFC店に一律求めてきた24時間営業を、各店の経営環境に応じて柔軟に見直す意向を示した」。

 今年2月1日から東大阪のセブンFC店が人手不足を理由に午前1時から6時まで自主的に店を閉めることにした。これに対してコンビニ本部は「24時間営業の契約になっているので認められない。契約を解除する」と脅した。この問題でコンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟ユニオン」が2月27日、時短営業の条件を協議するを団体交渉を申し入れたが、本部側はこの申し入れを拒否した。

 しかし「これをきっかけに、24時間営業の是非について社会的関心が高まり、経済産業省が人手不足に対する行動計画を大手コンビニに要請するなどの事態に発展した」(『毎日』)。労働組合が動き出したことで同じ人手不足と過重労働に苦しむオーナーたちが営業短縮の声を上げ始めた。

 3月になると、労働組合の要求と世論に押される形でセブン本部が「時短営業の実証実験を実施する」と公表し、21日から直営店10店舗、FC2店舗で実験を開始した。この動きは急成長を支えてきたコンビニモデルをどこまで刷新できるかという試金石となり、ついに経営陣の交代に発展した。

 4月4日、セブン社長の古屋一樹社長が代表権のない会長に退き、永松文彦副社長が昇格する人事が発表された。最低賃金引き上げ闘争をしている若者集団「エキタス」はツィッターで「ついにトップの人事まで動かしたね」とコンビニ・ユニオンを激励している。嬉しいエールの交換ではないか。

 それにしても情けないのは労働者の味方のはずの中労委だ。コンビニ・ユニオンが活躍している最中の3月15日、こともあろうに「コンビニオーナーは労働者でない、従ってコンビニ・ユニオンは労働組合でない」という命令を出したのだ。何を考えているんだろう。社会の動きへの逆行だ。

 労働組合の地盤沈下が言われている今日、コンビニ加盟ユニオンの存在感が光っている。既存のナショナルセンターや産別組織が学ぶべき点が沢山あるように思う。ともにがんばろうではないか。
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2019年03月28日

45歳リストラの嵐が吹き荒れている

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年03月28日

45歳リストラの嵐が吹き荒れている

 東証一部上場企業でリストラの嵐が吹き荒れている。大手IT企業の富士通が45歳以上に対する希望退職を募集して話題になったが、ほかにも同じようなリストラを実施している企業があるという。ネット情報の「orangeitems’s diary」が24日付で社名を挙げて報じている。

 ・地図出版の「昭文社」 45歳以上を対象に80人程度の希望退職募集
 ・「コカ・コーラボトラーズジャパンホールディング」 45歳以上700人の希望退職募集
 ・「協和発酵キリン」 45歳以上勤続5年以上の社員を対象に希望退職募集
 
 ・薬品の「エーザイ」 45歳以上100人程度の応募を見込んだ希望退職募集
 ・「カシオ計算機」 45歳以上の一般社員と50歳以上の管理職を対象に200人の希望退職募集
 ・スポーツ用品店の「アルペン」 45歳以上の300人を対象に300人の希望退職募集

 ・通信販売の「千趣会」 45歳以上の正社員・契約社員を対象に280人の希望退職募集
 ・「光村印刷」 子会社の新村印刷で44歳以上30人程度の希望退職募集
 ・「NEC」 45歳以上勤続5年以上、人数の上限なしで希望退職募集
 ・「日本ハム」 45歳以上、従業員の1割の200人を上限に希望退職募集  

 企業が希望退職募集をすると、辞めてほしくない人から辞めていくということが言われてきた。そこで上記の企業では「45歳以上」という枠をはめたと思われる。言葉の上では「希望」ということになっているが、実際に現場では強引な「肩たたき」が行われる。いわば「指名解雇」のようなものだ。

 企業側も「新卒採用を2倍に増やし、組織の若返りを目指す」(エーザイ)とリストラの目的を露骨に言い表す。一昔前ならこんなことを言う企業は労働組合の猛反発を食ったはず。今は静かなものだ。悔しいけれどこれが現実なのかも。労働運動の世界で過ごしてきた身として慚愧の念に堪えない。

 政府は年金支給開始年を引き延ばすため、70歳まで働けと言っている。45歳でリストラされてしまったら後の25年はどうやって暮らしていけばいいのか。日本という国が壊れていく予感がする。
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2019年03月22日

団結権擁護の役目を投げ捨てた中労委

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年03月20日

団結権擁護の役目を投げ捨てた中労委

 「店主の団交権認めず」「中労委判断」「コンビニ『労働者ではない』」(16日付『毎日』)。「コンビニオーナー団交認めず」「中労委『労働者に当たらず』」(16日付『赤旗』)。2014年交付の岡山県労委と15年交付の東京都労委の「団交せよ」との命令を中労委が2件まとめて頭から否定した。

 中労委が、コンビニオーナーは労働者でないとする根拠はつまるところ「オーナーは独立した小売業者である」という判断に尽きる。「会社の事業の遂行に不可欠な労働力として会社の事業組織に組み入れられ、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」「(オーナーは)会社から労務提供の対価として報酬を受け取っているということはできず、他方で、事業者性は顕著である」。

 なんという判断だ。政府が主導する「働き方改革」の方向に沿った、というよりすり寄ったと言ってもいい姿勢だ。いま厚生労働省のあり方がいろいろ問題になっているが、「中労委よお前もか」と言いたくなる。労働委員会が戦後70年に亘って営々と築き上げてきた労働者保護の基本を投げ捨てるのか。

 理屈はいろいろあるだろうが、コンビニオーナーが朝から夜まで過酷な労働を強いられているのは紛れもない事実である。自分の意思でなんとか調整できるような生易しい労働環境ではない。自分が過労死のリスクを背負って働いた上に事業者としての責務も果たさなければならない。それがオーナーなのだ。

 同じような働き方をしている労働者は沢山いる。車持ちダンプ運転手、NHK受信料の集金人、新聞や雑誌と契約するフリー記者、エレベーターなどの保守業務、オーケストラの楽団員等々。労働委員会はこれらの人々が労働者であることを実態に基づいて認定してきた。

 独立した事業者かどうかで議論されたプロ野球選手についても都労委は、@球団と選手との契約は対等とは言えない、A年俸は一部高い選手がいるものの平均すれば労働者としての賃金の範囲内である、B年俸は事業所得として取り扱われているが労働者性の障害にはならない、として労働者性を認定している。これによってプロ野球選手会(労働組合)は球団及びその上部機関であるプロ野球機構(実行委員会)との団交権が認められている。この基準に照らせばコンビニオーナーの労働者性は自明の理のはずだ。

 労働委員会はいうまでもなく労働者の団結権擁護の行政機関である。労働者という概念は経営者の意図によって狭められる傾向にある。労働者性の否定は団結権の否定そのものだ。かつて都労委委員として労働委員会の中で仕事をした一人として、中労委が本来の役割に立ち返ることを強く求める。
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2019年02月22日

記者攻撃に40年前を想起する

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年02月22日

記者攻撃に40年前を想起する

 東京新聞の望月衣塑子記者を名指しにした内閣記者会に対する言論妨害が問題になっている。新聞労連はいち早く南彰中央執行委員長名の抗議声明を出し、東京新聞もそれなりに反論したが、当の内閣記者会や新聞協会は沈黙を続けている。官邸に対する怯えがあるのかなと心配になってくる。

 記者クラブに対する政権側の抑圧的言動として思い出すのは40年前の「石原暴言」問題である。1977年のことだ。当時の石原慎太郎環庁長官が77年9月号の月刊誌『現代』の対談で「自分とこの新聞で没になった原稿が、共産党の『赤旗』にのる記者なんか何人かいる」と発言。これを問題にした環境庁記者クラブは「衆議一決して再三の質問書を送った」(新聞労連編「新聞労働運動の歴史」)。

 石原長官の回答はクラブの納得しがたいものだった。それどころか第3回目の回答では「記者の何人かにその種の党派性があることに言及した」と開き直り、記者の思想調査をおこなっていることもあきらかにした(同著)。クラブは即座に抗議声明を発表して石原長官の定例記者会拒否を通告した。

 新聞労連は77年10月22日開催の第60回中央委員会で「言論・思想の自由を守り、公害報道の巻き返しを許さない立場から『糾弾決議』をおこなう。続いて新聞労連、日放労、民放労連の三単産とマスコミ共闘の共同アピールを出し、環境庁記者クラブとの連帯行動の決意を表明した。

 11月12日には衆議院第一議員会館内でマスコミ共闘主催の「石原環境庁長官の記者攻撃の真相をただし、国民の知る権利を考える集会」が開かれ、福田赳夫首相と石原長官への抗議文、新聞協会への申し入れを採択した。このような抗議の盛り上がりの中で石原長官は政権内部でも浮いた存在になり、11月28日の内閣改造では再任されなかった。自らの暴言で大臣の椅子を棒に振る結果となったのである。

 石原長官とたたかい抜いた環境庁記者クラブには新聞労連を脱退した産経労組や未加盟の中日労組の組合員がおり、また公害報道でも各紙で見解の相違があった。これらの「相違を乗り越えてのこの共同歩調は、画期的なものであった」と「新聞労働運動の歴史」は高く評価している。

 今回の内閣記者会への脅迫的申し入れは、正常な記者活動への妨害行為であることはまちがいない。攻撃の的になった内閣記者会がまず毅然として権力と対峙する姿勢をとることが大切なのではないだろうか。
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2019年02月15日

労働組合の存在を思い知らせる春闘を

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年02月08日

労働組合の存在を思い知らせる春闘を

 「働き方改革」「外国人労働者」「毎月勤労統計」。三つの共通項は「労働」。国造りに労働は欠かせないのだから、国会で論議されるのは誠に結構だと歓迎する。ただし論じられている内容はいかにも低い次元の話で、労働への感謝とか尊敬とかがまるで感じられない。特に政権側の姿勢が酷い。

 安倍晋三政権は労働の価値を故意に貶め軽んじている。労働に従事する労働者に対し、国籍を問わず冷酷無残な待遇しか考えていない。非正規労働者も外国人労働者も働くだけ働かせて使い捨て。そのくせ労働の成果は独り占めして労働者からかすめ取る。やらずぶったくりの魂胆丸出しなのだ。

 何故こんなことになってしまったのだろう。いろいろあるだろうが、労働組合運動の地盤沈下も原因の一つではなかろうか。早い話が今目の前に迫っている春闘だ。春闘を始めたのは労働組合だし、その主役は労働組合のはずだった。ところがここ数年「官製春闘」の名の通り政権側に主役を持っていかれている。

 「官製春闘お断り」の声が聞こえたと思ったら、発言したのは日本経団連の会長さんだった。「賃上げは労使交渉で決める。政府の口出しはいらない」。こんなセリフを財界側から言われているようではほんとに情けない。今度は財界に春闘の主役を持っていかれそうだ。労働組合の影は薄い。

 資本主義社会はきちんとしたチェック機能が働かないと暴走する。労働組合はマルクス・エンゲルスの時代から歴史的にチェック機能を果たしてきた。何故果たせたか。憲法28条に明記された「団体行動権」があったからだ。つまり労働組合の言うことを聞かなければストライキをするぞということだ。

 日本の労使関係からストライキという言葉が消えて久しい。1970年代から尻つぼみになって、総評解体・連合結成の1989年で絶滅品種になってしまった。今でも個人加盟組合や地域ユニオンがしこしこと資本の横暴に対抗している。しかし、社会を揺るがすような交通ストや工場ストは望むべくもない。

 去年の国会で論じられた「働き方改革」「外国人労働者」、今年に入って大問題になっている「毎月勤労統計」。どれをとっても「労働」の価値に対する軽視が著しい。労働が尊重されない社会は進歩がない。それを支配層に思い知らせることができるのは労働組合しかない。19年春闘で労働組合の底力と労働者のど根性を示そうではないか。


 
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2019年02月07日

官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2019年02月06日

官邸の言論規制に断固抗議の新聞労連がんばれ

 NHKで安倍首相の記者会見を視聴したことがある。あまりの迫力のなさに愕然とした。記者の質問は新聞記事にすれば一行で済むような紋切り型。答える首相は官僚がつくったであろう原稿を読むだけ。質問者以外は下を向いてノートパソコンのキーを叩いている。空虚な時間の流れだ。

 そんな記者会見の中で、官房長官会見だけは迫力と緊張感に溢れているとのこと。東京新聞の望月衣塑子記者ががんばっているからだ。おれにはこれが普通の記者の姿だと思えるが、今や彼女は突飛な記者らしい。菅義偉官房長官は嫌悪を露わにし、司会の上村秀紀報道室長は「簡潔に」を連呼し質問を妨害する。

 昨年8月、東京新聞政治部・官邸キャップに対し、上村室長名で「質問は正式決定・発表前の内容に言及したもので誠に遺憾である。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請する」旨の抗議書を突きつけた。さらに年末の18年12月28日、今度は内閣記者会宛に同趣旨の申し入れを行っていたというのだ。

 この官房報道室長の「申し入れ」について新聞労連が2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」という南彰執行委員長名の声明を発表した。声明は「官邸の意に沿わない質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません」と強く抗議の意思を示している。

 そもそも官邸が質問内容を「事実誤認」と騒ぎ立て、「正確な事実を踏まえた質問」を要求すること自体がちゃんちゃらおかしい、とおれは思う。辺野古のサンゴ移設問題やその他諸々の嘘を並べ立てる安倍首相はどうなんだ。平気で虚偽・隠蔽された資料を作る官僚機構をまずやり玉にあげたらどうだ。

 「2017年5月17日の記者会見で、『総理のご意向』などと書かれた文部科学省の文書」を「怪文書のようなものだ」と否定した菅官房長官こそ「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為の張本人ではないか。「日本政府の国際的信用を失墜させるものです」と声明は鋭く指摘する。

 新聞労連の声明は最後に「日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸はただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます」と結んでいる。その通りだと思う。
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2019年01月31日

連合・神津会長のマスコミ批判に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月26日

連合・神津会長のマスコミ批判に思う

 連合の神津理季生会長が、自己のブログ(1月21日付)でマスコミの春闘報道に文句たらたらである。「神津理季生の『おやっ?』と思うこと〜労働組合とメディア論」「―春闘とマスコミ報道の奇妙な関係―」。神津氏はマスコミの春闘報道に「喜べない」し、「神経がとがる」のだそうだ。

 マスコミは「政労使春闘」と言うべきところをありもしない「官製春闘」と呼ぶ。それ自体がフェイクだと断じる。「世の中の多くの企業経営者にとって、安倍総理が『賃上げを』と言ったところで『はいわかりました』という経営者がどれだけいたのでしょうか?」。日本で200万人を超える社長さんの大半は「自分は関係ない」と、賃上げに踏み切らなかった。つまり官製春闘は存在しなかったというわけ。

 官製春闘という言葉は団交当事者を馬鹿にしている。春闘をそのように表現するマスコミを労使当事者は嫌悪する。対照的に政府には心地よい。賃上げされた企業の組合員は「総理のおかげで賃金が上がった」という潜在意識が刷り込まれる。官製春闘というネーミングは政府とマスコミの蜜月を示すものだ。

 このように「マスコミ批判」を一渡り展開した上で神津氏は、「ある全国紙系の経済紙」の記者が太田薫旧総評議長の「春闘の終焉」という言葉を持ち出したことへ腹を立ててぶんむくれる。「大手が威勢のいい金額要求をすれば、世の中全体の賃上げが向上」するのか、と開き直る。そんな発想は「トリクルダウン的思考」だと一笑に付す。「(そういう発想が)失われた20年間を生じさせてしまった」。

 最後に、連合は中小企業の賃金を上げ格差を縮めるために「賃金の上げ幅」でなく「絶対水準の引き上げ」にこだわってきた、と自画自賛する。「ここ数年、連合の中では中小の賃上げ額が大手の賃上げ額に年々近づいており、肉薄をしています」。へえーそんな話おれは初めて聞いた。

 神津会長に言いたい。連合も労働組合なら、労使の団体交渉をどう考えているのか。そもそもあなたは団交をやったことがあるのか。団交で要求を勝ち取るためには何が必要か。憲法には団結権、団体交渉権、団体行動権の労働三権が明記されているのを知っているのか。そんな権利を振り回すのは「インフレ時の春闘メカニズム」とか言ってはじめから放棄してはいないか。じっくり考えてほしい。

 今年の参院選が終われば神津連合会長の任期が切れる。次は誰がなるのか。少しはましな人が出てきてほしい。
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2019年01月26日

「賃上げは団交で」というなら望むところだ

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月23日

「賃上げは団交で」というなら望むところだ

 経団連の「春闘」方針が発表された。「脱『官製』鮮明に」「経団連 ベア重視見直し」(23日付『毎日』1面)「ベアより『働き方』重視」「経労委報告 経団連、自主性求め」「賃上げ維持正念場」(同経済面)。「安倍『官製春闘』破たん」「経労委報告 賃上げ抑制強調」(23日付『赤旗』)。

 『毎日』によれば経労委報告は「賃上げは政府に要請されて行うものではない」という主張で始まるという。『赤旗』はこれを「賃金抑制の主導権を財界・大企業が握る考えを強調。安倍政権のアベノミクスでは賃上げを実現できず、『官製春闘』が破たんしたことが明瞭になりました」と解説する。

 賃上げは政府要請でなく団交で決めるものだ、という考え方自体はおれもその通りだと思う。労働条件は労使が対等の立場で決定するもの(労基法2条)だからだ。こんな当たり前のことを資本の側から説教されなければならない。今の労使の力関係を映し出していると言わざるを得ない。

 確かに『赤旗』が言うように「官製春闘の破たん」には違いない。しかし、破たんさせたのは誰かというと残念ながら労働側でなく財界だ。経営者の総本山なのだ。彼らが労働者の生活と権利を守る立場に立っているとは到底思えない。官製春闘のいいとこどりでこれまで来たが、「もう政府の助けなんかいらないよ」という宣言が今回の財界の「春闘」方針なんだと思う。居丈高方針と言ってもいい。

 ではここまでコケにされた労働運動の側はどうするのか。もちろん黙っているわけにはいかない。資本の側が政府の手を借りずに団交での決着を望むのなら、こちらも総力を挙げて迎え撃つしかない。少なくとも政府にすがって賃上げをしてもらうなんていう姑息な考えは止めた方がいい。

 それにしても総評の勢いがあった時代は、春闘報道はまず労働組合の動向を探ることから始まった。それぞれの単産の春闘臨時大会にはたくさんの取材陣が集まったものだ。いざストライキにでもなれば新聞は1面トップで報じた。確かにあの頃は「労使対等の団交」があった。

 「賃上げ 最賃アップ一体に」「全労連の評議員会始まる」「30年の歩みに確信=v(23日付『赤旗』)。経団連の居丈高な姿勢には、労働者の団結で対抗しようではないか。団交は労働組合の側の権利だ。「団交を通じた賃金決定とはこういうものだ」と経団連に思い知らせようではないか。
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2019年01月10日

ある企業戦士の浮沈人生

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月06日

ある企業戦士の浮沈人生

 働き方の変化について『毎日』がルポ風に問題提起している。「働く『場所』自らつかむ」(5日付1面)「『楽しい』を仕事に」「リストラの波『企業戦士』秋風」(同社会面)。シャープでリストラに遭った男の浮沈人生。会社の危機は「アジアの台頭」が引き金だったが彼を助けたのもアジアだった。

 男は1984年にシャープ入社。「二流のイメージだったシャープを世界ナンバーワンにする」と意気込む。サービス残業は当たり前、午前3時まで働いた同僚が倒れて救急車で運ばれても働き方を変えない。毛布を会社に持ち込んで週に1回は泊まり込む。「子育てを手伝って」との妻の懇願にも耳を貸さない。会社はブラウン管から液晶への転換の波に乗って急拡大した。世界ナンバーワンはすぐそこだ。

 ところがどっこい、低価格を武器にした韓国勢が猛追する。2012年には会社存続の危機に立たされた。出世から外された男に突き付けられたのは子会社への転籍辞令だ。そこでリストラの先兵役をさせられる。辛い役を必死にこなしていると最後には彼自身の解任を迫られる。「辞めてもらった社員に償いもしないと」と上司からの内示に「退職します」と申し出た。2016年のことだ。

 彼はいま京都で「人工知能(AI)を使った工場効率化システム開発『ハイシンク創研』」という会社を運営している。設立資本は中国企業が出した。社員は15人。50〜60代の元シャープ企業戦士だ。「会社をナンバーワンにすることが自己実現と信じていた」。彼はそう振り返る。

 同日付の『毎日』で作家の真山仁氏は「日本企業は家族的、宗教的ともいえるつながりにより一体感を作って成長してきたが、バブル崩壊後、生き残ることだけを考えて社員を切り始め、社員の未来を保証しなくなった」と解説する。若者はそんな企業に不安を感じて入社してもすぐ辞める。2015年の大卒就職3年以内の離職率は31.8%だという。国も企業も「若者が頑張れるフィールド」を作っていない。

 確かに『毎日』の指摘する通りなのだろうが、やはりおれは国造り社会づくりの土台は労働だと思っている。問題は企業も国も労働を大事にせず、尊敬する気持ちを失ったところに根本の誤りがあるんだと思う。それと労働組合だ。労働者の存在感の希薄は労働組合が影が薄くなったことに起因している。躍動する労働運動のあるところには躍動する労働者がおり、躍動する工場があるのではないか。
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2019年01月04日

分断の時代を乗り越えるために

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2019年01月04日

分断の時代を乗り越えるために

 ネットで見た「年のはじめに考える 分断の時代を超えて」というタイトルの『東京新聞』元旦付け社説の指摘が鋭い。30年前、ソ連が崩壊し、EUの共通通貨ユーロが発行され、日本ではバブル景気がはじけて非自民政権が生まれた。世界は自由と競争を手に入れたかに思えた。それが「自由の寛容さ」を失って「悩み苦しみ、未来希望を持てない人がでてきた」というのである。

 おれは90年代初めに崩壊寸前のソ連と東西統一前夜の東ドイツ、そしてソ連の圧政をはねのけたばかりのハンガリーに旅行した。旅行者にそんなに深いところは分からないが、この先の世界は、政治は、自由に輝くのだという人々の期待、熱気を感じたものだ。ところがその「自由」は窒息した。

 「経済の競争は、労働力の安い国への資本と工場の移転で、開発国の経済を引き上げる一方、先進国に構造的経済格差を生んだ。リーマン・ショックは中間層を縮め失職さえもたらした」「アメリカでは貧しい白人労働者たちを『忘れられた人々』と称したトランプ氏が勝ち、欧州では移民を嫌う右派政党が躍進。人権宣言の国フランスでは黄色いベスト運動が起きた」。これらの現象を『東京』社説は「格差が、不平等が、政治に逆襲したのです」と表現する。日本も同じだ。

 「『非正規』という不公平な存在を生みました。貧困という言葉がニュースでひんぱんに語られるようになりました」「それらに対し、政治はあまりにも無力、無関心だったのではないでしょうか」。この間の政治はひと言でいえば「国民を友と敵に分断する政治」であり、「敵をつくることで民衆に不安と憎悪を募らせ、自己への求心力を高める」政治だった。ヒットラーや敗戦前の日本軍国主義の再来だ。

 ではどうすれば「分断の時代」を乗り越えることができるか。『東京』社説は@うそをつかない政治、A少数派を抑圧せず少数派の発言に耳を傾ける政治、の二つを提起している。最後に国民全体に呼びかける。「民主主義は死んだりしません。民主主義とは私たち自身だからです。生かすのは私たちです。危機を乗り越えて民主主義は強くなるのです。その先に経済も外交もあるのです」。

 その通りだと思う。かつて例えば60年安保闘争、ベトナム反戦、インフレ反対、反原発運動などで日本の民衆は決起した。その中心に労働組合の旗があった。再び組合旗を掲げようではないか。
posted by マスコミ9条の会 at 19:49| Comment(0) | 労働運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月29日

経団連の官製春闘お断り宣言に思う

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


労働運動は社会の米・野菜・肉だ。

2018年12月21日

経団連の官製春闘お断り宣言に思う

 「経団連、賃上げ目標削除」「経労委報告案 官製春闘に嫌悪感」(20日付『毎日』1面)「春闘 中西流前面に」「指針案 労使主導鮮明に」(同6面)。経団連が19年春闘指針案の中で、18年春闘で政府要請通りの数値を入れた方針を削除することにした。官製春闘お断りというわけだ。

 『毎日』記事によれば、今年5月に就任した中西宏明経団連会長は当初から賃上げについて「政府の過度な介入」をけん制してきたそうだ。今回の報告案にも「賃上げは経営側と労働側の折衝だ」との明確な姿勢が出ている。指針には「『官製春闘』と呼ばれることへの嫌悪感」も書き込まれる見通しだ。

 「賃上げは労使の団体交渉で決める」というのは憲法28条の精神から言って正論だ。労使の力関係で決まるのが本筋だ。政府が口出しする問題ではない。労基法第二条にも「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」と明記されている。

 安倍政権は財界に対して「業績が改善している企業は報酬の引き上げなどの取り組みをしてほしい」(14年)「3%の賃上げが実現するよう期待したい」(18年)などと毎年要請してきた。来年は10月の消費税増税による消費落ち込みが想定される。例年以上に賃上げを要請したいハラだろう。

 さらに安倍政権にとっては、このところの支持率低下を取り戻す人気取り政策としての意義も大きい。「安倍首相にとって官製春闘による賃上げの実現は『政権のわかりやすい大きな手柄のひとつ』(経済官庁幹部)」(『毎日』)というわけだ。確かに職場には「安倍首相に給料上げてもらった」との声もある。

 今回の経団連の方針転換は、安倍政権にとって冷水を浴びせられたようなものだ。経団連としては消費税増税という政府の施策の尻拭いをさせられるのはご免という気持ちもあるのではないか。

 それにしても情けないのは労働組合である。これだけ賃上げを巡る記事があるのに労働組合の姿は見えない。連合が何を考えているのかなんてことは問題にもされない。官製春闘にどっぷり浸かって、たたかうことを忘れた連合に誰も何も期待しないということか。これでは経営者にも舐められるばかりだ。

 『毎日』の同日付紙面には「ベア要求額公表せず」「春闘でトヨタ労組」の記事も。そもそも「統一闘争で賃金の底上げを」という春闘方式の全面否定だ。ああやんぬるかな。ただ嘆くのみである。
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2018年11月23日

あと12日に迫った明乳事件地裁判決

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2018年11月17日

あと12日に迫った明乳事件地裁判決

 明治乳業賃金昇格差別事件の東京地裁判決まであと12日と迫ってきた。地裁における審尋過程をみると、労働者側にとって楽観を許さないと言えるだろう。この裁判は2017年2月17日公布の中労委命令を不服とした行政訴訟である。中労委の主文は労働者敗訴だが、末尾に「付言」として「当事者双方の互譲による解決」「会社は大局的見地に立った判断をすべし」との趣旨の文章を付け加えている。

 問題は東京地裁がこの「付言」をどう扱うかである。@全く触れない、A「付言」を肯定する、B否定する、の三つが考えられる。裁判所は主文が全てであって余計なことは言わないという流れからすると@の可能性が大きい。しかし裁判長も人間である。「余計なこと」に言及するのではないかとおれは思う。

 裁判所が主文は主文として「余計なこと」を判決文に書き入れることは結構多い。おれは最近、ネット情報から興味ある判決に行き当たった。今話題になっている「徴用工」問題に関係する。2007年に最高裁は、戦時中中国から強制連行されて西松建設で働かされた労働者の賠償請求訴訟で「原告敗訴」の判決を出した。「1972年の日中共同声明で中国国民は賠償請求権を失った」との判断である。

 しかしその判決文の中で最高裁は「被害者らの苦痛は極めて大きく、西松建設を含む関係者に被害救済の努力が期待される」と付言した。西松建設はこの付言を重く受け止め、「即決和解」を東京簡裁に申し立てた。原告もこれに応じ和解協議を続けた結果、09年10月、@強制連行されたとする360人への謝罪、A補償金を支払うための基金に2億5000万円を拠出することで和解が成立した。

 西松建設の和解決断はちょうどその時期社会的に批判されたヤミ献金問題を契機に、諸問題の解決に迫られその一環としての判断でもあったが、最高裁の付言が後押ししたことも間違いない。当時「勝訴した被告企業が自主的に金銭補償に応じたのは異例」と広く話題になった。

 明治乳業争議は会社の攻撃が始まってから50年、係争事件になってから30年、64人の原告のうち15人が「ならず者」の烙印を押されたまま憤死している。まさに「被害者らの苦痛は極めて大きい」(西松建設最高裁判決)のである。それは今回の明乳事件の東京地裁・春奈裁判官は重々分かっているはずだ。だからこそ自らが和解勧告をしたのではないか。それを頑なに拒否した会社側に対する指導的見地をぜひ盛り込んでもらいたい。それは決して「余計なこと」でない。むしろ司法の務めだと思う。
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2018年11月15日

今年読んだ文庫本

戸塚章介さんのブログ「明日へのうた」より転載


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2018年11月15日

今年読んだ文庫本

 長い間おれの図書館は移動する電車の中だった。ところが去年の秋以来、OB会や九条の会の役職を降りたためめっきり都内へ出向く回数が減った。当然ながら本を読む時間も少なくなる。どのくらい減ったのかなと調べてみた。それでも結構読んでるものだ。まだ今年はひと月あるがまとめてみた。

 「青春の門(風雲篇)」五木寛之、「娼婦の眼」池波正太郎、「ラオスにいったい何があるというんですか?」村上春樹、「房総の列車が停まった日」西村京太郎、「校長、お電話です!」佐川光晴、「拳に聞け」塩田武士、「天国までの百マイル」浅田次郎、「孫物語」椎名誠。

 佐川光晴はお父さんが全学研労組の三役だった。おれが都労委委員になった1977年当時、解雇や配転、支配介入といった労組攻撃に遭って労働争議の真っ最中だった。都労委にも20件ほどの事件を申し立てており、おれが前任者の中根さんから引き継いで担当委員になった。組合は過激派が執行部を握っていて出版労連とも敵対関係だった。息子さんの著書は穏やかで人間愛に溢れていてジーンとくる内容だ。

 塩田武士は元神戸新聞記者。去年かな、関西の中堅新聞社の労使団交を小説にしたのを読んで大いに共感した。今度の話ではボクシングジムを舞台に、あまり上等でない登場人物が重なり合う。父親をはじめ腹に一物ある大人たちに翻弄される新人ボクサー。しかし翻弄されていたのは実は大人たちだった。

 五木寛之もしぶといよな。もう止めたと思っていた「青春の門」だが、まだまだ続ける気だ。それにしても主人公の伊吹信介は女にもてる。この風雲篇ではロシアの少女に惚れられる。ロシアからヨーロッパを目指す旅の前夜、「信介はアニョータの柔軟な体をまさぐり、やがてまっすぐ迷わずに彼女の中に入っていった」なんて男冥利に尽きるではないか。さらなる続編に期待する。

 昨日、用があって松戸駅に行ったついでに駅前の本屋に寄り、「奇譚を売る店」芦辺拓、「ブラック オア ホワイト」浅田次郎の2冊の文庫本を買ってきた。芦辺拓は以前『赤旗』に「新・二都物語」を連載したがこれが奇想天外波乱万丈の物語で超面白かった。この2冊を今年中に読み終えるとちょうど10冊になる。電車だけでは読み終わりそうにないので炬燵の中も図書館にしようかな。

 今朝の最低気温は一桁だった。枝に残っていた柿も全部収穫を済ませた。本格的な冬の訪れになりそうだ。
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